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「ウマ娘」って、何でこんなに人気なの?

先日、ネットで興味深い記事を見つけた。
それは過去に遡り、各年ごとの円盤(DVD&Blu-rayなど)の売上1位アニメを列挙した内容だったのね。
調査対象は1978年から始まっていてデータは膨大だったんだが、ここではその抜粋として00年代以降のデータに絞ってご紹介したい。

<各年円盤売上1位アニメ>

【2000年】ラブひな 28,950枚
【2001年】まほろまてぃっく 16,158枚
【2002年】機動戦士ガンダムSEED 71,081枚
【2003年】鋼の錬金術師 64,992枚
【2004年】機動戦士ガンダムSEED DESTINY 80,635枚
【2005年】AIR 26,091枚
【2006年】コードギアス反逆のルルーシュ 62,527枚
【2007年】機動戦士ガンダム00 42,415枚
【2008年】マクロスF 64,981枚
【2009年】化物語 82,803枚
【2010年】けいおん!! 42,433枚
【2011年】魔法少女まどか☆マギカ 80,089枚
【2012年】偽物語 65,133枚
【2013年】進撃の巨人 83,683枚
【2014年】ラブライブ!2期 116,266枚
【2015年】おそ松さん 114,548枚
【2016年】ラブライブ!サンシャイン!! 83,384枚
【2017年】けものフレンズ 6.6万部(本扱い)
【2018年】ゾンビランドサガ 23,178枚
【2019年】鬼滅の刃 29,458枚
【2020年】プリンセスコネクトRe:Dive 41,421枚
【2021年】ウマ娘プリティーダービー2期 200,591枚
【2022年】リコリスリコイル 33,011枚

「ウマ娘プリティーダービー」
「ラブライブ!」
「おそ松さん」

2023年のデータはなかったが、「呪術廻戦」が26,000枚以上売れて1位だったという話も耳にしている。
ちなみに、↑↑のデータで太字にしてるところは10万枚以上売れたという「大ヒット」の意味にしてます。
・ウマ馬プリティーダービー
・ラブライブ!
・おそ松さん

この3タイトルが、ここ20年間における三強だということ。
ん?
意外な三強?
そうだよね~。
もっと社会現象的な意味では、「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」なんかがきてもおかしくないのに。
いや、ここで敢えて言おう。
社会現象と円盤の売上は無関係ではないが、でも一般的に思われてるほどにはあまり関係がない。
えっ?じゃ、円盤の売上って何なの?
と不審に思うだろう。
うん、これについては、このデータを掲載してたサイトの中で非常に面白い記述があったんだよ↓↓


【1981年】うる星やつら グッズ売上100億円(うち、33万円のLDが6000セット)
※全話収録したLDを単価33万円、全部で6000セット販売したところ、予約だけで完売。
LDの売上を今の円盤単価7000円で置き換えたら、約28万枚売れた計算になる。

LDというのはDVD誕生以前に存在していた巨大なディスクのこと
DVD&Blu-ray誕生に伴い、絶滅したとされている

33万円のLDが、発売前に6000セット完売?
どんだけバブルだよ!
でも、これでお分かりいただけるだろう。
オタクというのは、愛するものに対しておカネを惜しまないんだ。
それが最初に現象化したのが、「うる星やつら」だったと推察できる。
ここでポイントなのが、多くのオタクが【作品<キャラクター】という認識で投資をしてるということ。
作品そのものというより、キャラへの愛ゆえに投資してるんだよ。
「え?俺は違うぞ!」という人もたくさんいるだろうが、まぁ一般論としての話だから、ここは抑えてくれ。
このての話なら、00年代に端を発するAKB総選挙をイメージしてもらえばいいのさ。
あれって、確か投票権を得るためにCDの購入が必要だったよね。
だからファンたちは皆CDを何枚も買ってたわけで、あまりにもたくさん買いすぎたファンはCDが邪魔で、山中に不法投棄してたというニュースもあったほど。
これって、まさに【作品<キャラクター】の構図じゃん?
このCDを捨てたファンは、作品(この場合は楽曲)にはさほど興味なかったんだろう。
興味があるのは、あくまでキャラクター(この場合は推しのメンバー)の方なんだよ。

さて、冒頭のランキングの話に戻ろう。
じゃ上記の話を踏まえた上で、もう一度ランキングを見直してみてくれ。
ね?
気が付いたでしょ?
全て、AKB的構造のアニメばかりなんだよ。

