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今は飲食業界にいないけど「いつか自分の飲食店を開きたい!」と思っている方へ

こんにちは、吉田柾長です。


僕は飲食店が大好きで、これまでの仕事の9割は飲食業界でした。

一社目はぐるなびで数百店舗の集客をサポートしたりシェフのコミュニティを運営したりシェフと一緒に食品メーカーのプロモーション案件を対応したり、飲食店プロデュースのベンチャー企業で店舗の立ち上げや開業希望者のサポートをしたり、自分で飲食店を経営したり他店舗の経営をサポートしたり…

飲食業界なら誰でも知ってるようなメディアにも出ました。


そんな僕には飲食の開業相談がよく来ます。

「今は飲食業界にいないけど、いつか自分のお店を持ちたい!」

が大半、飲食業界の未経験者ばかりです。


実際に未経験で開業する人は多いですが、一方で多くの方が大失敗している現状も。

そして失敗する方の多くが飲食業界の方に相談しないまま開業してしまうケース。

(相談できる飲食業界の方との接点がない人が多いため仕方ないですが)


ただ、事前に情報を持っていれば結果が違ったかもしれない。

これは持論ですが、飲食店の未経験開業は出店前に成功or失敗が半分決まります


相談してくれた方にはお伝えできることが多いのですが、誰にも相談せずに失敗する方が多いのでnoteで公開することにしました。

ちなみにnoteでは全てを語れないのでちょっとでも気になった方はぜひ気軽に連絡ください。


多くの出店動機が「飲食店は好きなことを実現する上で便利な手段」

-主な出店動機

動機の圧倒的1位が「自分の好きなことを飲食店を通してアウトプットしたい」です。

・お酒が好きなので、自分も一緒に飲めるバー
・地域の人が集まれる、憩いの場として居酒屋
・コーヒーが大好き、豆にこだわったカフェ

などなど様々。


「自分の好きなことを飲食店を通してアウトプットしたい」

ここで論点にしたいのが“自分の好きなこと”ではなく“飲食店を通してアウトプット”です。

例えば上記の例で言うと、お酒が好きなら卸とか小売とか作り手って手段があるし、地域の人が集まれる場所なら飲食店以外にも選択肢は色々ありそうですよね。

では、なぜ飲食店を通してアウトプットしたくなるのか?

その理由は飲食店の多様性実現性にあると考えています。

-多様性と実現性

①多様性
飲食店と一口に言ってもラーメン屋から高級フレンチまで様々。同じく多様な“自分の好きなこと”を受け止めやすいのが飲食店で、「私のやりたいことが飲食店でできそう!」と思われやすい。

②実現性
飲食店は誰にも身近でイメージがつきやすく、且つ参入障壁が低い。特別なノウハウがなくても覚悟があれば誰でも始められてしまう。もちろん継続が難しいわけだが、開業の実現性で言うと非常に実現性が高い。

つまり、自分の好きなことをアウトプットする上で飲食店は便利な手段なんです。


ちなみに動機の2位は「会社のブランディング」

・ずっと飲食店をやりたいと思っていた
・得意先を呼べる飲食店を持っておきたい

などですね。

このケースは経営と現場が乖離します。

断言します、乖離します。

嫌になるほど何度も何度も何度も見てきました。

ただ現場が何を思おうと経営側にとっては「飲食店を出店した時点でブランディングの目的達成できたので成功、現場のことは知らん任せた頑張れ。でも売上減ったら口出しする。接待会食で自分が使うときは柔軟に対応してほしいし、たまには自分の考えたオモシロ施策やってね」みたいなスタンスになるので現場は超きついです。

(話が逸れそうなのでここでは言及しませんが、このテーマで一晩飲み明かせるくらい語れることはあります。また別途)


