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大人が手こずった長期滞納金を完全回収した中学生必殺集金人誕生秘話・・・ほんとかいな?
<この記事は約4分で読めると思います!>
世の中には、支払う約束や契約にもかかわらず、無いものは払えないと開き直っていっこうに支払わず、そのまま長期滞納金として不良債権化するものも多いのですよね。
ここで登場するエピソードは、若かりし頃の私の実話でございますが、そんな不良債権化した長期滞納金を回収するまでの話です。(^^ゞ
といっても、そんな大げさな金額でも無くて当時の社会人の平均月収をちょっと超える程度の金額なので、大層な物じゃ無いんですが、回収することになった経緯も含めて笑っていただければ幸いです。(^_^)b
まずは、なぜ中学生の私が集金をするハメになったのか、ということから始めます。
私が中学生の頃といえば、ビートルズやベンチャーズの来日騒ぎで、国内でもグループサウンズが流行り始めており、あっちこっちの若者がにわかギターを習い始めた頃でした。
私もご多分に洩れず、裕福だった友人の兄貴が始めたギターとドラムに惹きつけられて、連日のように放課後になると友人宅に遊びに通うという日々をおくり始めたんですよね。
そして友人の兄貴が不在のときを狙っては、ギターを借りて演奏の真似事をしていたのです。
そんな日々を過ごしているうちに、中学校の文化祭でその兄貴たちが寄せ集めのバンドを組んで、出演することになったんです。
ただ残念なことに、バンドを組もうにもギターをまともに演奏できる中学生というのが、田舎なもんだからいないのよ。
そもそもギター、それもエレキギターだもんね、持ってるはずが無いのよ。
そこで学校中を探し回って、エレキギターを持ってる中学生をかき集めたわけね、バンドメンバー候補として。
それで何とかエレキギターはそろったんだけど、ベースギターが無い。
仕方なく友人の兄貴がお小遣いを出して、隣町の先輩格のバンド(こっちは上手でバンド歴も1年ほど長かった)から中古ベースギターを買い受けて何とか揃えたんですね。
そうやって友人の兄貴たち3年生のバンドが誕生したんだけど、にわかの結成なもんだから演奏曲のレパートリーが極端に少ないわけですよ。(´д`;)
そこで、いつも出入りしていた2年生の私と友人が急遽メンバー入りすることになったんですね、何曲か不完全ながら弾けそうだったから。
要するに、弾ける曲に合わせて演奏者が交代するというシフトですよ、それもリードギターが、ですよ。(゚_゚;)
さぁ、文化祭までに追い込んで練習しないと恥かくぞ!
そんな逼迫した状況でしたが、ここで生じたのが追い込んで練習しようにもエレキギターが不足しているという決定的な事態でした。
「おい!何とかして買ってもらえ!でないと、練習できんぞ!恥かくぞ!」
そうなんですよ、担当する数曲をマスターするために中古のエレキギターを購入するハメになったわけです。
隣町の先輩格バンドのお下がりエレキギターを、当時の価格で1万8千円で譲り受けてもらえる、という話までつけてもらったら、もうどうにも引っ込みがつかないじゃ無いですか!
そう言うハメになって仕方なく、それも強引に父親を説得にかかったわけですよ、毎日まいにち顔を合わせているあいだ中、粘ったんですよ。
すると、根負けした父親が「そこまでギターが欲しいなら、UTさんの所へ集金に行け、もしもお金が全部もらえたら、そのギター代をくれてやる」そう言い放ったんですよ、どうせムリだと分かっていたからでしょう。(^o^)
さぁ、俄然希望の光が差し込んできました!
集金してくれば、エレキギターが買えるぞ!
たっぷりマイギターで練習して、一躍ヒーローだ!
その吉報をバンドの先輩たちに話したらみんな喜んでくれて、翌日には中古ギターの買い受けをOKする連絡まで勝手にしてくれやがったんですよ、ね。
と言う事情を抱えて始まった中学生の集金人誕生ですが、敵もさるものひっかくものですよ、簡単には支払っちゃくれないのです。(-_-;)
まだこちらが中学生なもんだから、はなっから相手にしてくれないどころか無視して、晩酌の焼酎を飲んでるわけですよ。u(~。~;)?