・主役一強ではなく、登場人物の人気がグループとして分散している構造。
・各々のキャラクターに萌え要素が強い(腐女子的な嗜好も含む)。
・キャラソン(声優が唄う曲)が挿入されてるものが多い。

つまるところ、いまや円盤の売上とは、ファンの推しキャラへの愛の深さを示すバロメーター、という意味をもつのだと私は解釈している。
そして、この構造を一番分かってるのは、おそらくアニメ制作サイドのはずだ。
多分、彼らはジレンマだろう。
作品を作ってる彼らからすれば、【作品<キャラクター】なんて不本意なのよ。
せっかく自分たちが必死こいて作品作ってるんだから、それを見る人たちのスタンスは、むしろ【作品>キャラクター】であってほしいものである。
それこそ、CDが山に棄てられたと聞いた作曲家の気持ちに近いものがあるのでは?
・・とはいえ、円盤の販売枚数こそがアニメの成否であり、彼らは心にフタをして、今日も「売れる萌え」の追求に努力してることだろう。
辛いね。

しかし「ウマ娘」の20万枚以上の売上は想像してなかった・・
Cygames、めっちゃ儲かってるのでは?

ひとつ本質的な話をさせてもらうなら、売れるアニメ=優れたアニメか?
いや、必ずしもそうとは言い切れない。
音楽でいうと、CDが最も売れた曲が最も良い曲かといえば、そうでもないだろう。
そんなこと言ってしまえば、ジャニーズ系や秋元康プロデュース系ばかりが最高に良い曲ということになってしまうし。
ああいうのはマーケティングの巧さであり、作品の質はまた別問題である。
じゃ、ここで円盤売上と、東京アニメアワードの結果を比較してみようか。
とりあえず、過去10年。

【2014年】
・円盤売上1位アニメ⇒ラブライブ!2期
・アワード最優秀作品⇒ピンポンTHE ANIMATION
【2015年】
・円盤売上1位アニメ⇒おそ松さん
・アワード最優秀作品⇒SHIROBAKO
【2016年】
・円盤売上1位アニメ⇒ラブライブ!サンシャイン!!
・アワード最優秀作品⇒ユーリ!!!on ICE
【2017年】
・円盤売上1位アニメ⇒けものフレンズ
・アワード最優秀作品⇒けものフレンズ
【2018年】
・円盤売上1位アニメ⇒ゾンビランドサガ
・アワード最優秀作品⇒ゾンビランドサガ
【2019年】
・円盤売上1位アニメ⇒鬼滅の刃
・アワード最優秀作品⇒鬼滅の刃
【2020年】
・円盤売上1位アニメ⇒プリンセスコネクトRe:Dive
・アワード最優秀作品⇒映像研には手を出すな!
【2021年】
・円盤売上1位アニメ⇒ウマ娘プリティーダービー2期
・アワード最優秀作品⇒呪術廻戦
【2022年】
・円盤売上1位アニメ⇒リコリスリコイル
・アワード最優秀作品⇒SPY×FAMILY
【2023年】
・円盤売上1位アニメ⇒呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変
・アワード最優秀作品⇒推しの子

こうして見ると、ここ10年で円盤売上1位とアワード最優秀賞のダブルを成し遂げた作品は3つ。

・けものフレンズ(2017年)
・ゾンビランドサガ(2018年)
・鬼滅の刃(2019年)

はい、この3つを本当の意味での「覇権アニメ」と認定します。

「けものフレンズ」
「ゾンビランドサガ」
「鬼滅の刃」

さて、ここまで書いて最後にこんなこと言うのもなんだが、私はここ何年も円盤を買っていない。
昔は買ってた時期もあるんだけど、今は普通に配信を見るだけ。
なんかゴメンなさい。
でも作品愛は割とある方だと思うし、あ~、でもキャラ愛は薄い方かな~。
いや、好きは好きなんだけど、巨額を注ぎ込むほどまでには狂えないというか・・。
乃木坂とか、アイドルにも特に萌えない方だったし。
私の場合はキャラクターそのものより、その背景にある作家性の方に興味が湧いちゃうタチでね。
私みたいなタイプの真面目じゃないオタクって、世の中に意外と多いんじゃない?

でも「リコリコ」は、なんかイイな~♡って漠然と思う


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