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健やかな自然を未来に継承し、手仕事にこだわり、すべてのお客様の美と健康を実現する世界的な養蜂家企業へ。サステナブルの輪Vol.018杉養蜂園

皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。

ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は、熊本県熊本市に本社を置き、はちみつの生産・販売を行う杉養蜂園さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

杉養蜂園は1946年に養蜂業の取り組みを開始し、1956年に創業しました。以来、手仕事にこだわる「ものづくり」を続けながら、蜜蜂の飼育から採蜜・販売までを一貫して手がけ、多彩なはちみつ商品を生産・販売しています。現在、国内外で79店舗を展開、オンラインショップでの販売も行っています。早くから養蜂のイノベーションを図るために、世界の養蜂家と連携しながら、グローバルな養蜂活動を展開。「自然の大きなサイクルの中では養蜂業も農業の一つである」という「健やか農蜂業®」を生産哲学に掲げ、自然と向き合いながら地球規模でのサステナビリティへの取り組みを実践しています。

今回、企画部の眞﨑華穂さま、養蜂部の出口幸太さま、販売促進部の山田裕子さまに、サステナビリティへの取り組みについてお話を伺いました。

自然環境を守ることが養蜂家企業としての使命

杉養蜂園は戦後すぐの1946年に3箱の巣箱からスタートしました。以来、70年以上にわたって自然から生まれる美味しさを追求するために、自然と風土に向き合いながら養蜂業に取り組んでいます。私たち杉養蜂園には「健やか農蜂業®」という生産哲学があります。これは「自然の大きなサイクルの中では養蜂業も農業も一つである」という理念に基づいたものです。養蜂業も自然から与えられる大いなる恩恵の一つであり、美しい自然環境を守り、健やかな状態に保ち続けることが、美味しいはちみつづくりの原点だと考えています。すべてのお客様の美と健康を実現するために、健やかな自然を未来へ継承し、そこから生まれる美味しいはちみつや健康をサポートする商品を皆様のもとへお届けすることが、私たち養蜂家企業の使命だと思っています。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、2015年にSDGsが国連で採択されましたが、それに伴い当社でも「SDGs宣言」を策定しました。当社の「SDGs宣言」では「Well-BEEing」をスローガンに、「杉養蜂園は”健やか農蜂業”の理念のもと持続可能な地球環境の保全に努めて参ります」と謳っています。「Well-BEEing」はSDGs宣言が行われた際に明記されたキーワード「Well-Being(よく生きる)」をBee(蜂)にかけたものです。当社の「SDGs宣言」には、アインシュタインが語ったとされる「もし、蜂が地球からいなくなったら、人間は4年以上生きられない」という言葉が引用されています。まさに蜜蜂を育てることは、蜜蜂が健やかに生きられる自然環境を守り、持続可能な社会の実現に貢献することにほかならないと考えているからです。こうした観点から、蜜蜂の飼育から採蜜、販売までを一貫して手がける当社では、養蜂、製造、販売の三つの領域での具体的なサステナビリティ活動に取り組んでいます。

養蜂の領域では、蜜蜂が健やかに生きられる自然環境を守るために、大きな取り組みが二つあります。一つはレンゲの種を農家の方に無料配布し、レンゲ栽培を促進する活動です。レンゲは空気中にある窒素を取り入れる力があるので、作物に対する肥料としての効果があるとされています。実際、レンゲ農法という、レンゲ草を有機肥料として田んぼにすき込む作り方があります。しかし、化学肥料を使う農家の方が多く、生産性などを考えるとなかなか栽培してもらうのが難しいという現状がありますが、農家の方にとっても持続的に農業を続けていくためには、地球にやさしい農業のあり方を考えていく必要があると思います。レンゲ農法によって作られたお米は美味しいとも言われています。私たちとしては、そのあたりもアピールしながらレンゲ栽培促進の活動を続けていきたいと考えています。

