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市場ニーズは存在しない?それとも作り出すべき?

こんにちは、皆さん。
今日は開発と市場ニーズについて、お話ししたいと思います。
会社で開発業務を行っている私が、
実際に体験したエピソードを交えながら、
皆さんにわかりやすくお伝えしますね。

先日素敵なnoterさん、藤本正雄さんahiragaさん
開発について語られていました。

参加者からこのことに関連して、経営学者ドラッカー氏の言葉を紹介しながら、「仮説は、事実やデータ集めから始めるのではなく、意見、すなわち意志から始めなさい。データは仮説を裏付けることのできる都合のよいものがいくらでも出てくるから、という示唆だろう」という指摘がありました。改めて、『ドラッカー名著集1 経営者の条件』では、次のようにあります。(一部抜粋)

『意思決定についての文献のほとんどが、まず事実を探せという。だが、成果をあげる者は事実からはスタートできないことを知っている。誰もがまず自分の意見からスタートする。しかし、意見は未検証の仮説にすぎず、したがって現実に検証されなければならない』

(事実ベースで検証される必要があるものの)順序が、事実探し→仮説→自社の結論になってしまうと、そこには意志が入り込まない結果になるというわけです。また、そもそも確実に証明される事実に則った意思決定、アクションに終始するのであれば、そこには何の新規性もないことになります。成功するエビデンスが揃ったものであれば、既にどこかで実践されつくしているはずだからです。

(中略)

開発について、
・ポテンシャルを解き放つこと
・成否はわからない中で、意志として取り組むもの
・それに懸けて粘り抜くもの
・事実ではなく意見から始めるもの
のように捉えると、向き合い方が定まってくると思います。

「開発」について考える 藤本正雄さん

「開発」とは、経営トップが自ら旗を
振って取り組むべき、本質的に重要な
部分
であることが伝わってきます。

マーケティング文脈では、
「商品開発」が最も身近で、
日々取り組んでいる対象となる
わけですが、マーケターなり
ブランドマネージャーはその担当
する商品/ブランドの「社長」

あると捉えることが多いのですね。

「開発」という言葉の意味 ahiragaさん

この2つのnoteを読んで、
つい先日の会社でのエピソードを思い起こしました。

チームメンバーからこんな相談を受けたんです。
「市場調査をして、データを集めたいんです。
新製品のXXXを研究所が作ることをためらっているんですが、
実はその製品は市場のニーズがないのではないか?
という疑問があるみたいなんです。
ニーズの少ないものを作りたくないと研究所が言っています」
確かに、研究所が言うことも理解できます。
誰もが売れる製品を作りたいと思いますよね。
しかし、私はこう答えました。
「ニーズがないのではなく、ニーズは作るもの。
まだ消費者が気付いていないものを市場調査してもデータは出ない。
ましてや、社内説得材料のために調査をするつもりはありません。」
正直、これを聞いたメンバーは驚いたかもしれません。
でもここには深い理由があるのです。

藤本さんの記事にある、
仮説は、事実やデータ集めから始めるのではなく、
意見、すなわち意志から始めなさい
。」にあたることです。
そして、ahiragaさんの記事にある
ブランドマネージャー担当する商品/ブランドの「社長」。
私としてはチームメンバーをブランドの社長だと思っています。
データに頼らず、自らの意思で動きなさい、
ということなのです。

私が「社内説得データ集めのための調査はしない」と言った後、
こんなことが起こりました。
実は研究所が作った製品を市場テストとして
あるお店で実際にお客様に使ってもらっていました。
お店のスタッフさんはその際のお客様の反応を見て
「良いけれど、ニーズがあまりなさそう」と研究所に評価したのです。
実は「ニーズがない」はここからきていました。
ですが、そのお客様が再度お店を訪れ、
「以前のもの(=テストした商品)が欲しい。あれが良かった」
とおっしゃったそうです。
この反応に驚いたお店のスタッフさんは、
研究所が作った製品の評価を見直しました。
そして、研究所も再びやる気を出してくれたのです。

このエピソードからわかるように、
ニーズはデータから見つけるだけではなく、
実際に消費者に体験していただいて生まれることもあります。
データは過去のものを反映していますが、
未来のニーズを予測するのは困難。
だからこそ、私は「ニーズは作り出すもの」と考えています。

開発というのは孤独な業務です。
ブランドの社長であるブランドマネージャーは
組織のあちらこちらで「売れるの?」と疑問を持たれること多々。
でも、私はこう信じています。
ブランド担当者が信じた新製品のコンセプトには意思があります。
それに懸ける意思は開発プロセス中に社内外で何度も問わ続けます。
それでも諦めずに意思を貫くことが、成功をもたらすのです。
ニーズは作り出すものなのです。

今日は、私の経験を通じて、
「市場ニーズは作り出すものだ」という考え方をお話しました。
開発に携わる方は、自分の意思を信じて、
決して諦めず、新しい挑戦に立ち向かってみてください。
それが誰かのニーズを作ることにつながるのです。


最後までお読みいただきありがとうございます。
タイトルのイラストはhukugyouotakuさんのイラストをお借りしました。
ありがとうございます!

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