損保社員の市場価値
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前回記事のとおり、金融庁さんから「不払い&事案放置」のお叱りを受けて、営業部門の従業員が損害サービス部門へ大量に異動となりました。
30歳前後の営業担当者が、苦情処理を中心とした損害サービスの世界に放り込まれるのです。上手くいかない可能性が高いのは明らかなのですが、それでも金融機関の最大顧客である金融庁さんとの約束です。従業員の人生を蹂躙する形で、損害部門への強制大量異動が行われたのでした。
新入社員も損害サービス部門へ
私が入社した頃は、損害サービス部門への配属は16~17%くらいでしたが、金融庁さんとの約束もあり、ある年から新入社員の損害サービス部門への配属が30%程度へ急上昇することになりました。
とはいえ配属人数が多すぎるので、一部の人には「次は営業に行くフラグ」が立っており、3~4年後の異動では損害サービス部門から営業へ行く人が出てきます。これは、有事(不払問題とか、巨大地震とかの災害)の対応要員として、損害サービスができる社員を増やしておくという意図もありました。予備兵みたいなもんですね(笑
ぼく「損害サービスの経験者が増えるのは良いけど、なんだか会社って勝手だな・・・」
転職活動の再開
従業員のキャリアを踏みにじるような損害サービス部門への強制異動が行われたことを契機として、改めて会社に人生を委ねることの怖さを感じると共に、「自動車保険の示談で会社人生を終わらせたくない」という思いが一段と強くなったのもこの時期です。
ぼく「もうすぐ3年が終わる。書庫にある高額事案(※)の稟議書類を見て勉強したり、照会応答コーナーのQAを全部理解&暗記したり、交通事故に関する重要判例を全て読破したり、色々工夫しながら本当に頑張ってきた」
(※)高額事案は書類が分厚くなるので、書庫で分厚い書類を拝借して中を見れば、割と勉強になりますよ
ぼく「今回の強制異動で分かったことがある。このまま示談の世界にいると、自動車保険の示談しかできない『会社の言いなり従業員』になり、今回のような無茶苦茶な異動を通告されても、受け入れるしかなくなる。それは嫌だ、絶対に」
このような経緯から、転職活動を再開することになりました。2年前は自分で各社に応募して全滅だったのですが、今回は転職エージェントに相談をして、しっかり対策を立てようと思ったのです。
<ご参考:2年前の転職活動>
転職エージェントからの通告
インターネットで転職エージェントにアポイントをとって、大阪のオフィスに行きました。エージェントには、以下のように色々伝えました。
「給与の良さと人の良さで東京海上に入った、仕事内容を考えてなかったことに後悔している」
「マツケンサンバ事件を経て損害サービス部門に配属、これも後悔している(というか、なんでマツケン踊らなあかんねん)」
「示談の仕事は全く好きになれなかったが、3年間ガチで仕事をしたが、やっぱり無理」
「示談の仕事で人生を終わらせたくないから転職活動をしたい」
<ご参考:マツケンサンバ事件>
エージェント「損害保険会社からの転職希望者は一定数いらっしゃいまして、やなぎさんと同じような理由の方が多いです。ただし、損害サービスは他業種で使えるスキルではないので、転職で給与は下がります」
ぼく「営業とかの方がまだ良いのですか?」
エージェント「損保は代理店を通じた間接営業ですから、損保営業も潰しが効きません」
ぼく「・・・(どちらにせよ詰んでるやん)」
エージェント「特に東京海上の総合職は給与が高いので、給与ダウンに対する覚悟が必要です。同じ業界内での転職でも、当然ながら給与は下がります」
ぼく「むむむむむ・・・、とりあえず同じ業界の転職は意味がないです」
衝撃でした。損保社員のスキルは業界内でしか通用せず、他業種を目指すにはゼロリセットになるのです。もちろん、社会人としての素養を身に付けている分だけ新卒よりは「使える」でしょうが、その程度の評価です。
それでも、歩みを止める訳にはいきません。エージェントが紹介してくれた「リクルート」にエントリーしたところ、面接に進むことができました。2年前の転職活動では面接にすら進めなかったので、少し嬉しかったです。
ぼく「やったるで、面接がんばるで!」
(続く)