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コピーライターを続けているのは、あるキャッチコピーのおかげだ。
こんにちは、よりみちコピーライターのシノです。初回の記事を読んでくれたみなさん、ありがとうございます!トップ画像のバナナに引きがあったのかな?とハギと話してました。そんなバナナ。
ちなみに今回は、ロンドンへ旅行した時に食べたアプリコットタルトの写真です(すごく甘かった)。さて、note本番ということで、シノから記事をアップしていきます。
今日、何の日だか知っていますか? 実は「コピーライターの日」なんだそうです。この記事を書いた時は思いもしなかったのですが、偶然ってあるんですね。せっかくなので「コピーライターの日にちなんで」ってことにしときます(笑)。じゃ、フランクな感じでいってみまーす!
わたしは「ヘタの食わずぎらい」だった
コピーライターやコピーライターを目指す人は、ものすごく劇的なコピーとの出会いがあってその瞬間コピーライターになりたい!と決めた、という人が多いと思う。そういう人は素直で、感度が高い。
わたしは、特にそういうきっかけがなかった。文学が好きだったので、言葉にとても興味はあったけど、「広告」のことも「コピー」のこともろくに勉強せずに広告制作会社を受けて、運良く(!)入社してしまったのだ。
だから、好きなコピーやコピーライターを聞かれても、いつも曖昧にしか答えられなかった。好きな作家や好きな本を聞いてくれたらいいのに、と思っていた。
そして、よく知らないのをいいことに「コピーってなんかかっこつけすぎますよね」とか、のたまっていた。TCC年鑑(めっちゃ優秀なコピーライターが書いたその年のめっちゃいいコピーを集めた巨大な本)を見ても、そうかぁ、ほうほう、とか言っていたあの頃。
キャーーー!!
本当にあった怖い話〜広告業界編〜!!これぞヘタの食わずぎらい。ヘタなやつほど何も知らないし、知ろうとしないのである。思いかえすだけで背中に変な汗たらり。まったく、井の中の蛙だった。それも、大海はおろか井の中だってわかっていない蛙だった。
衝撃的なキャッチコピーとの出会い
そんなダメすぎる名ばかりコピーライターとしてふらふらしていた3年目くらいの、ある日。
ふと机の上の『SKAT』が目にとまり、手に取った。
SKATとは、宣伝会議賞の一次通過以上の作品がすべて収録されている書籍だ(ちなみに2019年の一次通過の確率は1.04%、つまり100本出して1本通るか通らないかくらい)。不思議な大きさで、分厚い。どこか会社四季報のミニ版みたいな風体で、就活を思い出させる。就活に苦しんだ記憶がジャマをするせいか、買ったはいいもののほとんど開かずじまいだった。
でも、その時は気になったのだ。ぱらぱらとページをめくっていると、突然音もなく、隕石が降ってきた。
母さん何回聞いても、
アンタの仕事は
遊んでるようにしか
思えないんだよ。
(松田正志)
一瞬だった。
気がついたら、のされていた。
え?
えっえっ??
事情がのみこめないまま、のされたわたしは天を仰いだ(正確にはオフィスの白っぽい天井を見上げた)。少しばかり、心は泣いていた。
わたしは「コピーってなんかかっこつけすぎますよね」がモットーのジャックナイフ系コピーライターだったはずなのに、こんなにさくっと簡単にコピーが胸の奥深くに届いてしまうなんて、そんなバターナイフな自分信じたくなかった。だから無視しようとした。
でも、このコピーは強かった。そして、しぶとかった。その日以来、仕事で悩んだりうまくいかなかったりすると、思い出すのはきまってこのコピーだった。
コピーライターをくすぐる”発見”
阿部広太郎さんも、2019年にこんなツイートをしている。
母さん何回聞いても、
— 阿部広太郎|超言葉術 (@KotaroA) November 11, 2019
アンタの仕事は
遊んでるようにしか
思えないんだよ。
九州 宣伝会議
駆け出しの頃、広告コピー年鑑を見ながら「こんな風になれたらいいなあ」とほのかに思ったことを覚えています。真剣に面白く。遊ぶかのように楽しそうにしていたい。
11/11は #コピーライターの日#広告空論 pic.twitter.com/R82TvvS77k
このコピーはやはりコピーライターゴコロをくすぐるのだなぁ。しみじみ。
たとえば、コピーライターってどんな仕事?と友人から聞かれたとしよう。企業や商品のいいところを見つけて言葉にする仕事。そう答えても、友人はふーんとしか思わないだろう。もしかしたらお世辞で「へえ、すごいね」くらいは言ってくれるかもしれない。でも、あのコピーのように「お母さんに仕事の話をするとさ、遊んでるようにしか思えないって言われる」と話したら? 友人はちょっと驚いて、”遊んでるようにしか思えない仕事”の内容をもっと知りたくなるはずだ。と、ビジネス本みたいに解説してみた(笑)。
最大のポイントは、母の視点。母の視点からコピーライターという仕事を語ったコピーは、これまで(おそらく)なかった。コピーライターの魅力があたらしく”発見”されたのだ。この発見こそ、コピーがズバ抜けるためにぜったいに必要なもの。これぞキャッチコピー。じゃあ、そもそも発見とは何なのか?というのはとても重要な話なので、またどこかで書きたいと思う。
ぜんぜん出典を思い出せなくてツイートしたら、ハギがコピー検索でなんなく見つけてくれた。コピー検索、とても便利。
好きなコピーを聞かれたら、今はこれを答えている。
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