僕が考えるヴィンテージ服の魅力
古着屋勤務の僕は、この世界に足を踏み入れてから早7年。
仕事として毎日触れているわけなので、それなりに古着との付き合いは長いほうだと思います。
また、学生時代から服そのものを愛してきたので、色々な服を見てきた自負もあります。
そんな僕は、古着と呼ばれる中でも、ヴィンテージ古着を好んで愛用しています。
本題に入る前に、まずヴィンテージについて。
ヴィンテージの定義
ヴィンテージVintage
ヴィンテージについて
ヴィンテージ(ビンテージ,Vintage)は、完成度が高い、古くて価値が高い、年代物のアイテム、また商品。ファッションでは、古着のことなどを意味する。 「由緒ある、古くて価値のある」といった意味で、もともとは、当たり年のワインをさす。
ヴィンテージとは、古くないとその枠組みとしては捉えられません。
古い上で、それ相応の価値のある物を差すと思っています。
一般的にヴィンテージは、古くて高いという点が先行しているように思います。
特に若いお客様は、ヴィンテージ衣料をパッと見ても何故それだけ高いかは分からないし、だったら同じようなデザインで安いものを探すのは至極当然かもしれません。
ただし、値段が高いのには必ず理由があります。
それは希少性であったり、クオリティであったり、芸能人など影響力の高い人物が着用したことであったり、、
ここでまず言いたいことは、ヴィンテージの魅力に気づくには、あらゆる服に出来るだけ触れる必要があるということ。
「可愛いと思ったものってやっぱ高いね」
ヴィンテージコーナーの商品を見ながらこう呟く若いお客様もチラホラいますが、そう言った方はヴィンテージの魅力に気づける人だと思っています。(上からですみません...)
無意識のうちに価値がついている理由を捉えられているはずなので。
一方で、年代が古くても、相場が低く価値がついていない物があります。
特に60年代後半〜70年代は、ファッションそのものがいよいよ市民権を獲得してきて大量生産が必要になった時代の為、コットンよりもコストの低いポリエステルが多く使われているアイテムが多いです。
その分、物としての質が低下して、今見ても安っぽい物がほとんど。
特に、ポリエステルの割合が多い薄っぺらいシャツやジャケットはほとんど価値の無い年代物とされています。
そのため、ヴィンテージに分類されるためにはまず、物としての完成度、クオリティは必要不可欠です。
そして、年代物で簡単には手に入らないため、必然的に希少性が高いということです。
では本題に入ります。
僕が考えるヴィンテージの魅力
①物としてのクオリティの高さ
前述した、60年代前半頃までは、一つ一つの製品のクオリティが高く、とても丁寧に作られています。
第二次世界大戦後までは、ワークウェアであったり、ミリタリーだったり、基本的には仕事着として着用することが"服"の主な目的。
余暇の楽しみとしてファッションを楽しんでいたのは、それなりにお金を持っていた貴族や上流階級者が中心。
そのため、生産数も多いわけではないので、素材、生地、縫製にもこだわれたというわけです。それが60年代前半まで続いていました。
今の時代、服の大量消費が問題になっているのはよく知られていますが、生産コストを削減しているからに他なりません。
低賃金で人件費を抑えられるアジアを中心に工場を構え、大量生産している為、基本的に服のクオリティは高くないことが多いはずです。
(もちろんUNIQLOなどの例外もありますし、やり方の問題であって、否定しているわけではありません)
こだわりをもったブランドは、自国で生産し、今でもハイクオリティな商品を提供し続けています。
同じように、古い物は基本的に自国で生産されていて、こだわりを持って作られている物が多いということですね。
②コストパフォーマンスが高い
①を踏まえた上で、現代のアパレルが生産している服を見た時、品質と値段のバランス値が高いのは断然ヴィンテージです。
これは断言出来ます。
もちろん、現行の商品でも良い服は沢山ありますが、今の時代でクオリティの高い服を作るにはやはりコストがかかるため、なかなかのプライスになります。
ヴィンテージ古着は、二次流通の為その分価格は抑えられるのは必然ですが、その物のクオリティは高いのは変わりません。
なので、良い服が比較的お手頃価格で手に出来るんです。
値段ばかりが先行しがちですが、個人的に商品とは質と値段のバランスが非常に重要だと思っています。
