わたしは結婚に興味がない
こんばんは。
数週間前からちらほら蝉の鳴き声を観測(聞く方でも観測って言うのか?)していたが、
最近はそれがより多くなったことに気づく。
梅雨が明けて本格的な夏が来る合図だ。
蝉は7年ほど土の中で過ごし、地上に出るとその命は約1週間ほど。
その約1週間で子孫を残すために命懸けの求愛行動をする。
そんな生命に毎年感動し、また憧れている。
先日、いつものように父親とお昼ご飯に行った際、
久しぶりに「結婚」についての話が出た。
無職になりたての頃は、この手の話を出されると自分自身のことで精一杯なのよとムキになっていたが、
それも数と年齢を重ねる内にうまく話をすり抜けられるようになった。
父親はわたしに結婚してほしいと思っているようだが、わたし自身、正直全く結婚について興味がない。
「親がいなくなったらその後どうするの?」
と聞かれるが、どうもしない。
ただ親と一緒に死にたいとは思っている。
それを一度両親に伝えたことがあるが、
一言「やめて」とだけ言われた。
なんか悲しくさせちゃってごめん。
だけどそれはわたしの本心なのだ。
わたしが人生で何より愛しているのは家族と親族である。
彼氏や夫にそこまでの愛情を注げる自信と想像が今はつかない。
つかないというか、現に実際そうだ。
そして離れて気づく。
大切な存在だったなぁと。
時すでに遅し。でも別にいい。
それ以上に家族が大切だからそれでいい。
逃がした魚は大きいと感じるが、再度取りに行くことはしない。
自分の下した決断と人類の運命を信じている。
また人生を歩んでいる内に点と点が交わるはずだと本気で思っているからだ。
「そういえば、前連れてきた彼とはどうなったの?」
…!!?
不意に痛いところを突かれた。
びっくりして食事する手が止まってしまったが、平然を装う。
「連絡取るのやめた」
「なんで?」
「んー、どっちにしろ家離れないといけないの嫌だから」
同棲を考えていた元カレの話。
わたしが初めて両親に紹介した人。
会話の言葉は嘘ではないが、本当は同棲するつもりでいた。
だけどこれは親には言っていない。
その反面、家や家族から離れて暮らすのも正直嫌だった。
中途半端でどちらにも傾きようがある状態で親に紹介した。
会う場所はカフェとかラフなところでもよかったが、
ちゃんとしたところにしようと料亭をセッティングした。
両親に日にちをあけてもらい、彼にもそれを伝え、ぎこちない雰囲気で始まった会食。
わたしはその空気に耐えきれず、とりあえず思いっきり出された食事を食べていた。
しかし、途中で、全員の接点はわたししかいないじゃんと気づき、会話を振ったりしてはみた。
が、その内容は特に挙げる点はなく、この会食の本当の目的である同棲の話も出せるタイミングなく終わった。
ただの顔合わせみたいな感じ。
全員が全員初めてのことで、どう進めていっていいか分からずに時間が経過していた。
だけど、わたしは食べながら目の前に座る両親の表情に心を持っていかれていた。
悲しそうな顔をしている。
そこからそれしか考えられなくなり、
わたしは同棲するのをやめようと思った。
彼は彼で、同棲の話を出せる勇気がなくてごめんとわたしに謝っていた。
親離れできていないわたしの考えは、
甘っちょろく社会を知らずに育った子供のような大人なのかもしれないが、別に他人からそう思われていてもいいと振り切れるくらい優先順位の第1位は家族と親族に関することである。
その後すぐに彼とは別れた。
わたしにその気がなくズルズルと付き合っていても、向こうからすれば時間の無駄になるかもしれないと思ったから。
しかし彼はわたしの気持ちが同棲や結婚に傾くまで待つよと言ってくれた。
わたしは、いつになるかも分からない未来のことにまでわたしに時間を割かなくてもいいと言った。
なんて冷たい人間だ。彼はとても温かかったのに。
「家離れる気で連れてきたんじゃないの?」
と父親が言う。
「2人が悲しそうだったからやめた」
とつい本音を漏らしてしまった。
別れた理由を親のせいにしたいわけではなかったから今まで言わなかったのに。
「え、悲しそうじゃないよ、そんな顔してた?」
と言っていたが、焦っているように見えたので、わたしが当時感じたことは当たっている気がした。
日常を生活していると、元カレと過ごした日々が濃かったことを思い知らされる。
アニメや漫画や映画、ライブに行きまくっていたバンドの新曲について。
「ねえ、あのさ〜」「これ見てよ」
話したいことがありすぎる。
しかし、もう元に戻ることはない人間関係。
叶うことも自ら叶えるために行動することもしない。
わたしはその先を約束できないから。
「結婚しないの?」
「たぶんあの人で最後かな。もうそれ以上の人とは出会えないと思うから結婚はしないよ」
と答えた。
(久しぶりにイラストを描いた気がする。着るタイミングないけど、ドレスを着るなら黒がいい)
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