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2022

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#大森靖子

散髪・久しぶりに批評を書く(エッセイ)

散髪・久しぶりに批評を書く(エッセイ)

美容室に行った。
いま通っている美容室では2-3コ歳下の女性が担当している。1年程前からだ。喋って客の反応を確かめながら切っていくスタイルらしく、私が雑誌を読んでいても声をかけてくる。私もお喋りが嫌いでは無いので、これまで気になっていたこと(美容師さんの休み事情やら指名料の配分やら)を時々質問したりしていた。

昨日は、「ツーブロックをやめて少し短く、けど次回またパーマを当てたいから短すぎない感じ

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『Kintsugi』評 後編(「夕方ミラージュ」と「KEKKON」、サバイバルのための結婚)

『Kintsugi』評 後編(「夕方ミラージュ」と「KEKKON」、サバイバルのための結婚)

#1 「夕方ミラージュ」で描かれるのは、家庭という空間に囲われて腐っていく主人公の姿だ。結婚して家庭を築いたのに埋められない孤独と絶望。

夕方、夫と子供が帰宅するまでの僅かな時間。主人公は家庭からの逃亡としての不倫へと傾きかけている。裏切りでもいいから自由になりたい、と、欲求不満が爆発しかけている。

面白いのは、「日本」という言葉が登場することだ。主人公は家庭内に閉じ籠められていることを<白い日

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大森靖子『Kintsugi』評 #1

大森靖子『Kintsugi』評 #1

大森靖子の『Kintsugi』は、「夕方ミラージュ」="You gotta marriage"で始まって、『KEKKON』で終わる。つまり、結婚で始って結婚で終わる。ではその過程に何があるのか?

妄想で補いながら、#2〜#9 の物語を簡単に追ってみる。
別の誰かを妄想しながらSEXする→真夜中に家から逃げ出し不倫相手に会いに行く→自分の加害性を自覚しながら離婚する→社会の倫理に逆行する自分を「カ

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"結婚"に擬える(エッセイ)

"結婚"に擬える(エッセイ)

Twitterの相互フォローの中に、「たぶん不倫してるのだろうなぁ」というアカウントがいくつかある。それらはみな女性で(男性は私生活を投稿しないだけかもしれない)、なかにはヒモ風の男とのツーショットを載せている人もいる。一般に女性の不倫は男性と本気度が違うと言われるけれど、実際のケースを目の当たりにすると、思わずたじろいでしまう。

ちなみに私は不倫をまったく批判する気が無い。私は不倫に超寛容派で

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