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【散文】閉じた部屋で風は止まない

水饅頭になっちゃった
笑いながら袖を捲られた腕を見て、なるほど、と納得してしまう
一日をベッドで過ごすから日に晒されないし晒してもいけないし
何より薬の副作用がそういう変化をもたらしてしまうらしい
少しの衝撃で裂けてしまいそうな、なめらかで柔すぎる感のあるキミの皮膚
触れると薄いゴムのような触り心地は夏祭りで掬った水風船を思い出すし
菲薄化 ひはくかして容赦なく静脈を透かすそこは確かに水饅頭みたいだ
浴衣を着て祭に行くことはもうできないけど夏はここにあるからいい
夏が過ぎればつめたさを含んで吹き渡る秋の風が
秋が過ぎれば囁くように草木を覆う薄氷の冬が
冬が過ぎれば芽吹く寸前の春がそこにある
だから寂しくなんてない
キミとだけの春夏秋冬を見逃したくなくてここにいる
そういえば、と思い出した入院中のキミが送ってきたメール
終わらない点滴に青を超えて黒々と腫れ上がった両腕の画像に
見て、おはぎ。超食いたい
これだから参るすげー好きじゃん




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