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名前を変えて人気商品になったものをまとめてみた。

先日、コンビニに入ったら気になるものを見つけました。

まるでこたつソックス

「まるでこたつソックス」という商品です。

寒さ対策のため、家では靴下を重ね着しているのですが、それでも冷たい足元。この商品は、そんなわたしの悩みを解決してくれる!と思いました。

気になって調べてみると、実はこの商品、もとは違う名前だったのです。

発売当初の商品名は「三陰交をあたためるソックス」でした。

三陰交ってなんだ?と思ったのは、私だけではないはず。

三陰交(さんいんこう)は、くるぶしから指3本分ぐらい上にあるツボのことで、刺激すると冷えに効くと言われています。

注目すべきは、この靴下が「三陰交をあたためるソックス」から「まるでこたつソックス」に名を変えたことで、売り上げを17倍以上にしたことです。

機能はまったく変わらないのに、です。

商品名、つまり「ネーミング」は、商品の売り上げを大きく左右することがわかります。

すごく興味深かったので、名前を変えてヒットした商品が他にもないか調べてみました!

すると、身近な商品たちが改名していることがわかりました。

・お〜いお茶
・BOSS
・鼻セレブ
・カレーメシ

コピーライターの視点もふまえて、一つずつ解説していきます。


「缶入り煎茶」→「お〜いお茶」


お~いお茶

幅広い世代に愛される「お~いお茶」は、1984年に「缶入り煎茶」という商品名で、今のようなペットボトルではなく缶で発売されました。

「お~いお茶」にリニューアルした1989年の売り上げは40億円で、「缶入り煎茶」の発売初年度と比べると、約6倍です。

ネーミングの由来は、CMで使用されたフレーズ。「お~いお茶」と呼びかけるCMが好評だったので、そのまま商品名になったというわけです。

なにが「お~い」なのか疑問に思っていましたが、CMのフレーズだったのですね。名前っぽくないのも納得です。それにしても、思い切った商品名ですごいと思います。

では、前の商品名である「缶入り煎茶」はなぜ消費者に刺さらなかったのか?

「缶入り煎茶」は表現が堅苦しく、親しみにくい印象です。

また、「煎茶の読み方がわからない」という問い合わせもあり、伊藤園が学生への意識調査を行ったところ、「煎茶(せんちゃ)」という呼び名が浸透していないことが発覚したのです。

難しい言葉や読みにくい言葉は、商品名として認識しづらいことがわかります。


「WEST」→「BOSS」


ボス レインボーマウンテンブレンド

渋いおじさんのデザインが印象的な「BOSS」、もとは「WEST」という商品名でした。

「香りが強く、苦みや渋みのある、本格的なレギュラーコーヒーの味を追求する」という商品コンセプトでしたが、ユーザーに認知されていないことが調査で判明。商品名を変えて、新ブランドを立ち上げることになったのです。

「ボス」というネーミングには、「働く人」の理想という意味が込められています。

「WEST」も「BOSS」も一見すると、何のことかわかりませんが、「BOSS」のほうがネーミングとしてのインパクト、そして商品コンセプトである「苦みや渋み」をイメージしやすいと思います。

このように、インパクトのあるネーミングで、ターゲットに商品を印象づける方法もあります。


「モイスチャーティシュ」→「鼻セレブ」


鼻セレブ

リッチなティッシュペーパーとしての地位を確立した「鼻セレブ」、もとは「モイスチャーティシュ」という商品名でした。

一部では支持を得ていたものの、新規ユーザーの獲得に苦戦。また、今ほど保湿ティシュに馴染みがなかったことから、ウエットティシュと混同する人もいたそう。

リブランディングを図ったところ、売上が今では10倍以上に!

昨年には日本ネーミング大賞を受賞しており、高く評価されているネーミングと言えます。

「モイスチャーティシュ」だと「良いティッシュ」くらいの曖昧な印象で、他と差別化するのが難しいでしょう。

一方、「鼻セレブ」はコンセプトやブランドのイメージが明確で、上質なティッシュペーパーを求めるターゲットに刺さるものになったのです。


「カップカレーライス」→「カレーメシ」


カレーメシ

日経トレンディの2022年ヒット商品ベスト30で、第5位に選定にされた「カレーメシ」、もとは「カップカレーライス」という商品名でした。

「カップカレーライス」は、お湯を注ぐだけでカレーとライス、具材を一緒に食べられるというもの。

おいしさは高く評価されていたものの、「ごはんとカレールーが分かれていない」「最初から混ざっているのは、カレーライスじゃない」といった意見が多く寄せられたそう。

そのような反響から、ブランドコンセプトの見直しを図りました。

すごいのは、売り上げが悪いわけではないのに改名したことです。

商品名を変えることで、せっかく認知してくれたユーザーが離れてしまう可能性があります。

そのようなリスクを承知のうえで改名し、見事ヒット商品になったのです。

このように、ユーザーとの認識のずれを修正することも大切だと言えます。

個人的には「カップカレーライス」より、「カレーメシ」のほうが食欲をそそられます。「メシ」はおいしそうで、お腹が空いてくるような表現だからです。

また、言葉も短くなったので、口にしやすい(伝わりやすい)ネーミングになったと思います。


共通して言えるのは、イメージしやすいこと。


ネーミングは、”商品の名刺”とも言える重要な役目を担っています。

ヒットした事例を見ると、ぱっと見の「わかりやすさ」はとても重要です。

「わかりやすさ」とは、具体的に2つあります。

①言葉の読みやすさ
→聞きなれない言葉や難しい漢字を使っていない(=多くの人に伝わる)

②イメージのしやすさ
→「なにができるのか」「どんな時に使うものなのか」「どのようなコンセプトなのか」(=特徴を理解しやすく、自分にとってメリットを感じる)

注意したいのは、「正しい表現」=「伝わる(響く)表現」ではないことです。

「三陰交をあたためるソックス」や「缶入り煎茶」も間違いではないけど、伝わるか?と考えたときに少しハードルがありました。

できあがったネーミングに対してどのような感覚や印象を抱くのか、ユーザーの立場になって想像できると、いいネーミングが生まれるでしょう。


ここまで読んでいただき感謝です!

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文:ハギ
@よりみちコピーライター

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