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言葉の宝箱0646【いなくなって、はじめてその存在感が明らかになる】


『海近旅館』柏井壽(小学館2018/12/5)


亡き母の跡を継ぎ、東京での仕事を辞め静岡県伊東市にある『海近旅館』の女将となった海野美咲は溜息ばかりついていた。美咲の旅館は“部屋から海が見える”ことだけが取り柄、他のサービスは全て今一つ。客の入りも悪く、共に宿を切り盛りする父も兄も全く頼りにならない。名女将だった母のお陰で経営が成り立っていたことを改めて思い知り、一人頭を抱える。それでも宿を一生懸命切り盛りする美咲に不思議な出会いが訪れる。ある時、不思議な二人組の男性客が泊まりに来る。その二人が『海近旅館』を買収するための下見に来ているのではないかと噂が広がる。「お客さまはけっして神さまではありません。でも、ときどき神さまがお客さまになってお越しになることはあります」働く気持ちを後押しする“おもてなし小説"

・仕事にやり甲斐を感じてる、っていいなぁ P13

・常に何かしら疑いを持って、ことにあたっている気がする P88

・人はいなくなって、はじめてその存在感が明らかになる(略)
そこにいるのが当たり前だと思っていたのが、突然目の前から消える。
その喪失感たるや想像を絶するものだった P249

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