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運動していない体も頑張っている!! 頑張り過ぎているところをねぎらおう
「体を動かすのは久しぶり」、「運動経験はほとんどない」、そんな方が私のピラティスのレッスンにいらっしゃると
「ずっとさぼっていたのでダルダルです」
「運動しないからすっかり固まっていて…」
と申し訳なさそうにお話しされることが多いです。
運動していない→頑張っていない=さぼっている→悪いこと
そんな風に思っている方が多いのではないでしょうか?
運動していない体も頑張っている!!
人間の体には、意識しないでもついつい頑張ってしまう箇所がいくつかあります。
「頑張りすぎているところがある」というお話をすると
「えっ?全然運動もしていないのに?」
「全然頑張っているつもりなんてないのに?」
「だらけてますよ?!」
と不思議そうな顔をされますが…
そうなんです、この、頑張っているつもりはないのに頑張っている、これが数々の不調の原因になっているのです!
今日は、特にオフィスワークの人がつい頑張ってしまう箇所にスポットを当ててみましょう。
頑張っている箇所 その1 首の付け根
重い頭や腕を支えている首の付け根は頑張っているところの代表のような箇所。
立っている状態で、腕の重みを感じることができますか?
もし、「え?腕って重い??」となった場合、首の付け根が頑張って腕を持ち上げてくれている可能性が大。
さらに、パソコン仕事やスマホ、料理など、日常生活はついつい頭が胴体より前にいく、前のめりになる状況が多いです。
頭の重さは体重の10%と言われています。
50キロの人でしたら5キロの重さが細い首の上に乗っているわけです。
胴体の上に乗っていればまだしも、頭が胴体より前に出てしまうと、すべての重みを首の付け根で支える形になってしまいます。
これが頑固な首や肩の凝りの原因にもなります。
頑張っている箇所 その2 腿の裏
前述したように、現代の日常生活は頭が前にいくことが多いです。
すると体は、骨盤を後ろに倒すことで重い頭とバランスを取ろうとします。
骨盤を後ろに傾けて座っている(猫背で座っている姿を想像していただけるとわかりやすいでしょう)時に、椅子から滑り落ちないように頑張っているのが実は腿裏、ハムストリングです。
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座っている時間が長ければ長いほど、一生懸命頑張ってくれているのがハムストリングなのです。
ハムストリングは「硬い」とお悩みの人も多い箇所の一つですが、その原因の一つは間違いなく長時間のデスクワーク。
せっかく頑張っているのに「硬い」と嫌がられるハムストリング、ちょっとかわいそうな感じがしませんか…?
頑張っている箇所 その3 みぞおちの裏
頭が前に出たり、背中が丸まり骨盤が後ろに倒れていると、多くの方は「姿勢が悪い」と認識して正そうとします。
姿勢を正すことはよいことなのですが…。
運動不足の人は、背骨や股関節、骨盤周りの柔軟性が落ちていることがほとんどです。
その状態で何とか姿勢を正そうとすると、ここで頑張ってしまうのが背骨の胸の部分と腰の部分の境目、みぞおちの裏あたりです。
背骨の中でもこの部分は比較的動かしやすいので、みぞおち裏をグッと前に突き出すことで頭が後ろに行き、背中の丸みも取れます。
ちょうど、「気を付け!」と号令をかけられて胸を張る感じ、と言えばイメージしやすいでしょうか?
なんとか姿勢を正そうとみぞおち裏を突き出してしまうと、腰回りの筋バランスが崩れ腰痛の原因にもなりますし、前腿が発達してハムストリングがますます硬くなってしまいます。
頑張っていることを認めよう
このように、ご自身は「まったく頑張っていない」と思っている体も、ただ生活しているだけでとても頑張ってくれているのです。
その頑張り、是非ねぎらうように、やさしく緩めましょう。
イメージは、一つ前のホリ研マガジンの記事です。
冷蔵庫で硬くなってしまった納豆を、そーっと混ぜ始めるように、お箸が折れないように少しづつです。
上で上げた3つの箇所を緩める具体例を挙げてみますね。
首の付け根はやさしく手のひらでさすってみましょう。
それだけで緊張が少しは緩むはずです。
腕をだら~んとして重みを感じようとしてみると首の付け根の緊張も取れます。
腕をだら~んとした上で、手のひらを正面に向けたり手の甲を正面に向けたり、腕の付け根から動かすのもおすすめです。
肩甲骨をよい位置にキープする筋肉を鍛えることができます。
ハムストリングも、やさしくさすってみたり、テニスボールなどで少し圧を加えると緩めることができます。
お風呂で軽くマッサージもおすすめです。
ストレッチもしたいところですが、これは結構コツがいるのでまた別途。
みぞおち裏を緩めるのにおすすめなのは深呼吸。
手の甲をみぞおち裏に置き、そこを膨らませるようにたっぷり息を吸ってみましょう。
背中を壁につけて、みぞおち裏を意識しながらの深呼吸も効果的です。
ちょっと注意していただきたいのは、「深呼吸をする!」と気合が入りすぎてしまうと、頑張り屋さんほど首の付け根に力が入り、肩が上がってしまいます。
あくまでゆったりと、全身を緩めるように深呼吸してみましょう。
運動をすると、頑張る箇所が上に上げた3つに集中せず増えるので、結果体の状態がよくなる、というメリットがあります。
また、ピラティスやヨガなどのボディワークは頑張りすぎているところに気付きやすくなり、もうちょっと頑張ってほしいところを効率的に鍛えることができます。
いずれにしろ、運動していない=頑張っていない=悪 ではありません!!
運動しないからこそ頑張っているところ、ねぎらってあげてくださいね!