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言葉の宝箱0896【ずーっとおんなじより変われたら、いいのかもしれない】


『時速47メートルの疾走』吉野万理子(講談社2014/9/29)


体育祭でビリになった緑組の応援団長町平直司が逆立ちで校庭2百メートル一周することになった。きっと途中で諦めるだろうとみんなが思う中、全国模試4位の成績優秀な伊集院慶一は「俺のせい?」と後ろめたくなり、母親の再婚話をうとましく思う美鈴は「もしかして、私を助けてくれたの?」と動揺し、野球部四番の大門勝也は戸惑いながらも「こいつを応援したい」と思う。中学生4人の視点で中学生たちの“弱さ”と“本音”。誰もが抱えている弱い部分を奮い立たせてくれる。『立ちすくむ人』『見守る人』『見守りたくなかった人』『疾走する人』の4章。

・気さくに、相手より下から行く。
挨拶をされるのを待つのではなく、こっちから声をかける。
自分を大きく見せようとせず、むしろ弱いところもきっちり見せる。
その法則を編み出したおかげで、
俺は小学生以来、一度も面倒くさい人間関係に陥ったことはない P11

・弱いやつら、ひとりひとりじゃおまえに勝てなくても、
集団だったら、おまえを取り囲んでひとりぼっちにできる。
今、やつらはその力に気づいたんだろうな(略)
つまりおまえが、自分のまわりにいる人間は自分よりずっと弱いって
気づいてなかったことに問題がある(略)
動物だってわかることだ。
自分が相手よりも強いのか弱いのか。弱いやつは必ず目をそらす。
おまえの目を見て話かけてきたやつだけが、
おまえのことをこわがってない。
そういうやつには、本当のおまえをぶつけたって大丈夫だ(略)
それってさ・・・初対面が大事だってこと? P180

・オレと目を合わせるやつが強いやつで、
オレと目を合わせないやつが弱いやつ。
その二つだと言ったけれど、もう一つあるんだ。見向きもしないやつ。
オレのことなんて P195

・大人になるまで、ずーっとおんなじよりも
『あれ、あいつ、ああいうやつだっけ』って
まわりに思われるくらい変われたら、いいのかもしれない P219


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