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藤田美術館の新たな歴史が始まる
木々の向こうにみえる白い箱体は、今年の4月1日に
リニューアルオープンした藤田美術館。元の建物は
1954年、明治時代に活躍した実業家の藤田傳三郎氏
により藤田家邸宅の蔵を展示室として作られていた。
ここには国宝指定された瑠璃色に輝く「曜変天目茶碗」
3碗の内の一つが所蔵されている。美術館の収蔵品
(内、国宝9件、重要文化財53件)は約2000件にも上る。
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藤田美術館に、左官職人の久住有生氏による左官仕上
がある。とくに、この入り口正面のメインの巨大な壁に
ついては腕のいい職人を集めて練習し、10人で同時に
作業されたという。呼吸を合わせて塗り進める中で1人
でもリズムが狂ったりミスがあると、下地からやり直
すことになるという。これもまた作品でもあると思う。
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パブリックスペースの床仕上げはタタキ仕上げ。当初
は石張りであったという。硬さの中に柔らかさが意図
されている。優しげな色と質感が心地よさを作りだす。
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建物の随所に、細部にまでこだわられた納まりがある。
「設計はしますが、建物は造りません。建物じゃないん
です、これは。美術館は美術品を展示するための装置
ですから、建築はでしゃばってはいけない。存在を消す
ようにしようと考えました」とこ設計者の思いがある。
藤田美術館の建設は設計施工のコンペで、大成建設
株式会社が選ばれた。大成建設の前身の大倉組商会は、
明治20年に藤田傳三郎と渋沢栄一氏と共に、日本初の
土木建築業の「日本土木会社」を共同設立したつながり
を持つという。その深い関係に歴史の重みを感じる。
そして提案書は、歴史の重さを表現するため、黒い表紙
には金文字、帯に年表をつけて製本されたものだった
という。建物の設計以前のストーリーを、どのように
演出するか。提案は、建物以外の所から始まっている。
美術館はプレオープン中で、展示室を見学することは
できなかったが、その分、建物を楽しむことができた。
公園との間の塀をなくすことを、行政と粘り強く交渉
されできた、公園と連続する気持ちのよい空間もある。
ここには建物内外のいたる所にこだわりがある。色や
仕上げは実用性やメンテナンスだけで、決めるのでは
なく、その色や仕上げを選んだことによってできる
空気感や雰囲気が大切にされている。それらの仕上げ
が建物とともに、どのように時を刻みながら、建物に
なじんでいくのか。何度も訪れたいと思う建物である。
こうして、大阪への帰省もあっという間に終わって、
博多までとんぼ返り。いろんな場所で、いろんな人たち
のこだわりがあり、それらが街や風景をつくっていく。
また新しいであいを求めて、ぶらりと街に繰り出そう。