もう一つが植樹活動です。毎年、養蜂部のメンバーが熊本県内の各地で、サカキ、ソヨゴ、エゴノキ、リョウブ、ヒメシャラなどのさまざまな種類の樹木の植樹を行っています。蜜蜂の蜜源にもなる、ヤマハゼやシマトネリコなどの広葉樹も植樹しています。植樹活動は熊本県内だけではなく、例えば、北海道などでも行っています。私たち杉養蜂園では、4月から8月にかけての採蜜活動を最も適した蜜源地を求めて、熊本→秋田→北海道と移動する「移動養蜂」を行っています。そうした関わりから、蜜蜂の森づくりを進めようと、北海道の浜中町というところで、町とNPO法人の方と連携しながら、植樹活動に取り組んでいます。今後、何十年とかけて森づくりを進め、最終的にはその森を浜中町の小学校の授業用素材として使っていこうと考えています。

その他、蜜蜂を農家の方などに貸し出すことで、蜜蜂交配に協力する活動にも取り組んでいます。蜜蜂交配はイチゴ、ナス、メロン、スイカ、キュウリ、カボチャ、梅、桃、キウイ、梨など多くの作物での花粉交配に利用することで、農作物の増収や品質の向上に役立っています。これは以前からやってきていることですが、蜜蜂を増やすという取り組みも、私たち杉養蜂園にとって大切な活動の一つです。近年、気候変動などによる温暖化の影響とか、害虫の問題などで、蜜蜂が減少する傾向にあります。当社では養蜂も農業の一つととらえていますので、蜜蜂の数を増やすことは、当社の事業の継続性にとっても、農業の問題にとっても重要な取り組みだと考えています。また、杉養蜂園では養蜂部のメンバーたちがさまざまな作物を蜜蜂による花粉交配で自社栽培しています。約1,200本の自社果樹園のきんかんは、木酢液による害虫予防から、糖度を高めるための摘果作業や収穫に至るまで、すべて丹精を込めた手作業により行われています。こうして自然の恵みをたくさんに受けた丸々と完熟した美味しいきんかんの実ができあがります。蜜蜂にも作物にも、最適な環境を自らの手で整え、育み、確かな品質のものだけをみなさまにお届けさせていただく。それが、創業以来変わらない杉養蜂園のものづくりになっています。

自然からの恵みをよりサステナブルな商品へ

二つ目の製造の領域でも、環境負荷の軽減に向けたさまざまな取り組みを行っています。まず製造工場では太陽パネルを設置し、クリーンエネルギーを使用しています。「FSC認証」の資材を使うなど、環境に配慮した商品づくりも行っています。また杉養蜂園の工場では、国際的な食品安全マネジメントの規格「FSSC22000」の認証を取得し、お客様に当社商品を安心してご利用いただくとともに、品質保証レベル向上の取り組みを実施しています。

採蜜の過程で蜜ろうというものが生じます。蜜ろうは蜜蜂が巣を作る時に分泌するろうのことです。従来は廃棄されてしまうものなのですが、これを手づくりのキャンドルやリップクリーム、ハンドクリームに加工できる商品として新販売しました。これは廃棄物などに付加価値を与えて、新たな価値の製品に生まれ変わらせるアップサイクルの一つです。また最近では、防災用はちみつも商品化しています。当社の主力商品の一つにハンガリー産のアカシア蜜という商品があります。この商品をパッケージ化し、賞味期限2年の防災用の非常食品として販売しています。

果汁入りはちみつのボトルは、ユニバーサルデザイン化し、高齢者の方でも持ち手がすべりにくく開けやすい工夫を施しています。スプーンなどを使わずに、傾けるだけで使うことができ、切れも良く液垂れしにくい構造になっており、お客様からも好評です。

商品づくりに関しましては、今後も、さまざまな工夫を施すことで、サステナブルな商品づくりを目指したいと考えています。自然からの恵みであるはちみつを最高の品質でお届けし、お客様の生活をより豊かでより健やかなものにすることを目標とする杉養蜂園にとって、安全性が高く、より美味しく、そしてサステナブルな商品を作っていくことは私たちの責務であると考えています。

