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言葉の宝箱 0349【写真は時を止めてしまうんですよね …… 時を閉じこめてしまう。閉じこめられた時をあとで見た時、懐かしいと思う人もいれば、悲しいと思う人もいますよね】

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『風味さんのカメラ日和』柴田よしき(文春文庫2017/8/10)

東京を離れ洋菓子店を営む実家に戻った
風味は幼馴染の頼みでカメラ講座に通うことに。
いつも写真がボケてしまう老人、
寂しくない写真を撮りたい中年女性などが集う中、
講師の知念大輔はカメラマンを挫折した天然なイケメンだが、
彼はレンズを通して受講生の心を癒していく。

『バッテリーの残量が不足しています』『記念にならない記念写真』
『寂しい写真、寂しくない写真』『1足1は』の4章。

・褒めてんだよ。
俺らみんな大人になって、いろいろ妥協することをおぼえただろ。
おまえなんか …… そのまんま、とんがって生きてんだなあ、って P22

・同じものを同じカメラで、同じ設定で撮っているのに、
撮った人の数だけ違うものが撮れる。それが、写真の本質(略)
だから自分で撮る意味があるのだと P41

・孫は子どもと違って無責任に可愛がれるので楽 P45

・姑がどれだけ我慢しているとしても、
その我慢を理解してもらえるとは限らないのだ。
たとえ口だけでも、本人がいないところでこれだけ褒めてもらえ、
老後の面倒をみたいと言ってもらえたというだけで、
苦労が報われたということだ P61

・写真は時を止めてしまうんですよね …… 時を、閉じこめてしまう。
閉じこめられた時をあとで見た時、
懐かしいと思う人もいれば、悲しいと思う人もいますよね P81

・記念写真というのは全身をすっぽり写さなくてもいいわけで、
大切なのは人物の顔であり表情です P87


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