えぇ、集金する相手は左官さんで、父親が頼まれてやった請負仕事の賃金を支払わずに滞納しているのです。
酒癖も悪く、晩酌のシメに食べるご飯の上に砂糖をのっけて、その上から焼酎をとぷとぷかけて、お茶漬けならぬ焼酎漬けをかっ込むというほどの飲んだくれ親父でした。
2日目に行った日からこちらも覚悟を決めて、玄関の上がり框に腰を据えて
「お願いですから払ってくださいよ~、奥さんからも頼んでくださいよ~」
「払ってもらわないと、ボクが大変なことになるんですから・・・。」
ひたすら念仏のように、語り続けるわけですよ。
まだ督促の法令も無い頃ですからね、昭和の40年代ですから必死で粘るんですよ、夕方の5時半頃から相手が寝る時間になって、戸締まりをする8時すぎまで。
思い返すと感心するぐらい粘り強かったですねぇ、毎日3時間くらいを督促し続けるわけですから、普通じゃ無いですよね。(-_-;)
5日目頃だったかな?それまで知らん顔していた奥さんが、とうとう私に頭を下げて「頼むからもう来ないでくれ、そのうちに必ず払わせるから」そう頼むんですよ。
でも、引き下がりませんでした。
「そう言っても今まで払っておらんのに、口約束は信用できん!」
すると奥さんは、飲んだくれ親父のUTさんの様子を気にしながら
「今はこれしかないけど、残りも明日かあさって払うから・・・」と言って小さく折りたたんだ1万円札を渡してきたんですよ。(!o!)オオ!
すかさず言いました。
「残りを必ず明日もらえるなら、今日はこれで帰りますけど・・・」
それを聞いていた飲んだくれ親父のUTさんは、晩酌を始める素振りで座っていたけど、こっちを睨んで言ったんですよ。
「わいは、誰に習うたんか、そげんな集金のやりかたをすっとぉば・・・」
投げやりの言葉を浴びながら、UTさんに答えてやりました。
「誰にも習わんけど、もらわんとこっちが大変な恥かきになっとですよ!」
「文化祭の人前で弾く中古ギターが、買うてもらえんとですよ!」
すると突然、飲んだくれ親父が立ち上がったかと思うと、脱ぎ捨てたズボンのポケットをごそごそしてから、こっちを睨んで言い放ったんですよ。
「ほい!こいで良かろが、ぜんぶ持っていけ、払い前はこいで全部じゃ!」
そう言って残りの2万円を突き出してきたんです、持ってるじゃ無いの!
もちろん速攻で身を乗り出して受け取りましたよ。
ありがたく全部の滞納金を回収できて嬉しくて、ほくほく顔できちんとお礼を言いました。
帰り際に、飲んだくれ親父のUTさんが言った捨て台詞が
「こいで今夜から、うんまか焼酎を飲んがなっがよ、わいがおらんと!」
何を言われようが、嬉しくてたまりませんでした。
家に帰ると、父親が「ほんとにもろうてきたんか!3万円も・・・」そう言って絶句していましたが、約束通りに2万円を受け取ることができました。
世間知らずの中学生だったから、人目もはばからずに堂々と居直りの督促ができたんですよね。(^^ゞ
それにしてもあとになって社会人のスタートを集金係で始めようとは、まだこの時には想像もしていませんでしたが、集金人の素質が芽生えたきっかけがこのエピソードにあったのかも知れませんね。(^^ゞ
おまけに時代が時代だったんで、どこの家も鍵をかけるのは寝るときだけで
ごめんくださいと声かけしたら、ガラガラと引き戸を開けて玄関のたたきに入り込むという、昔ながらの風習があったればこその実現方法でした。
さっそく2万円を握りしめて隣町までギターを受け取りに行きました。
そして、その日からマイギターで連日練習を重ねて、晴れの文化祭のステージで寄せ集めバンドのリードギターを務めることができましたとさ。
ちなみに担当した曲は加山雄三の「夜空の星」ベンチャーズの「パイプライン」「ダイヤモンドヘッド」「ウォークドントラン」という4曲で1番上手だった先輩はリズムギター、友人の兄貴はドラムで残りは有象無象。(-_-;)
今でもこれらの曲を耳にすると、中学生の頃を懐かしく思い出すんですよ。
なもんだから、近頃ウクレレに興味があるんです、少しばかりだけど。
ってことで、今回は
「大人が手こずった長期滞納金を完全回収した中学生必殺集金人誕生秘話・・・ほんとかいな?」なエピソードでした。
では!
追い込み集金も のほほんと。
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