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欧州で旋風を巻き起こした、お尻好きの日本人女性アニメ作家
今回は、ちょっと変わったアニメをご紹介したいと思う。
ぶっちゃけ、
ええっ?何でこんなアニメが国際的に高く評価されているの?
という感じのやつね。
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さて、皆さんは「アヌシー国際アニメーション映画祭」って知ってる?
まぁ、アニメ好きの人ならよくご存じだろう。
これのもともとの母体は「カンヌ映画祭」で、そこのアニメ部門が独立する形になったアニメ映画専門の国際コンペだ。
当然、権威はあるわけですよ。
人によっては、「世界で最も権威のあるアニメ賞」という表現をする。
なんせフランスは「バンドデシネ」の国、つまり漫画を芸術と捉えるほどに世界屈指のコミック大国だからね。
そういう国が主催する「国際アニメ映画祭」なんだし、当然一目置かざるを得ないさ。
で、そういう権威ある賞ゆえ、いくらアニメ大国・日本と言えど、そう簡単にグランプリは獲れないんだよね。
今まで、ここで長編映画部門のグランプリを獲った日本人は
・宮崎駿
・高畑勲
・湯浅政明
の3名のみ。
彼ら以外に細田守、原恵一、片渕須直、山田尚子が出品したものの、最高賞にまでは届かなかった・・。
ぶっちゃけ、受賞の回数でフランスや米国に大きく引き離されてるのは事実である。
なんせ、ここでは<芸術>を求められちゃうから、正直ちょっとキツいんだよなぁ・・。
ちなみに、日本人では唯一<短編部門><長編コントルシャン部門>で各々グランプリを獲った山村浩二さんという二冠の人がいて、きっと彼みたいな作風こそが「アヌシー」には合ってるんだろう。
じゃ、彼のグランプリ受賞作のひとつ、短編「頭山」をご覧ください↓↓
う~む、この作品のどこがそんなにいいのか、正直よく分からん・・。
いや、これは単に私の鑑賞眼がないだけの話だけどね。
実際、山村さんのファンは日本国内にも結構いるみたいだし、そこそこ有名な人なんだわ。
・・ただね、私は彼よりも、今回どうしても紹介したいクリエイターが別にひとりいるのよ。
それは冠木佐和子さんという人。
・・あっ、冠木さんの名前で、思わずニヤっとした人は、あなた、かなりのアニメ通ですね(笑)?
冠木佐和子(かぶきさわこ)1990年生まれ
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彼女、こう見えて「アヌシー2017」で<学生部門>準グランプリ受賞した人なんですよ。
ひょっとしたら、日本国内より海外での方が有名かもしれないな。
で、その「アヌシー」での受賞作品のタイトルがこれです↓↓

・・これって、現地のフランス人たち、一体どんなリアクションしてたのかな(笑)?
まぁ、おそらく皆さんのうちの多くがこれをまだ未見だろうし、とりあえず上記のタイトルをそのまんまYouTubeで検索にかけてみてください。
すると、無料フル動画が見られます(時間3分ぐらい)。
なお、作品にはストーリー説明として、次の文が添付されていました。
過去にあった辛い出来事も時間が経てば思い出になる
しかし私たちは再び吐き、そしてまた食べる
人生はエコロジー
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・・もうね、私はこの作品の内容を見て、大爆笑しましたよ!
冠木さん、めっちゃエエわ~!
