幸せなはずなのに疲れてる？　意外なストレス源とは

　「ストレス」という言葉を聞くと、多くの人は嫌な出来事や困難な状況を思い浮かべるかもしれません。

　しかし、意外にも一見ポジティブな出来事がストレスの原因（ストレッサー）になり得ることをご存じでしょうか。

ポジティブな出来事がもたらすストレス

　以下のような出来事はとても喜ばしいのですが、実際にはストレスとなってしまう場合があります。

・昇格/昇進
　喜ばしいことですが、新たな責任や期待が伴います。

・結婚
　愛する人との新しい生活のスタートは幸せに満ちていますが、環境の変化や新しい役割への適応が必要です。

・（自身の）妊娠/出産
　家族が増えることは嬉しい反面、自分の身体や生活スタイルが大きく変わります。

・子どもの進学/受験
　子どもの成長は親にとって誇らしいことですが、進学や受験がうまく行くかどうかが不安に。

・家族の婚約
　家族の新しい生活への準備や手配、一緒に暮らす人が減ることで環境に変化が起きます。

・引っ越し
　新しい環境での生活は期待に満ちていますが、住居や地域の変化への適応が必要です。

・家や土地の売買
　大きな財産の売買は夢が叶う反面、経済的なリスクや手続きといった慣れないことに直面します。

・一緒に住む人が増える
　人間関係の変化や生活スペースの共有は、新たな調整や理解が必要です。

　このような一見ポジティブに見える出来事も、責任の増加や環境の変化によってストレッサーとなることがあります。

（参考：厚生労働省　心理的負荷による精神障害の労災認定基準について）

なぜ幸せがストレスに？

　ストレスは悪者にされがちですが、体にとって必要な反応の一つに過ぎません。その目的は新しい状況に適応することです。アドレナリンやノルアドレナリンなどを分泌し、心拍数や血圧を上げて体を緊張状態にすることで、環境の変化に備えるのです。

　ですから、いくら幸せや喜びなどポジティブな感情が同時にあったとしても、それが直接ストレスを打ち消す訳ではありません。

無自覚なストレスの影響

　今回挙げたようなストレッサーは比較的心理的負荷が低いとされています。ただし、ご本人の気質や出来事の重なり具合によっては、やはり様々な疾患に繋がることもあります。

　ストレスが体にもたらす影響は様々なので一概には言えませんが、特に嫌なことが起きていないのにいつも緊張しているように感じたり、普段は元気に振舞っているけれど休むと急に疲れを覚えることがあるかもしれません。こうした状況では、知らず知らずのうちに上記のようなポジティブな環境の変化からストレスを溜めている可能性があります。

　長期間ストレス下に置かれると、うつ病などの精神疾患を始め、高血圧や高脂血症、糖尿病などのストレス性疾患に繋がります。早めに不調に気づき、可能な限り対策を取った方が良いでしょう。

対策

　古典的なので耳にタコかもしれませんが、確実に効果があるのは①休む、②寝る、③食べる、④運動です。

　悲しいことに、ストレスの入ったバケツをひっくり返して空にするような魔法はありません。地道に生活リズムを整えていくしかないのですが、原因が自分の体や家庭にあると、限界がありますよね……。

　そうした場合は、ご家族や友人、知人の助けも借りるより他に方法はないかもしれません。先日マガジンでも触れましたが、結局のところ、「周囲を頼り、サポートを得られるかどうか」はメンタル疾患やストレス性疾患を避ける上で重要なファクターです。

　ご参考までに、メンタル疾患を繰り返しやすい私は一定の生活リズム（特に運動や食事）を持つことも他人を頼ることも苦手ですが、結果は、反面教師にしてくださいとしか……。

　他には、ストレスによる過剰な緊張を和らげるための瞑想、自律訓練法などといったテクニックも役立ちますが、先に述べたように、魔法ではないので限界があります。まずは生活リズムを整えられるうちに整えておくことが重要です。

最後に

　以上、幸せにひそむ意外なストレッサーをご紹介しましたが、いかがでしょうか。

　一見喜ばしい状況にいるはずなのに、ストレスで不調となってしまう話はたまに聞きますね。

　最終的にうつ病や適応障害、その他もろもろの疾患になってしまうと自助努力も難しくなるので、対策が取れるうちに、早め早めに対応していくことをオススメします。

　毎年毎年「9月とは思えない暑さ」という報道がされているような気がしますが、今年も当たり前のように残暑が厳しい毎日です。ストレス性かどうかに限らず、皆様お体大事にしてくださいませ。

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