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頭空っぽの方が、学ぶ楽しみが増えると妻は言った。

「いや、私もわかんない。ごめん」

全く、ダメダメである。
前に古本祭りで買った本を開いた所、旧字が読めずに1ページ目でストップしてしまった。なんだこれ漢字は。全くわからん。

それで妻に読み方を聞いてみたが、妻にだってわからない。妻は本を読まないのである。読めなくて当たり前だ。そもそも私は読めない漢字が多すぎる。頭のスペックが足らなすぎるポンコツマンなのである。無学とは非常に残念だ。頭がよく生まれたかった。

はあ、読めない。俺はバカだ。バカは嫌だ。頭良くなってかっこいい男になりたかった。
ヨヨヨとうなだれていると、妻は私にこう言って見せた。

「よかったね。またたくさん勉強出来るじゃない」

私は妻のこういう所が好きだ。
物事の捉え方がとても柔軟だ。

ドラゴンボールのOPの歌詞にも「頭空っぽの方が夢詰め込める」とある。ものは考えようだ。私の無学という状態は、捉え方によっては悪いことでない。もちろん若い頃にもっと勉強をしておけばよかったが、今からだって遅くない。私は妻に「ありがとう」とだけ言い、また旧字だらけの本を読み始めた。

ちなみに読んでいるのはシャルル=ルイ・フィリップ著の『若き日の手紙』だ。

若き文学青年が友人に宛てた手紙。

この本を手にした時、私の博学な友人のことを思い出して、購入した。私も、遠くにいる友人に毎日のようにLINEをしている。その中で、たくさんの私の思いを伝えていき、そしてたくさんの夢を語り、勇気をもらった。友人とのやりとりは素晴らしい。きっと、この本は何か役に立つことが書かれてあるだろうと思った。

頭空っぽの私には、時間がかかる一冊だろうが、学ぶ楽しみを噛み締めて、ゆっくりと読み進めるようにする。

妻よ。いつも私に強い心を与えてくれてありがとう。君の素晴らしさだけは無学の私にも十分理解出来る。

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