
情に棹させば…
何年か前に土曜日の朝の10チャンネルで流れてた奥湯河原の高級温泉旅館のCM。このCMの雰囲気が気に入っていて、たまに検索して公式動画を見ることがある。このCMのナレーションでは小説の冒頭が引用されている。
智に働けば角が立つ
情に棹させば流される
意地を通せば窮屈だ。
この一節が最近鬱な心にループしている。「情に棹させば−」はまさに僕のようだと強く感じる。怒られることには情に流されやすい。
昔から怒られることを嫌ってきた僕。怒られた内容より相手の機嫌を気にしてしまうことがほとんどだった。怒られるのが嫌すぎて行動を謹み、相手の表情を窺う毎日。結果的に「ゆうきくんは優しい」という評価をもらった。中学では「ハートフル賞※」を2回表彰される結果も残した。
※ボランティア活動など学校や地域に貢献した人や学校内でのさまざまな善行を表彰する母校独自の取り組み。僕は「黒板消しのクオリティ」「他人の倒れた自転車を起こした」という理由で2度表彰された。
それができたのは中学まで、高校時代から先はその能力を発揮できなくなっていた。人間関係が増えたし、表情を窺うだけでは何も結果を残せなくなっていった。怒られることも増えて、それが嫌で病んだら批判されるスパイラル。誰もわかってくれないと思って、捻くれていった。
あの一節には社会で生きていく難しさが込められている。理屈で言っても角が立つし、傷つく人がいる、感情で行動すれば流されるし、意地を貫いたら気がつけば一人ぼっち。
それぐらい人間関係はハードモードだと自分では感じている。自己主張してもどこまで理解されるか読めないし、そんな自分を認められた経験が少ない。
理屈で言われて傷ついて、感情に流され、変な意地を貫く僕。CMのような温泉旅館で癒してみたいもんだ。
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