忙しい人のための『晴明伝奇』#24 妖魔を捉える鈴

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▶時期:康保元年(964)― 康保四年(967)

仙狐登用試験の看板を目にした晴明はこの看板の主が何者か気になったが、この看板が設置された経緯がわからないため、看板の主に逢えることを待ち望みながら修練に励んだ。 そして、晴明は泰山へ渡るための舟を造り始め、晴明の息子たちも手伝った。

二年後、晴明たちの造った舟が完成した。看板の主は現れなかったので、晴明は自ら泰山に渡ろうとする。ところが、朝廷の乱れを示す天象が頻りに起こり、世の中は落ち着かなくなる。晴明は都を離れられなくなり、妻との再会は遠い夢となってしまう。

一方、碧霞元君が妖狐統括の計画を実行に移してから長い年月が過ぎていたが、彼女の許に集まった妖狐は数人しかいなかった。また、彼女の期待に応えられるほど優秀な者はいなかった。冥界では人間が妖狐に苦しめられた報せが尽きなかったので、碧霞は妖力を感知すると鳴る捉妖鈴を作り、自ら妖狐を探す旅に出ることを決意する。

碧霞は再び平安京を散策するが、捉妖鈴はまったく反応しない。歩き疲れた彼女が休んでいると庶民の男たちに乱暴されそうになり、偶然通りかかった源満仲に助けられる。満仲は、主人の藤原師尹と京中の水害を巡検していたのであった。

師尹は碧霞の無防備を諌めようと近寄るが、彼女が梨花に瓜二つの容貌であることを知って驚きを隠せない。碧霞が事情を説明すると、師尹は彼女のために小一条邸の女房がかつて使用していた部屋を用意し、仮初の住まいとした。碧霞は師尹がなぜここまで親切にしてくれるのか不思議に思い、かつて彼女によく似た女が都にいたことを知る。師尹は梨花との思い出を話している間、積年の想いから晴明の存在について触れなかった。碧霞が都にいる間、師尹は満仲の息子である頼光に彼女を護衛させた。

晴明と保憲は師尹に頒暦を渡すために小一条邸を訪れた。師尹が暦本を確認している間、晴明は屋敷の端の部屋にかつての妻がいるとは予想だにしなかった。

やがて憲平親王が病を患い、保憲は憲平の邪気を払う儀式を行ったが、病状は変わらなかった。年が明けても憲平の病気は回復せず、碧霞は師尹から憲平の診察を依頼される。当初、彼女は衆生の天命に干渉する気はなかったが、物の怪の仕業である可能性を考慮して捉妖鈴を師尹に預ける。

上巳の祓の季節、保憲が師尹の穢を祓っている間に師尹の捉妖鈴が微かに鳴った。師尹が鈴の鳴る方向を探っていると、晴明の前で最も大きく鳴り響いていた。

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