『晴明伝奇』第9話 秘めた想い
▶時期:天慶八年(945)― 天暦元年(947)
二人だけの秘密を共有してから、晴明と梨花の絆はより一層深まった。一度顔を見てしまった以上、二人きりの時は顔を隠す必要はなくなったが、長らく顔を見せないで晴明と接してきた梨花は、いざ顔を露わにして向き合ってみるとどうしたらいいかわからなくなった。梨花が恥ずかしそうに俯きがちになって接してくる様子は、晴明をたまらなく愛おしい気持ちにさせた。
新嘗祭の時期、梨花は藤原忠平から五節の舞姫になることを勧められた。賀茂家の役に立つよい