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言葉の宝箱 0998【悔いを残さず、やれることをすべてやって…… ああ、やりきったと思ったら、やめればいい】

『永久のゼッケン』倉阪鬼一郎(出版芸術社2019/3/15)

稲垣真鈴の父、
滋は多摩川ウルトラマラソンの100キロの部に毎年出走していた。
10回目の完走者には多摩川ブルーの永久ゼッケンが贈られるが、
滋は8回目に出走後に病気が見つかり、
9回目は何とかゴールにたどり着いたが、10回目は出走できず、
入院中に散歩した時、滋は多摩川の川面を見ながら
「あの水になって、戻ってくる」と言い、半年後に逝った。
次のマラソンで母のかおりは
滋の想いを叶えるために出走するが87kmでリタイア。
真鈴は母と2人で50キロに出走し、
心の中で永久ゼッケンを手にするために
父の残りの1回分を2人で走ることにした。
一方、千々和純一はかつて日本のトップ長距離ランナーだった。
故障によってスランプになり、目標を見失いかけていたが、
このウルトラマラソンに参加することで走る喜びを取り戻そうとしていた。真鈴と純一の出会いを軸に様々な事情を抱えながら、
大会に参加するランナーたちの姿を描いたマラソン小説。


・悔いを残さず、やれることをすべてやって……
ああ、やりきったと思ったら、やめればいい P62

・後悔するのも人生のうちさ P84

・一人で黙々と練習しているうちに、
いつのまにか心の扉が閉ざされてしまったのかもしれない P101

・たとえアウトになっても、走り終わったら次につながるから P107

・止まってはいけない。
一度止まったら最後、二度と走れなくなってしまう(略)
痛いのが当たり前だと思うようにした。
そう考えると、いくらか気が楽になった P163

・ウルトラマラソンを何度も完走しているランナーは、
経験上わかっている。
一〇〇キロという途方もない距離を、
初めから終わりまで快調に走れることなどありえない。
必ずどこかで何かが起きる。体のあちこちが痛みだす。
同じ動きの繰り返しに体が悲鳴を上げるのだ。
痛みは予期せぬところに表れる。気力も萎える。
ここでやめれば楽だぞと心の中で悪魔がささやく。
そういう状態になってからが、本当の勝負だ。
ウルトラマラソンを完走するためには、
むろん体力も必要だが、真に大事なのは折れない心だ。
それさえ保っていれば、たとえ速くなくても、
たゆみなく走りつづけてゴールに到達することができる P184


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