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本の棚 #79 『ワークマン式「しない経営」』

『ワークマン式「しない経営」』
土屋哲雄(専務取締役)

仕事で成果をあげ続ける人がやっている行動

「やらないことを決める」

個人の集合体である組織、企業においても

同じようなことが言えるということか。

作業服というニッチな市場のなかで

圧倒的な認知と信頼を得ている企業。

加盟店を含めた国内店舗数は昨年段階でユニクロを

超えたそうだ…知らなかった。

近年の小売業において数少ない

成果を出し続けている会社として

どのような経営哲学、ビジョン、やり方をもって

いるのか。

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値引は「お客様への裏切り行為」だからしない

「定価販売率98%」という驚異の数字…

なんといってもセールしない、年に4回だけの広告も新作紹介のみ、それ以外の販促はしない。

価格に対してもお客様との約束と捉えて

「昨日買ったお客様が今日、明日に残念な気持ちにならないように」

小売業に携わっていると「セール、イベント」の嵐であることに気づく。

この当たり前が多くの顧客の期待を裏切っている、

そう考えているのだ。

またデータ分析をする際も、値引で売れたのか、接客力で売れたのか、製品力で売れたのか、ぼんやりさせてしまうのだ。

「値引は麻薬」

副作用もあるし、多くの人を裏切ることになる。

それでもやめられないものなのだ。

そこから脱出したワークマンの信頼たるや

とてつもないものを感じる。

お客様のほうが知っている

これが売れている理由を、実はよくわかっていない。

そんな経験はないだろうか。

100円ショップでなぜかバカ売れするものがあり

お客様に聞いてみたら、その製品の本来の使い方とは

全く異なる使い方がバズっていた、なんてことは

聞いたことがあるだろう。

これは至るところで起こっている現象で

企業側が「こんな人がターゲットだ」と考えてい人とは

全然違う人が食べたり、使ったり、遊んだりしているケースは多い。

ワークマンはこの点を押さえている。

「お客様のほうが知っている」

この謙虚さを忘れずに、実際の購入者への

ヒアリングを丁寧に行うことでお客様と共に

成長していっているのだろう。


エクセル経営で社員全員がデータ活用→そして経営へと参画していく

普通の人の知恵を集めてできるほうがいい。

非凡な人はいらない、頑張らなくていい。

一見するとエクセルでデータを管理することは

古いように感じるかもしれない。

しかし、エクセルをあえて使用することで

社員の誰もが分析できる環境にある。

そしてそれらのデータと現場での実務をもとに

新たな提案、現状の改善案などを論理的に

議論することが可能になる。

経営幹部のみがデータを分析してトップダウンで

現場に指示を出しまくるというスタイルではなく

現場の人々がデータを分析して声を上げる。

上司の仕事は部下の分析結果の適用範囲を判断すること

というから驚いた。

データ分析の専門家を招くのは危険がある、

データと実務を調和させられるのは現場の社員だ。

その信念がこのエクセル経営に垣間見える。

ちなみに著者が入社する2012年より以前の

ワークマンは「データない経営」だったらしい。

「もっとしない経営」
1.社員のストレスになることはしない
2.ワークマンらしくないことはしない
3.価値を生まない無駄なことはしない

どんだけ、しないんだ。

頑張ってできても意味がない

これは会社が個人の頑張りに頼らないということ。

また頑張らないとできないという仕組みは

それほど強くない、長続きしないのだと。

会社の大きな目標と自分のやりたいこととが一致すると思わぬ力が出る。社員はノルマで頑張るのではなく、良心で行動する。

そう、著者は言う。

性善説と性悪説でいうとバリバリの性善説。

どちらが正解なんてことはないんだろうけど

こんな会社もあるんだな。

直営店は社内では「研修ストア」と呼ばれ、業績は管理していない。
「新入社員に売上なんか期待するな!個々の能力が伸びるほうが重要だ」と割り切っている

衝撃すぎる…

直営店の一店舗だけがそのような形態というなら

まだ話はわかりやすいが、

「直営店=研修ストア」という考え方は

売上至上主義では測れない個人の能力の成長に

丁寧に目を向けようとする姿勢の表れだ。

またいきたいと思った、ワークマンへ。

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八次涼太郎/人事/コーチ
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