冒険の前提には「安心安全」が必要だ
こんにちは。
今日は前回の記事,
に関連して,「アクティブラーニングを支える前提条件」のひとつは何か,ということを考えていきたいと思います。
自分の経験をもとに学校現場での例を出しますが,いろいろな環境にある人にとってヒントになる部分があれば幸いです。
グループワークが上手く機能しない経験
僕が初めてアクティブラーニング「もどき」の授業をしたのは,大学4年生のときに母校の高校でやらせていただいた教育実習です。
そこで僕は,「ジグソー法」という,グループごとに異なる資料を読み解き,それを持ち寄って正解のない問いに対する答えをつくる,という授業に挑戦します。
※ジグソー法については,こちらや
「ハーレー先生」さんの記事
が勉強になります。
僕は当時,教員になるつもりはなく,また教員養成大学の出身でもなかったので,「高校生のときに体験した,つまらない歴史の授業はしたくない」くらいの感覚でした。要するに,知識も覚悟も中途半端だったんですね。
で,結果はどうだったのかというと,生徒たちはけっこうおもしろがって積極的に協力してくれました。
ここは,「学校の先輩でもある教育実習生が頑張っているから,協力してあげるか」的な温情もあったと思います。
しかし,3週間の実習を通して気になっていたのは,「話し合いが活発にならないグループが出てくる」ということでした。この問題は,教員になってペアワーク,グループワークを取り入れる中でも,依然として存在するものでした。
原因を考える
この現実に対して,見て見ぬフリをしたり,「グループ活動に非協力的だからだ」と生徒のせいにするようでは教師失格なので,「なにか原因があるはずだ」と信じて原因究明のための勉強を始めました。
ヒューマンエラー(生徒が悪い)ではなく,システムエラー(授業の仕組みに問題がある)の考え方ですね。
カウンセリング,コーチング,アクションラーニング・・・と,なにか関係するであろうものは片っ端から調べたり,教えてもらったりしました。
プロジェクト・アドベンチャーとの出会い
そんな試行錯誤のなか,自然体験から学ぶ「プロジェクト・アドベンチャー」を知ります。
詳しくは,以下など参考になります。
ここでは,丸太・ロープなどのコースにチームで挑戦しながら,「もうちょっとやればできるかも!」という,自分の限界にチャレンジする体験をします。
要するに,仲間と冒険活動をしながら ポジティブに自分の限界に挑戦する体験を通して学んでいく,というものですね。
そして,プロジェクト・アドベンチャーのなかには「安心・安全の場づくり」というキーワードが登場します。
冒険の前提には安心安全がある
以下が,プロジェクト・アドベンチャーの考えをもとに作成したイメージ図です。
このイメージ図,とても示唆に富んでいます。
①「コンフォートゾーン」は,安心安全な場所。例えるなら,食べ物があって,暖房もある快適な家の中です。
②「ストレッチゾーン」は,家の庭とでも言えそうです。外に出れば寒い日もありますが,すぐに家に帰ってマフラーやコートを持ってこれます。
③「パニックゾーン」は,家の外の世界。植物や生き物など,多くの気づきと発見がありますが,野生の肉食動物に襲われるリスクもあります。
ここで大事なのは,「自分の後ろには安心安全の場所がある」という心的安全性が前提になっていること。だからこそ,ちょっとしたリスクがあっても自分の限界にチャレンジできる,と言えそうです。
授業も同じ
これは,グループ活動でも同じなのではないか,と考えました。
「自分の考えが否定されない」「安心して発言できる」環境になってこそ,グループでの対話が活発になるのではないか。
そこから,毎回の授業の冒頭にアイスブレイクを入れるようにしました。2~3分間でできる短い活動を必ずおこないます。「安心安全な場づくり」を目的とした,手段としてのアイスブレイクです。
すると,生徒のなかで「この授業は話してもいいんだ」とか,「グループ活動では静かにしている必要はないんだ」といったリフレーミングがされて,結果として話し合いの質も向上しました。
おそらく,アクティブラーニング型授業を支える前提条件はたくさんあって,今日まとめたものはその一部だと思いますが,試行錯誤している誰かの気づきやヒントになればいいなあ,と思い書きました。
もしご感想などあれば,ぜひコメント欄にお願いします。
お読みくださりありがとうございました。