揚げ芋戦国時代に突入した美幌町
美幌町のシンボル、美幌峠。そこに行ったら必ず食べていたものが揚げ芋だ。まるっとしたじゃがいもにアメリカンドッグ的な衣をつけて揚げ、串にぶさっと2つ刺した状態で提供される豪快なローカルフードだ。
「むちゃくちゃうまい!」というほどではないのだけれど、サクッと甘い衣の中に、ホクッと甘いじゃがいもが入っている、なんだか美味しい食べ物だ。美幌峠といえば揚げ芋、揚げ芋といえば美幌峠。相互にシンボリックな関係性を築いていた。
しかし、美幌峠の道の駅はリニューアル工事に入った。峠で揚げ芋を食べることはできなくなったのだ。
絶対王者がいなくなり、風雲急を告げる揚げ芋界。そこに突如として旗揚げしたのが日本の便利店の巨人、セブンイレブンだった。
そうそう、そのとおり、おやつに軽食にぴったり。さすがに巨人はわかってらっしゃる。セブンイレブンのホットスナック好きのぼくはすぐにチェック。「うん、揚げいもだ」。今まで車で20分かけて美幌峠に行って食べていた揚いもがこんなに手軽に食べられるようになるとは。「すごい、世の中だ・・・」
さらに、この戦場に北の雄が名乗りを揚げる。北雄ラッキー株式会社の運営する超市場「シティ美幌」だ。買い出しがてらスーパーに立ち寄り、揚げ物コーナーの前を通ったときに視界の端に見えた「あげいも」の4文字。「ついに、シティ美幌までこの戦いに加わるとは・・・」。もちろん購入して帰るぼく。早速トースターで温めて一口。「はいはい、あげいもだな」。最寄りのスーパーであげいもを買えるのは助かるなぁ。
一方で、戦場を去ったと思われていた絶対王者「峠の揚げ芋」、完全に去ったのではなく、まちなかに陣を移していたのだった。美幌町の中心部にあるマルカイチあおぞら市場。魚介類や野菜が売られているその場所で、峠の揚げ芋が今も提供されていた。もちろん、購入して実食。「これこれ、これが峠の揚げ芋よ」。息子のこども園の近くにあるマルカイチで売られるようになったのは、ぼくにとって幸運なのかもしれない。
まさに乱世の様相を呈してきた揚げ芋界。ここに第4勢力の兆しが。
ある日のぼくとKさんとの会話。
「美幌峠リニューアルするみたいですね」
「そうらしいね」
「揚げ芋がしばらく食べられないのが残念です」
「そう?簡単につくれるよ!」
「え、そうなん?」。さっそく「揚げ芋 レシピ」で検索してみる。普通に出てくるレシピの数々。ぼくの敬愛する「DELISH KITCHEN先生」にもレシピがある。使う材料もたったの6種、すごく簡単そうだ。これは、かなり強大な勢力に成長するかもしれない。
セブンイレブン、シティ美幌、マルカイチ、そしてDELISH KITCHEN。絶対王者の美幌峠の空席により、美幌町はまさに揚げ芋戦国時代を迎えているのである。
それはそれとして、いろんな揚げ芋が食べられてうれしいなぁ。