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なぜ北欧は幸せなの? 「ヒュッゲ」にみる幸せの見つけ方(人と自然と丁寧な暮らし)

「ランキング上位の国は北欧の国ばかり。なぜなの?」

先日、世界幸福度ランキングというものをご紹介しました。1位は3年連続フィンランドで、幸福大国といった印象です。フィンランドだけでなく、なぜこうも北欧の国々は幸福度が高いのか。今回はもう一つの北欧の国デンマークにそのヒントを探ってみます。

デンマークは2012年、2013年、2016年と第1位にランクインしており、今年発表された2020年の結果ではフィンランドに次ぐ2位でした。負けず劣らず国民が幸福を感じている国です。

そこにはデンマーク人ならではの価値観「ヒュッゲ」が深く関わっていると思われます。この「ヒュッゲ」から幸せのヒントを探ってみたいと思います。

「ヒュッゲ」とは

デンマークには“HYGEE”(ヒュッゲ)という言葉があります。これはデンマーク人がとても大切にしている、時間の過ごし方や心の持ち方を表す言葉です。

概念的なので、日本語では正確に言い表すのは難しいのですが、「ほっできる」「くつろげる」といった心地よい時間やそれによって生まれる幸福感、充実感のこと。これらを大切にしながら、暮らしを楽しむ態度と言えます。

このヒュッゲの特徴を整理してみます。

家族・友人との時間を楽しむ
デンマークの人の基本のコミュニティは「家族」と「友人」です。人との繋がりや絆を大切にしています。「ほっとできる」「くつろでる」空間には誰かとともに時間を過ごすということがデフォルトで入っている感じです。

この考え方が根底にあるので、ホームパーティが盛んにおこなわれているとのこと。家族でのパーティだけでなく、友人を招いたり、招かれたりしてお互いの家を行き来する。友人とも家族のような強い絆をつくっているのも特徴と言えます。

そのため、デンマークの人は残業をほとんどしません。朝は7時頃から働き始め、夕方16時頃には業務終了です。その後の時間を家族や友人との時間をしっかりと確保しています。

そもそもサービス残業大国日本は仕事に追われる日々を過ごしている人が多いです。また、隣人との会話も少なく、他人とのコミュニケーションは「リスク」や「ストレス」と考えがちです。

ただ、デンマーク人のように、食事を囲みながら楽しく過ごす時間を増やすことは日本人も誰もが楽しいと思えることなのではないでしょうか。日本にもお鍋や焼き肉など、「みんなで食べる」という文化もあります。関西ではお好み焼き、東京ではもんじゃ焼きなども、鉄板を中心にみんなでワイワイ楽しむ食文化もあります。こうした時間の価値を改めて考えてみると良いかもしれません。そのためにも、時間の主導権を握り、仕事<プライベートな時間管理をしていくことが大切です。

自然と共に生きる
北欧諸国は冬が長いです。デンマークもそうで、冬外出できない分夏は思い切り外の生活も楽しみます。このメリハリが日本人の感覚を超えています。長期のキャンプやピクニックやバーベキューなどとにかく自然を身近に感じるアクティビティを積極的に楽しみます。

デンマークでは自然を感じる行動として自転車があると言えます。車は所有する費用が非常に高いことも関係して、自転車人口が多い国です。自転車に乗りながら、季節や空気感を肌で感じることも、ヒュッゲな態度といえそうです。

日本でもこのコロナ禍の影響で、じっと室内に閉じこもる不健康さを解消すべく、公園に行く人が増えています。外を歩く習慣を持っている人は「自然の空気に触れる魅力」を正に肌で感じていると思います。もともと日本は四季の国です。季節によって移り替わる景色を愛でる文化を持っています。この素地を活かして、より積極的に外出し、自然の環境に身を置くことで、心身ともによりリラックスできると言えます。

家の中を快適にする
デンマーク人は心地いい空間作りの達人です。日本人にはない暮らしの習慣として「キャンドル」が挙げられます。電気ではなく、炎がゆれるキャンドルは室内をあたたかく包みます。そんな環境で照らされる料理は、より美味しく感じられるのではないでしょうか。

炎の揺らぎは1/fと言われ、リラックスできる波長と聞きます。最近は日本でもソロキャンパーが増えているそうですが、そのメインディッシュは焚火だったりします。火が揺れるのは、誰のココロも穏やかに落ち着かせ、リラックスできます。その効果を日常の家の中でも多用しているデンマーク人は自分で癒し空間を作る達人ですね。

炎はひとつの例にすぎませんが、北欧諸国は冬は外出できない時間が長いため、室内を快適にする習慣が根付いています。北欧家具のセンスが良いのは「家の空間を少しでも快適にしたい」という価値観に根付いたものだと思います。