ダイバーシティに基づき、従業員一人一人が活躍できる企業

三つ目の販売の領域では、SDGs17項目の中の人権やジェンダー、雇用の問題などの取り組みについていくつか紹介させていただきます。当社では現在、国内外で79店舗を展開しており、全国の直営店舗でお客様に接する機会をとても大切にしています。人を通じて当社への信頼と商品への信用を感じていただき、お客様の貴重な意見を直接聴き、社内にて改善していくことが、会社を大きく成長させることと確信しています。
お電話でもオンラインでも、その姿勢は変わりません。そうした観点からも、SDGsが掲げる目標は非常に重要だと考えています。当社は女性社員が非常に多く、80%以上を占めています。現在、管理職の女性比率も40%を超え、産前産後休業や育児休業の取得率も100%になっています。復帰後は短時間勤務制度を活用し、管理職を続けながら育児とキャリアを両立しています。資格取得推進制度やEラーニングも活用し、社員の学ぶ意欲のサポートを行ってます。杉養蜂園は女性が働きやすく、長く働くことができる、とてもサステナブルな会社だと思います。

サステナビリティというとどうしても、環境問題などが中心になってしまうのですが、当社では働きやすい会社を作ることもサステナビリティの重要な要素ととらえています。他の企業と比べましても、ダイバーシティが非常に進んだ会社だと思います。蜜蜂の世界では働き蜂のほとんどがメスなので、女性が活躍しているという所は似ているかもしれませんね。
当社のSDGsの取り組み体制について少しお話をさせていただきます。現在、当社にはSDGsプロジェクトチームというのがあります。「SDGs宣言」の策定と同じ頃、2020年に設置されたものです。全社員がSDGsに関わっていこうという趣旨から、各部署よりメンバーが募られ、SDGsに関する関心・意識を向上させていく活動を行っています。
当社の事業や理念自体はSDGsとの親和性が非常に高いのですが、やはりSDGsという言葉や結びつきに関してまだまだ浸透していないというのが現状です。プロジェクトチームでは、SDGsの検討会の開催や、動画やポスターなどの作成を行っています。また、ペットボトルのふたの回収活動やフードドライブ活動への社員の参加を通じての意識向上に醸成を図っています。現在の一番の取り組みとしては、次世代につなげていくために、工場見学や学校の授業を通じてのSDGsの啓蒙活動を行っています。

最後に、サステナビリティへの想いをお聞きしました。

「私は大学時代にSDGsを浸透させていこうという活動に関わっていました。まだSDGsという言葉が社会に出てきたばかりの頃でしたが、環境問題などに関心がありましたので、SDGsにも興味を持ちました。杉養蜂園への入社も、そんなSDGsへの関心が入社動機の一つになっています。杉養蜂園の事業そのものがSDGsだと思いました。現在、小学校でもSDGsの授業があるなど、若い世代のサステナビリティへの関心は高くなっていると思います。私は販売促進部に所属していますが、もっと当社のサステナブルな商品の魅力をアピールしていけたらと思っています」(販売促進部・山田)

「私が入社した頃は、SDGsへの関心も知識もまったくなかったというのが正直なところです。SDGsやサステナビリティについて勉強する中で、養蜂そのものがサステナビリティなんだと理解していった感じです。蜜蜂の飼育や採蜜はまさに自然と向き合う中で行われるものですので、SDGsやサステナビリティと非常に親和性が高いものだと思います。そもそも当社の創業者が掲げた理念自体がサステナビリティそのものだと理解しています。豊かな自然を持続させていくためにも、養蜂の重要性を広げていきたいと思っています」(養蜂部・出口)

「私自身は、マイボトルを持つとか、できるだけ無駄をなくし資源を大切するとか、身近なところからでも、小さなことからでもいいから、意識を変えていけたらと思っています。現在、広報の仕事もやっていますので、SNSを活用して当社のさまざまなSDGs情報を発信しています。蜜ろうのアップサイクル商品もそうですが、もっと当社のサステナブルな商品を紹介していきたいですね」(企画部・眞﨑)


今回は、杉養蜂園さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。

次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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