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ミュージアムへのいざない。アートだけではない楽しみがある

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入り口までの期待感や周りの風景を取り込んでいること、アートの展示だけでないミュージアムの魅力。アートとよい関係をもつミュージアムに物語を感じる。素敵なミュージアムを求め旅に出よう。
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2022年7月の記事一覧

藤田美術館の新たな歴史が始まる

木々の向こうにみえる白い箱体は、今年の4月1日に リニューアルオープンした藤田美術館。元の建物は 1954年、明治時代に活躍した実業家の藤田傳三郎氏 により藤田家邸宅の蔵を展示室として作られていた。 ここには国宝指定された瑠璃色に輝く「曜変天目茶碗」 3碗の内の一つが所蔵されている。美術館の収蔵品 (内、国宝9件、重要文化財53件)は約2000件にも上る。 藤田美術館に、左官職人の久住有生氏による左官仕上 がある。とくに、この入り口正面のメインの巨大な壁に ついては腕のい

梅田からぶらり散歩してたどり着いた所は

久しぶりの大阪に心も浮き立つ。阪神百貨店の様変わりを 楽しんだ後、見慣れた梅田の風景を確かめるように建物 を見上げ歩いてみる。少し懐かしさを感じつつ、よく知る 風景にほっとした気分に。時間もあるので散歩を続ける。 てくてくと歩き堂島川までやってきた。しとしとと降る 雨の向こう、印象的な姿で対岸に浮かび上がる黒い箱体。 大阪中之島美術館はホワイトならぬブラックキューブ。 そのボリューム感は、中之島の風景を一変させている。 大阪中之島美術館は、構想発表から40年。設計者は 2

九州芸文館は斜めのラインであふれている

筑後船小屋という新幹線の駅前に広がる公園に建つ 九州芸文館は、隈研吾氏による設計である。2013年に 開館しているが、その斬新さは色褪せていない。建物 は低層に抑えられつつも、そのダイナミックな外観は 風景を作り出す。建物が集落の屋根の連なりや山並み のような雰囲気を持つ。まずは周囲から回ってみる。 隈研吾氏が設計する建物には、斜めのラインが多いと 思うが、ここではそのデザインが顕著である。屋根や 天井の勾配にあわせ、開口部も斜めに設けられ、全体的 に斜めデザインの連続性が

隣り合う佐賀県立美術館と博物館

ようやく佐賀城公園までやってきた。雨も上がり、小さな 折り畳み自転車は快調に進んでゆく。14インチのタイヤ でも意外とすいすい進む。佐賀城公園は、お濠で囲まれた 内部に整備されていて、史跡や文化施設が集まっている。 まずやってきたのは佐賀県立美術館。こちらは1983年に 博物館に隣接して建てられ、美術館機能を移転している。 ヨーロッパ絵画 美の400年展が開催されていたが、残り の時間を考え、本物を見たい気持ちを抑えて我慢する。 建物の外観とホールを見られただけでもよしとし