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2022

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2022年5月の記事一覧

芸術と信頼

芸術と信頼

他人を信頼できない。これは芸術の問題である。

表現活動というのは、鑑賞者の存在が前提となる。作家は作品が正しく理解され、評価されることを望む。作品が誤解され、否定され続ければ、作家は制作をやめるだろう。

たとえどんなにネガティヴな内容だったとしても、表現行為には「届く」ことへの期待が含まれる。届くことを諦めてしまえば、沈黙しか道はない。であれば、届くことへの期待はどこから生まれるのだろうか。

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他人を信頼できない

他人を信頼できない

他人を信頼できない。それによって沢山の支障がうまれる。それを誤魔化して生きてきた。それが自分の28年間だったし、これからもそうやって生きていくのだと思っていた。でも、最近詰みかけている。



他人を信頼できないというとすごく抽象的な話になるけれど、それは日常生活の端々に具体的に表れる。

たとえば、私は他人に仕事を頼むのがとても苦手だ。自分だけで仕事を処理しようとしてしまう。経理部に請求書を依

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信頼の問題

信頼の問題

また今度ゆっくり書くと思うけれども、自分がきちんと向き合わないといけない課題というのは、「信頼」ということなのだろう。人間はなぜ他人を信頼できるのか。信頼はどこから湧いてくるのか。

思えば私は秘密の多い人間だ。相談することが苦手だし、ミスも自分で片付けることが多い。心を打ち明けられる人がほぼいない。どうしても吐き出したい本音は、お金を払って押しつけている。

信頼は、コミュニケーションの前提の問

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ガソリン

ガソリン

ここ数ヶ月、人生の中で割と充実した時期を送っている。とても良いことだ。けれども痛感するのは、自分の創作のモチベーションというのは、つくづくルサンチマンだったということだ。

ここ数日書くことに悩んでいるというより、心の中にあるはずのガソリンが空になったような感じがある。何を、どういうモチベーションで作っていたのか、わからなくなってしまった。

自分自身が変化するということは、新たな燃料源を探さない

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書く賭く欠く

書く賭く欠く

このところ書くことがあまり思いつかない。一時はスマホでの日記に自信がついたのだけれど、書いているうちにノるというか、導かれるような感覚がない。暑さは思考を妨げる。肌がベタつくと人は短絡的になる。けれども考える課題は存在し続ける。書くことで考える。存在を賭く。現実から意識を欠く。ポメラに復帰してもらうか。

「差別はいけない」とみんないうけれど

それにしてもここ一週間ほど日記の調子が悪い。綿野恵太著「『差別はいけない』とみんないうけれど」を読んだからだ。いまの社会で言論がどのように醸成されているのかを精緻に切り出している。ああ、自分が漠然と思っていたことを、鋭く書いている方が既にいたんだな。と思いながら、でもどうしよう、とも思う。以下読書メモ。



本の中では二つの概念が登場する。ひとつは「アイデンティティ」。少数民族、日本人、セクシ

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AV新法とベッドイン

AV新法とベッドイン

AV新法の委員会通過にあわせて、立民党が性行為を伴うAVの禁止を定める法案を検討するというニュースを目にした。夏の参院選前ということもあって、リベラル層の声を、安易に汲んだ動きなのだろう。これまで、政局の潮目が動くことが政治をよくすると思っていたので野党第一党に投票してきたけれども、それも考えないといけなくなった。



ふと思い出して、「ベッドイン」のことを調べた。ジョンレノンとオノヨーコは、

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静かに過ごすに限る

静かに過ごすに限る

今日は文章がまとまらないから特に書くこともない。身体から言葉が出てこない。こういう日は、音楽がよく聴こえたり、本の中身が頭に入ったりする。静かに過ごすに限る。

昨日観たTHE NOVEMBERSがカッコよかった。高2で友達に紹介してもらったバンドに、10年越しでハマろうとしている。身体に入ってくれるだろうか。

昨日の鎌倉殿

昨日の鎌倉殿

昨日の「鎌倉殿の13人」は、後白河法皇に裏切られた義経が、奥州へと逃げ延びるところから始まる。義経が奥州へと匿われていると知った頼朝は、義時にある作戦を命じる。それは、奥州を治める藤原国衡、藤原泰衡の兄弟の不和を利用して、義経を討たせるというものだった…。



昨夜の第20話では、頼朝と義経、国衡と泰衡という二組の兄弟が物語の軸となった。では頼朝と義経の不和はどこから生まれたのか。その背後には

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暴力よ何処へ行く

暴力よ何処へ行く

映画監督のパワハラが告発される記事を読んだ。不本意なヌードシーンによって自殺寸前まで追い込まれたというものだ。その某監督は威圧的な態度で有名な人物だった。上の告発は契約の取り決めについてだったけれど、パワハラ関連の告発も続く可用性もある。現在はまだ大きな騒動にはなっていないものの、次回作の製作には影響があるかもしれない。



周囲に迷惑を強くかける人物もいれば、自責が強すぎて仕事の続かない者も

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ヤンキーAとヤンキーB

ヤンキーAとヤンキーB

ヤンキーAとヤンキーBということを考えている。ヤンキーAもヤンキーBも私の造語だ。だから喋っても伝わるわけではない。でも私は、ヤンキーAとヤンキーBについて考えている。

ヤンキーというのは定義が難しい(※1)のだけれど、ここでは「表面的には男性的で、母性原理に基づいている人間」くらいの感じ。西洋には見られない、日本特有の性格のことを指す。曖昧さの残る定義だけれど、あくまで素描だと思って欲しい。

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マッシュアップ

マッシュアップ

[マッシュアップ]の曲、新しいカルチャーなのはわかるけど苦手だなーと思っていたら、ゲスの極み乙女がセルフマッシュアップということをやっていて笑った。

音楽を要素に分解して再構成するというのは創造的なことだけれども、人間という個体にはどうしようもない「分解できなさ」があるはずだ。

コミュニケーションの中で消費されていくことを歌い続けているゲスの極み乙女だからこそ、マッシュアップの残酷さが際立つと

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セックスと人工授精

セックスと人工授精



近い将来、人工授精の確率が今よりも高まったとして、社会にセックスは残るのだろうか?人工授精のほうが安全で身体に優しいということになり、セックスは危険だという認識が今以上に強固になっていくのではないか、と、SFのようなことを思う。

自然に存在している性質や、人間に元から備わっているものが、人工物に置き換わる。ラクだね便利だねとその人工物に慣れていくうちに、その性質が失われていく。文明は人間を

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社会で競争する。社会も競争する。

社会で競争する。社会も競争する。

なんとなく仕事の隙間にスマホを眺めていると、ミスコンについての話題が上がっていた。まあこれまで何度も繰り返されてきた定番の議論で、美貌で人間を判断するのは良くないとか長所なのだから云々、大した目新しさもないニュースだった。まあそれはそれとして。



社会には、社会同士の関係性という側面も存在する。

「A社」という企業が「B社」「C社」と売上を争ったり、「a大学」「b大学」「c大学」が受験者を

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