-裏を返すと飲食店の素晴らしさでもある

多様性と実現性は飲食店の良さでもあります。

自分の好きなことを表現する手段として万能だからです。

好きなことを飲食店で表現しているからこそ楽しく働いている方が多く、仕事へ情熱を注いでいる人も多い。

ワインが大好きなワインバーの店主とか、地元の憩いの場を運営するカフェとか、現地で修行したイタリアンのシェフとか…お話ししていて気持ちが良いですよね。

僕はそういう楽しそうに働く人と触れ合って「自分も好きなことを仕事にしたい!」と思って独立しました。

だから僕は飲食店が大好きで、今までもずっと仕事にしているわけです。

一方で、だからこそ素敵な考えで出店する方に失敗してほしくない気持ちもあります。


他業界出身者はイメージがつきにくい厳しい収益構造が失敗の根幹

-失敗の理由

失敗の定義は様々ですが、事業継続に必要な収益が上がらなかったことが圧倒的シェア。

売上が上がっていても人手不足や人間関係が原因で潰れることもありますが、今回テーマの業界外初出店では収益が主な原因です。


なぜ事業収益に必要な収益が上がらないのか。

それはそもそもの期待値の高さが根底にあります。


-厳しい収益構造

これは私がサポートしていた某飲食店の月次収益シミュレーションです。

業態:カフェ&バー
席数:30席
営業日:火〜日
エリア:東京都ローカル駅

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・初期費用は500~1,000万円くらいが目安、回収に数年かかる

・立ち上げ準備はフルコミットが必要なレベルでやることが多い

・現場を任せられるスタッフの採用が難しい(飲食業界は超人手不足)

・スタッフが休むか辞めれば自分が現場に立つかお店を閉じる

・人件費や家賃などの固定費はダイレクトに赤字となる

・撤退にも大きなコストがかかるので簡単にやめれない

・利益率が低く、想定より売上があがらないと損益分岐点を下回りやすい

…etc.


このシミュレーションでは営業利益が297,333円ですが、それを毎月生み出すために膨大なコストを要しリスクも多分に孕んでいます。

薄利なので売上が想定より少し低くなるだけですぐ赤字になるし、撤退コストも大きい。

初期投資を回収する前に撤退すれば赤字で終わるので頑張って続けようとしますが、黒字化が難しいと苦しみながら収益化を頑張らないといけない状況に陥ります。

まとめると、初期投資がかかるのに薄利なのでリスクが高く、運営の労力も大きく撤退コストを考えると簡単にやめれない

お金目当てで飲食店出店する方は割に合わないと感じる方がほとんどではないでしょうか?


「勢いで飲食店出店したけど、こんなに厳しいと思わなかった…」

そんなケースが多いような気がしております。


-とはいえ、そもそも事業って全部大変

ここまで飲食店の難しさを語ってきましたが、他事業だって同じくらいかそれ以上のハードルがあると思います。

飲食店はある程度の売上は見込めますが、世の中には売上が0のままクロースする事業だって山ほどあるわけで。

飲食店は誰でも身近にあって集客に成功している事例も多々見えていて、しかも働く人が営業中は楽しそうな笑顔だから油断してしまうのかもしれないですね。


出店前にやってほしいこと

※本記事の読者は飲食業界未経験者を対象としています

-目的の整理

まずは「なぜ飲食店を出店するのか」徹底的に整理しましょう。

・飲食店を出店した結果何を達成したいのか
・飲食店である必要があるのか
・飲食店より良い手段はないか
・現実的な収支を立てることができるか
・物件や人手などのリソースはあるか

目的を整理することで、店舗のあるべき姿と実現性を明確にすることができます。

目的が明確になれば具体的な準備を始めることができます。


-調査・相談

目的がハッキリしてから、具体的なアクションや実現性を検証するための調査・相談を進めます。

いくら調べてもわからないことや信憑性の低い情報が多いため、実際に飲食店を運営している方に話を聞けるとベストです。

調査手法についてはいろいろありますが、まずは話を聞いてみることをオススメします。


飲食店を出店して後悔する人ができるだけ減ってほしいと考え、僕もできる範囲で相談に乗っています。

コンサルの仕事は受け付けていないので深めのサポートはできないかもしれませんが、情報収集したい方はぜひご連絡ください😊

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