基本的には、ヴィンテージで値段のついている物は、現在生産するとなるともっと高い値段設定になるということです。
③オーラがある
急に抽象的になってしまいましたが、、笑
経験のある人って、他人とは全く違うオーラを身に纏っていますよね。
辛い経験であったり、普通では成し得れない事を実現していたり、それによりスキルや自信があったりと、色々な理由があると思います。
それは、服に置き換えても言えることだと思っています。
僕は基本的に今から60年前の服、つまり50年代, 60年代の服が好きなんですが、明らかにオーラがあります。
もちろん、それ以前の物は更に際立った雰囲気を放ちます。
僕たち古着屋が行っている海外買い付けでは、皆さんが予想している以上の服を見ていると思います。
物凄い量の服の中から、こういったヴィンテージ古着が見つかることがありますが、明らかにオーラが違うんですよね。
経験も必要ではありますが、ほとんど埋もれていて右袖しか見えてなかったとしてもヴィンテージと認識出来たりすることも。
僕達の目からは、既存服とはそれだけのレベルで違うんです。
僕は決してヴィンテージ贔屓では無く、現行でも質の高い物は愛用しています。
なので、たまにセレクトショップも顔を出したりしますが、基本的にはほとんどの服が平面的で、特徴が無いと思ってしまいます。
ヴィンテージの服は、既に他の誰かによって使用されていることも理由としてありますが、しっかりとヴィンテージの表情がある。
オーラを纏わせる経年変化は、素材の良さもあると思いますが、やはり現代の服とは存在感が圧倒的に違うんです。
一言で言うと、カッコいい。(バカっぽいですが。笑)
④価値が下がりにくい
これこそがヴィンテージたる理由。
長年評価され続けている良い物だからこそ、価値が下がらないんです。
ロレックスの定番モデルの価値が下がらないのと同じ。
なので、手放すときもほとんど損をしない。
実際、僕が数年前に購入したほとんどのヴィンテージ服は、当時よりも相場が上がっています。
ヴィンテージ服を買うということは、投資にも成り得るんです。
ヴィンテージアイテムとは、月日が経つにつれてどんどん希少価値は高まっていくことは必然です。それは、絶対数が減り、見つかりにくくなるので当然のこと。
その中で元々評価されている物は、需要も高いので、価値が下がるはずがありません。
ヴィンテージ市場で最も有名である「デニム」を例に出してみます。
現代では表現出来ないインディゴの表情がある点がヴィンテージデニムの価値が高い理由の一つ。
元々ワークウェアであり、色落ちもして消耗しやすいアイテムだからこそ、現存しているだけで価値があります。そして、インディゴの色が濃く残っている物は非常に高価で取引されます。
70年代以前のデニムアイテムは、現在、絶え間無く相場が上がっています。
他にも、スウェットだったりミリタリーだったりもそうですね。
昨今、バンドTやスポーツ系など90年代アイテムのバブルが凄まじいですが、僕はこの先落ち着いてくる可能性が高いと見ています。
急激に相場が上がるのは一過性の理由だし、物のクオリティと値段が釣り合ってないように思います。(一部を除いて)
90年代の物なので、そこまで現存数が少ないとも思いません。
あくまで、年代物で、品質, 完成度が高く、長年人気のヴィンテージ古着にだけ適用されると思っています。
まとめ
正直、まだまだ魅力は語れるのですが、、笑
大まかなところで上記の4点を挙げました。
人それぞれの価値観はありますし、押し付けてるわけではないですが、ファッションデザイナーだったり、年上のお客様だったり、体験上、服が好きな人は必然的にヴィンテージに行き着くと思っています。
あらゆる服に触れてきた経験が無いと、ヴィンテージの魅力には気づけない。
これは間違いないと思います。
ヴィンテージ古着はマニアックな世界ですが、だからこそ楽しい。
手軽に服を楽しむのが一般的な時代ですが、本当の意味で服を楽しむには、こだわりが必要。
ウンチクだったり、愛せる理由をわかっているからこそ、本当の意味でファッションを楽しむことが出来ると思っています。
ヴィンテージに興味がある人の入り口になったり、またヴィンテージを愛している人に共感してもらえると嬉しいです。
では。
Instagramではヴィンテージ古着をメインとしたコーディネートを載せているので、是非チェックしてみてください。
👉🏻 @ykky12
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