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言葉の宝箱1427【強さと鈍さはどうしたってセットなんだよね。わたしはどんどん強くなって、どんどん鈍くなっていった。弱さから離れようとしているうちに、繊細さからも遠く離れてしまった】

『サニー・シックスティーン・ルール』関口尚(中央公論新社2018年1月25日)


・写真家っていうのは職業や肩書きでもあるけれど、
本質的には生き方なんだからね。
写真を撮りながら生きていくという生き方 P268

・褒められればうれしいし、やる気も出て来る。
少しばかり調子に乗ることも大切なことかもしれない P271

・多くの写真家が柱となるモチーフを二本持っている。
女性と東京とか。インドと浅草とか。旅先と家族とか。
モチーフが多すぎると追いきれないし、深めることも難しい。
二本くらいがちょうどいいのかもしれない P281

・カメラにはずるいところがある。
撮る人間がファインダーを覗くと、
その顔はカメラに隠れて見えなくなってしまう(略)
そのくせ相手には自分の顔すら見せないのだ P282

・カメラを向けるってことは、線を引くってことなんだよ(略)
カメラに向けた対象とのあいだに線を引くんだよ(略)
線を引き、自分と対象との違いを見つめて、
そのうえでカメラを向けている
この自分はなんなのだろうって問いかけるんだよ。
そして、シャッター切るってことはね、
引いたその線を踏み越えていくことなの(略)
線を踏み越え、自分ではないその対象を引き受ける覚悟が、
写真を撮るうえでわたしは大切だと思ってるの P283

・〈世に出ていくとき、
世間と折り合いをつけるための接点というものはどうしても生じるからね。写真家だから写真を撮ってさえいればいい、
なんてわけにはいかないとわたしは思うな〉
自分の作品が世間に広まることを手伝ってくれる人のために、
撮った本人も最大限の努力はすべきじゃないかな。
自分が好きでやっている表現が市場に結びついていて、
お金をいただけるってことはとても幸せなことだからね P297

・表現する人は批評家になってはいけない。
批評している人の作品はつまらなくなる気がする。
イエスかノーかは、自分の作品で表現すべきだ P313

・出会ったものを白い紙の上に再現する点なら
文章も写真もいっしょだけど、
文章は記憶をたどって出会った瞬間に戻って書ける(略)
写真は出会った瞬間に撮らないと永遠に失われてしまう P387

・強さと鈍さはどうしたってセットなんだよね。
わたしはどんどん強くなって、どんどん鈍くなっていった。
弱さから離れようとしているうちに、
繊細さからも遠く離れてしまった P399

・たくさん泣くってことは本当に愛した証しだよ P402

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