『晴明伝奇』第8話 遥かなる夢
▶時期:天慶六年(943)― 天慶八年(945)
晴明は、自分が未だ越えられずにいた男女の境界線を藤原師尹が簡単に渡っていくのを見て、身分の違いを痛感する。実際のところ、梨花は賀茂家の役に立つことなら何でもしようと覚悟を決めていたが、緊張しきっている梨花を見た師尹は彼女との関係を持つことをやめたのだ。だが、晴明がそのことを知るはずもなく、梨花が誤解を解こうとしても信じる者はいなかった。
正月の子の日に、晴明と梨花は若菜を摘みに北山へ出かけた。その時に医師である丹波康頼と知