【小説】 母はしばらく帰りません 27
子供が生まれる前の両親学級で、出産の様子を撮影したドキュメンタリーを見せてもらった。希望者だけどうぞ、と言うことだったが、参加者はほぼ全員希望したようで、その中でもマティアスは、期待いっぱいのキラキラした瞳で画面を見つめていた。
「すごいね。感動したよ。まずいよね、今からこんなふうなら、俺、本番の時どうかなるかも知れない」
と、半泣きの顔で言った。まるで小さい女の子のように感情豊かなところがあった。
血塗れの出産シーンが怖くなかったかと聞いたが、
「あー、俺、おばあち