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本心


私は、35歳。パートで某ディスカウントストアーで働いている。あの雑多感に落ち着きを感じる。
夫は、缶ジュースの工場で働いている。娘は、韓流にどっぷりはまった、女子高校生とYouTuberになりたい男子小学生である。

そんな日々が、少し所かガラッと変わる出来事が起こる。
姉が亡くなっていたと連絡を受けたのだ。
「山田加代さんの妹さんですか、あなたのお姉さん亡くなりました。不審な点がないので、なんらかの疾患でしょうが、詳しくは病院で。」

「あっ、もしもしパパ、あの、仕事早く抜れる。
お姉ちゃんが、家で死んでたらしい。病院いるから来て欲しい。」
「えっ!わかった 国道沿いの郵便局の前のとこやな。」
近くに暮らしてるのに、姉と会ったのは、正月で、
何も話すことはなく、一時間も経たずに子供達にお年玉をくれて「また、来るね」と別れた。

姉は、古いマンションに1人住んでいた。
40歳で独身。物静かな人で、読書が好きな人。
大学を出てから、ずっとビジネスホテルのフロントで働いている。
主任らしい。
小さな頃から、優しく。色白で背は低いが、スマートな人だった。
何度か、恋愛はしたようだ。
35歳で破談となり、父も母も私達も、結婚という言葉に、触れてはいけないと気を使っていた。

姉の人生楽しかったのだろうか?
もっと、優しい言葉をかけてやれば良かった。
なんて、思っていたら、自転車を漕ぎながら涙が溢れて出た。
(続く)

#小説 #フィクション#熟成note

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