我々日本人も、このコロナの影響で「家の価値」を見直す機会に遭遇しています。デンマーク人に学び、「少しでも快適に過ごせる家」になるような工夫はしていきたいところです。

物を長く愛する
デンマーク人は前述の通り、「家での暮らし」を重視しています。だからこそ、家具にとても思い入れが深いです。特に、自分の身を預け、ヒュッゲな時間をともに過ごす「椅子」をとても大切にしていると言います。

一度気に入ったものは大切に使い、家具は両親から子供、そして孫へと受け継ぐのが一般的な発想です。それほど、長く使うことを前提にモノを愛するという価値観が根付いています。

デンマーク人はミニマリストな国民性だそうです。必要なものを追求する文化が根付いているとのこと。余計なものは持たない、価値あるものを吟味して大切に使う。だから、買う時はしっかりしたものを買うので、それだけ高価なものでも買います。本物を長く使うという価値観ですね。

日本では低価格な商品が増え、刹那的な消費が多くなってきたように思います。服もファストファッションが台頭し、ワンコインで買える雑貨屋さんも増えました。1シーズンだけ使って、飽きたらメルカリで売るというスタイルが定着しつつあります。簡単に便利なものを手に入れる一方で、「長く一緒に過ごす」というモノを愛でる価値観は希薄になっているかも知れません。「安物買いの銭失い」ではなく、高価ながらも価値あるものを手に入れ、それを長く使う、そういう視点でモノと付き合うことで、よりヒュッゲな生活に近づけるのではないでしょうか。

儲けではなく「好き」を仕事にする
デンマーク人は仕事に対するモチベーションの置き場所を「儲けるため」ではなく、「その仕事が好きか」というところに置いているそうです。出世のためではなく、好きだと思えるから、主体的に、自主的に仕事と向き合えるという価値観です。

その背景には税制度も関係しています。収入を増やしても、一定額を超えると半分が税金で徴収されるてしまいます。税金を高めることで社会福祉を充実させているので、結果的に多くの人の生活レベルを底上げしていることも幸福度を上げている秘訣でもあります。こうした背景だからこそ、お金のために残業しなきゃという発想には至りません。

日本の社会保障も充実していますが、デンマークよりも資本主義の思考が定着しており、その影響で仕事観もデンマークのそれとは違っています。この社会の仕組みが違うので、なかなか日本でも同じ発想になりにくいのは事実です。

しかし、時間で自分の人生を切り売りするのではなく、「その仕事が好きかどうか」という価値観で仕事と向き合うことは日本でも生きる上での充実度を左右するポイントだと言えます。自分が主体的になれる要素を自分の仕事の中で見出すことは、前向きに仕事をするための工夫と言えます。

今に感謝する
デンマークの人は、自分が置かれている環境に満足している人が多いそうです。その背景には「今に感謝する」という価値観が根付いているから。北欧諸国の傾向として、厳しい自然環境とともに生きる、という生活背景があります。その中でも、快適にヒュッゲに暮らすために様々な工夫をしています。それらは生活の中で小さな幸せ見つける努力をしているに他なりません。こうした、今の自分が置かれた環境に感謝し、その上で最大限楽しむ姿勢が幸せに生きるコツなのかもしれません。

一方では日本では「当たり前」という価値観が広まっているように思います。隣と比較し、足りないところに目をやり、不平不満を口にする、そんな傾向が見て取れます。デンマーク人に見習い、暮らしの中で「当たり前」ではなく「有難い」と感じ、感謝する気持ちを持つことは、心のゆとりを生み、結果自分が幸せを感じやすい心の持ちようなのかもしれません。

まとめ

デンマークの人達は「自然」や「人」、「モノ」を愛し、丁寧に生きています。足りないところに目をやるのではなく、今あるものを最大限大切にして楽しむ。その根底にある価値観は「感謝」です。

デンマーク人は幸福を感じる人が多いですが、上記の6つのポイントを見ると、「小さな幸せに気づく」人達といえるのではないでしょうか。

日々丁寧に暮らし、感謝して小さな幸せを感じながら暮らす、「ヒュッゲ」という考え方や態度には日本に住む我々も参考にできる要素がたくさんあります。

今の自分が置かれている環境を悲観するのではなく、前向きに幸せの種を拾う、それを噛みしめる。そうするこで、我々は生活をより幸せに感じれるのではないでしょうか。

ニューノーマールな生活に転換する今だからこそ、デンマーク人の暮らしの知恵を参考に、より穏やかで心安らぐ生活を手に入れたいものです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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やわらかメガネりょう
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