キュリオシティ・ドリブンって何? 最短距離では無い価値創造の視点(回り道のススメ)
「効率ばかり考えてると気づかない可能性もあるということか」
我々は日々生活や仕事の中でたくさんの問題解決をしています。忙しい毎日の中でこなさなければならないタスクは山積み。どうしても効率の目で物事を見がちです。
しかし、一見最短距離に見える道もなかなかブレークスルーせずに問題解決に至らずスタックするケースもあります。
そんな時に持っておくべき視点について考えます。平日のONの思考回路はお休みして、OFFの頭でお読みください。テーマは「キュリオシティ•ドリブン」。回り道する価値です。
キュリオシティ・ドリブンとは?
どこかのゴールに向かうとき、私たちはつい最短経路を選びがちです。その時のルートは「直線」です。直線には無駄がありません。既に行った事がある場所、経験済みの事に対して結果だけを得る時にはそれで良いです。
このように最短距離を一直線に進む考え方を「ゴール・オリエンテッド(goal oriented)」といいます。
一方で未経験の事や、答えが無い問題には必ずしも直線は効率的ではありません。時にはゴールとは一見関係のなさそうな方向に答えが潜んでいたりします。ではゴールでなくどこに進むべきか?そのヒントが自分の中の「好奇心」です。
好奇心のおもむくまま進むことによって、自由な発想を得ることが出来ます。
こうした脇道・横道を積極的に取り入れようとする考え方のことを「キュリオシティ・ドリヴン(curiosity driven)」と言います。
好奇心の先にあるもの
キュリオシティ・ドリブンの事例で有名なのはgoogleですね。社内のルールで勤務時間の20%を、関わっているプロジェクト以外の好きな研究に使っていいとしています。そこから創造的なアイデアが生まれてくる事が分かっているので、会社の制度としてキュリオシティ•ドリブンを採用しているんですね。
「キュリオシティ・ドリヴン(curiosity driven)」は「ゴール・オリエンテッド(goal oriented)」と比べて、一見、非合理・非効率にみえますが、当初の目的に縛られない自由な発想が得られるという特徴があります。
例えば電車の自動改札機のイノベーションの話。縦にも横にも入れられる切符の方向を統一させ磁気を読み込むにはどうすべきか、当時の開発者は悩んでいたそうです。そんな時に何気なく川を眺めていると、横になって流れてきた笹の葉が岩にぶつかり、縦になった。障害物にあたることによって向きが変わる。そのとき担当者はひらめきます。挿入口に岩のようなコマを設ければいいのだと。
この気づきはオフィスのパソコンにかじりついていては気づけなかったヒントです。こうした一見無関係なモノに大きなヒントがあるケースは多いです。
世の中の大発見と呼ばれるものはそのほとんどがこのキュリオシティ・ドリヴンによるものとも言えます。前を見て一直線に走っているときは目に止まらなかった道端の草花に、好奇心を覚えて調べるうちに、思わぬ発見につながる、というのは実に興味深いですね。
諦めないための3つの勇気
考える力・創造する力が必要な問題は、簡単には解決しません。何かを成し遂げるのにはトライ&エラーが必要です。途中で嫌になり、不安になり、諦めたくなることもあると思います。
そんな状況でも諦めずに考えて行動し続けるにはいくつかの勇気を携えておく必要があります。大切な4つのマインドセットを整理してみます。
1.スタート地点に戻る勇気
すごろくやゲームなどをしていて「振り出しに戻る」ことほど嫌なことはありません。しかしキュリオシティ・ドリブンの発想をする上ではスタートに戻る勇気を持つ事が大切です。
心理学には「サンクコスト効果」という言葉があります。すでに支払ったコストを取り戻そうとする心理効果のこと。サンクコスト効果の影響を受けてしまうと、これまでやってきたこと、掛けてきた費用に気が取られ、合理的に考えられなくなります。
サンクコスト効果から離れ、これまでやって来た事を忘れてゼロベースで考えられる思考がキュリオシティ•ドリブンの発想では求められます。
2.「やらなければ」を捨てる勇気
キュリオシティ•ドリブンの思考ではふとした小さなことをきっかけに、大きな発見につなげることが大切です。そのためには小さなことに気づける心に余裕を持たなければなりません。
時間に追われ「やらなければ」と焦って目の前のことに目を奪われていると、「小さなきっかけ」に気付くことすらできません。
3.常識を捨てる勇気
キュリオシティ•ドリブンには小さな疑問を大切にする意識を持つ事も大切。「これはそういうものだ」と常識の目で見ていると、何にも発見できません。好奇心を大切にし、素朴な疑問を持つこと、そしてその疑問を軽視しないマインドセットが重要です。
4.成果の出ない時間を大切にする勇気
すぐに成果が出ないとそのプロセスは無駄なんじゃないかと考えがちですが、その時間を否定してはいけません。
今の世の中、常に「効率」という言葉で物事を測りがちです。効率を求めること自体は問題ではありませんが、効率ばかりに目を向けてしまうと、それによって「大きな効果」に気付かない可能性があります。
何事もいきなり成果など出ません。孵化するまでに必要な時間だと割り切って成果の出ない時間を肯定する勇気を持ちましょう。
まとめ
我々はつい効率を重視して最短ルートを選びがちですが、新しい発見は回り道した時に出会ったりします。それを積極的に獲得していく考え方がキュリオシティ•ドリブンです。
大きな発見は一見無駄と思えるような行動や、むしろ非効率なものから生まれたりします。自分の中にある「好奇心の目」を大切にしましょう。
一方でそうは言っても成果の出にくいテーマに向き合うモチベーションを保つのは簡単ではありません。
その時に持つべきマインドセットは「今やっている事はムダではない」と信じること。植物も花を咲かせるのは生涯の中でも限られた時間です。種から芽がでて少しづつ成長してようやくつぼみができ、花が咲く。
たとえ成果が出ていなくても「今は地面の下で頑張っている時間」と思って、あきらめないことが大切ですね。
そしてもう一つ、自分を勇気づける言葉として「簡単に結果が出ない。それほど困難で誰もやったことが無いことにチャレンジしている」と思うこと。簡単に結果が出ることは誰でもできることです。難しいからこそ価値がある。そう思ってあきらめないようにしましょう。
この週末は自分の中の好奇心を解放し、いつもとは違う道を歩いてみてはいかがでしょうか。小さな発見が新しい可能性を拓くヒントになるかも知れませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。