なお、本作は「アヌシー国際映画祭」のみならず、
第11回the International Animation Film Festival(スイス)グランプリ受賞
2016 Morbido Film Festivalショートフィルム部門準グランプリ受賞
2017 MONSTRA - Lisbon Animated Film Festival 2017 審査員特別賞受賞
2017 ザグレブ国際アニメーション映画祭審査員特別賞受賞
2017 Paris International Animation Film Festival Originality Award受賞
2017 LIAF: London International Animation Festival(英国)審査員特別賞
といった感じで、国際的にかなり評価が高い。
また、他にも彼女の代表作としては
「肛門的重苦-KETSUJIRU JUKE」
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2013 学生CGコンテスト 評価員賞受賞
2014 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 優秀芸術賞受賞
2014 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル学生部門グランプリ受賞
2014 3331 千代田芸術祭 2014 映像部門 スカラシップ賞受賞
2014 第4回東京女子エロ画祭 審査員特別賞受賞
「Ici, là et partout」
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2013 プチョン国際学生アニメーション映画祭 製作者協会長賞受賞
2014 文化庁メディア芸術祭 審査員推薦作品
「MASTER BLASTER」
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2015 Insomnia festival(ロシア) 観客賞受賞
2015 第21回学生CGコンテスト 審査員賞受賞
2016 Flatpack Festival(英国) RANDOM ACTS AWARD受賞
2018 Florida Film Festival(USA) Best Midnight Short賞受賞
「おかあさんにないしょ」
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2015 Bucheon International Animation Festival(韓国)審査員特別賞受賞
2016 SXSW (South By Southwest Film Festival)(USA)審査員特別賞受賞
などがあり、とにかく海外のあちこちから絶賛されてるんだ。
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なんかさ、冠木さんの創る映像はほぼ全部がエロ、もしくは下品なんだよね。
ただ、海外ではこういうのを<芸術>のカテゴリーで解釈してるっぽい。
‥で、冠木さんがなんでこんな過激なエロ路線なのかというと、実は彼女の経歴は多摩美大卒業後、
アダルトビデオ制作会社でADの職に就いてたらしいのよ。
結局そこは辞めて再び多摩美大に戻り、大学院に入ったという経緯らしい。
で、その大学院でいよいよ本格的に制作活動に入り、
「好きな人の肛門の中に隠れたい・・」
という心境の中で作ったのが、「肛門的重苦-KETSUJIRU JUKE-」だったという(笑)。
やがて、これがあちこちで絶賛されるようになったわけだね。
いやいや、「肛門的重苦」はマジ凄いよ。
冒頭でいきなり
「ケツの穴から、ジュルジュルと、
汁が出てくるぅ~っ!!」
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というオンナノコの悲痛な雄叫びから始まるからね(笑)。
・・一体何なんだろう、この世界観?
しかし十分に一見の価値のある作品なので、是非皆さんもチェックしてみてほしい。
とりあえずは一度、YouTubeで「SAWAKO KABUKI」と検索してもらいたいな。
すると冠木さん個人のチャンネルがあるので、そこには前述の作品群が全て格納されてます。
ほぼ全部、笑えます。
いやホント、この人にはめっちゃ興味湧くよね。
ちなみに、喋り方はこんな感じの人です↓↓
このインタビューの中に「これが初めての制作プロダクションがついた作品です」というフレーズがあり、それ聞いて、そうか、この人って全く日本のアニメ畑じゃないところでアニメ作ってきた人なんだ、と改めて再認識したわけよ。
思えば、彼女のアニメにはほとんど<日本アニメの文脈>がない。
いい意味で、良識もない。
常識もない。
たとえば、この人って「萌え」とか描けるのか?
いや、ディープな「フェチ」なら描けても、テンプレっぽいものとか、絶対描けなさそうな気がする・・。
<日本アニメの文脈>
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冠木さんが何に影響を受けてこうなったのは知らんが、おそらくその影響の源は日本アニメ以外の何かだろう。
どっちかというと、それこそフランス「バンドデシネ」の世界観に近いよね。
<フランス/バンドデシネの文脈>
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付け加えると、彼女の画はやや湯浅政明の文脈に近いものがあると思う。
<湯浅政明の文脈>
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もともと冠木さんは湯浅さんがサイエンスSARU時代でやってた形同様、Adobeなどのアプリを使って全部1人でアニメを作り上げるタイプらしく、ようするに、平成以降の<新しいタイプのアニメーター>である。
もし、<湯浅政明✕冠木佐和子>というタッグが実現でもした日には、結構凄いアニメができるような気がするんだけど?
あるいは湯浅さんじゃなくとも、その相性はSTUDIO4℃あたりでもいいかもしれない。
<STUDIO4℃の文脈>
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思えばSTUDIO4℃はフランスと合同で映画制作するなど、「バンドデシネ」にゆかり深いところである。
ひとつ問題は、田中栄子社長(元ジブリ)が「ケツの穴から、ジュルジュルと、汁が出てくるぅ~っ!!」という作風をどう捉えるかなんだけど、まぁ、そこは気にしてもしようがない。
汁は出るものである。
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どっちにせよ、早いこと、誰か冠木さんにはツバをつけといてほしいんだよね。
放っとけば、そのうち彼女はどこかの海外資本側に取られちゃうような気がするよ?
というか、今の彼女の拠点は日本じゃなく、ほとんどNYになってるらしいし・・。
こういうの、絶対モッタイナイって。
才能の海外流出じゃん。
山田尚子やいしづかあつこもそうだが、やっぱ美大出身の女子は面白いのが多いんだからね?
そもそも、これほど世界で注目を集めてるアニメ作家が、いまだ長編アニメ映画を1本も作ってないという事実を、日本アニメ界はもっと憂慮しなくてはならんぞ。
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