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今月の短歌 24年2月16日~2月29日

軽いジョギング はきはきと高齢者に追い越されハイペースな春

フェイクだと思われる距離を感じて はいそうですとだけレスポンス

心身のダメージケアをはかりつつぜひ読んでねと届いた歌集

夢ならば次の世代へ託したよ わがままとミスをあたためるのさ

杢灰のカットソーへと抜ける風 涙目と陽と菜の花の色

籠球の神様に似た足元を始まりたての虹風に添えて

桃色の液体 僕とアナタとのお別れでした 溶けてた氷柱

博愛に満ちた魂 夜の彼方 闘った生、胸握られて

「17」が愛用してる普段履きグラつき歩く河津の土手を

10代や20代らが日常で使うことば、情報に欲

決壊しかけの塩湖に紺の影 羽ばたきを得た催花雨の空

君が雨さようならまで丁寧に春はなぜ吾に眠りを急かす

撫でるよな旅立ち 甘い早春の河川敷にはサックスの音が

ひさかたの黒装束が脱げていて キミのコトバはとトウメイでいた

首都ベルン 春に浴びるヘーゼルの濡れた質感 心はパズル

二種類の泳法 ひとつは水面を跳ねてひとつは星を眺めて

夜か朝かもわからないぼんやりとした見当識食む曇天

歪む顔 これは神罰なのではとナガスクジラの背を見て堪える

胃か肺か我が身を突き刺す痛みから若き日の瑕疵溶かしてく夜

目に見えぬ報いのような閃光に焼かれ焼かれて僕も消えゆく

穏やかな造花は窮屈なのだと勝手に飛び出し朽ちてはじめて

ダウンジャケットをクリーニングへホイと出す 短かった冬でした

春先のカーディガンの柄を選ぶ やや輪郭をボカしたいかな

実は好きだよってからだ震わせて待たせた廊下 そんな日も春

脳萎縮 2秒前のできごとを覚えられない これから先も

鯖と牡蠣の魅力知らず死ぬ僕が味わうドコサヘキサエン酸

研ぎもせず刃こぼれしてるシザーでは君のワンレン揃うはずなく

不細工な白い猫には林檎の樹 あんな自由に眠っていたい

おでこには河津桜の花びらがふわりと乗って安らぎにいる

使い捨てストローの気持ちになれば ただ居なくなる予後の虚しさ

タートルネック いつも顎まわりにできる毛玉を毟り また毟る

モノクロに見える早朝 コーヒーの香り漂い僅かに色付く

ポイ捨ては良くないはずだ このゴミを誰かが拾う確証はあるの?

空白にうねる三十一文字の意図 グサグサと刺す処刑が続く

ブーケトスのように投げた学ランは名前知らない君に渡った

一度すら話したことのない君と交わしたあの日保健室でのキス

幻となりゆく僕ら 午前二時 急いで出した婚姻届

四年に一度の結婚記念日が訪れるたび 天を仰いで

少し優しくなれるかな呱呱聴いて パパに似てるよ えいアンパンチ

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