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定年のオジさんが海外で子供達に日本語を教えることになった!そして子供達からたくさん元気をもらっている
ひょんなことからキッズ日本語教室というところで、ベトナムの子供達に日本語を教えることになった。子供の年齢でいうと7才から11才くらい。ちょうど小学2年生から5年生くらい。
ここでは日本語を勉強するベトナムの大学生達が教えているのだが、やはりネイティブの発音がわかった方が良いということで、急きょ日本人の私に白羽の矢が立った。
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正直に言うと日本語教師の経験もなく、さらにベトナム語もわからない。そんな訳で私が教える時は担当の大学生にも手伝って貰っている。
10月から開始して、ちょうど3ヶ月くらいだが、これがすこぶる面白い。とにかく刺激的で興味がつきない。
私のことを紹介すると、私は日本の会社に勤めていたが、突然ベトナム法人に転勤となった。以来ベトナムで働いてきて、一昨年定年となったのだが、海外の自由でのびのびとした暮しが気に入ってしまい、今なお現地法人でお世話になっている。
今は、サブマネージャーとエンジニアのような仕事をさせて貰っている。そんな折、休日にこの仕事の話があり、面白そうなので引き受けた。
生徒はと言うと、7対3くらいで女の子の方が多い。今の日本の状況と同じで女子がすこぶる活発である。この女の子達は、学習意欲も高く、海外や日本への興味もつきない。
なぜ彼女達が日本に興味を持ったかというと、話をしていてわかったのはアニメである。もちろんポケモンやドラえもんで育ったのは間違いないが、1番の人気はワンピースとドラゴンボールらしい。
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残念ながら、私はどちらもその世代でないので全くわからない。教えている大学生の先生は、さらに鋼の錬金術師やナルトだと言う。これも私は良く知らないが、彼らはジブリの映画も大好きなので、ここでようやく会話が成立する。
日本の製造業が厳しい中で、これらアニメの輸出状況は他国の追随を許さず、日本の独壇場である。若者達が日本へ興味を持つきっかけはこの影響が大きい。私自身ここへ来るまでは、こんなことになっているとは夢にも思わなかった。
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10才くらいの子供達が、出来れば留学をしたいと言う。彼女達の優秀なこと、一緒に勉強をしていると良くわかる。多分クラスの優等生のような気がする。勉強も熱心で、教えているとスポンジが水を吸い込むように、次から次へと吸収していく。
3ヶ月が経つが、あっと言う間に自己紹介が出来るまでになっている。刺激を受けモチベーションが上がるのはこちらの方である。ここベトナムでは、小学校に入学すると英語の勉強が始まるから、彼らにとって日本語というのは第2外国語である。素晴らしいというかスゴすぎる。
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ひらがなやカタカナを使った言葉の名前を覚えていく。リンゴ、みかん、テレビ、机、いすと言った具合だ。ときどき長い名前も出て来る。エレベーターとかインターネットとか。「おはようございます」や「こんにちは」のあいさつも勉強する。やはり長い言葉や文章になると発音はちょっと難しくて変になる。そこで私の出番となる。
普段気にも留めないで話している日本語であるが、結構これが難しい。
例えば、なぜ「こんにちは」と書いて「コンニチワ」と発音するのかと聞かれて答えられなかった。「私は」と書いて「ワタシワ」と発音する。「ワタシハ」とは言わない。発音と書き方が明らかに異なっている。なぜ「ハ」と発音してはいけないのか?ついぞそんなことは考えたことも無かった。
ネットで調べてみると、以下の通り。
「現代仮名遣い」では、一般に「ワ」に発音される「は」は、「わ」と書くとされていますが、助詞の「は」は、「は」と書くことが本則となっています。
すなわち、助詞の「は」だけは、「ワ」に発音されながら、歴史的仮名遣いのまま「は」と書きます。これは、助詞「を」「へ」とともに、伝統的な表記の習慣を残しているものです、ということらしい。理屈ではなく伝統的な習慣から来ているらしい。初めて知った。
私はボーっと生きてきたらしい。
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授業の最後の5分間は、先生への質問コーナーを設けている。勉強の仕方から、日本語でこれは何というのかとかを聞かれる。
ある時ここで、私は算数がキライでどうしても頭に入らないと相談を受けた。1時間もやっていると頭が痛くなるとも言われた。
これについては私なりの持論を持っていたし自信があった。小さい頃から運動オンチの私は体育の授業が大嫌いであった。鉄棒にぶら下がっても何も出来ないし、球技ではみんなの足を引っ張るのでとても情けなかった。小学校、中学校と本当に長い間、こうした辛い体験をしてきた。しかし高校に入ると風向きが変わり、誰も体育の授業など見向きもしなくなった。そのうち大学に入り山登りを始め、ずっとそれを楽しんで続けて来た。
体育の授業は、生徒達を追い込むものではなく、生涯にわたってスポーツを楽しみ、健康な身体を身につけられるようにすることこそが本筋ではないだろうか。私はそんな風に思っている。
そんな訳で「嫌いだったらやらなくてもいいんだよ」とノドまで出かかったのだが、慌てて飲み込んだ。彼女はまだ小学3年生。これからまだまだ10年近くは算数と付き合わないといけない。そんな訳でやはり回答に困ってしまった。
何とか嫌いな算数でも手元に引き寄せて楽しんで貰いたいと思わずにはいられなかった。
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これを始めてから、時々教育に携わっているユーチューバーの方々のビデオを見て勉強させて貰っている。ある先生は、中学時代にイジメにあい不登校になったと言っていた。その後高校で素晴らしい先生に巡り合い、すっかり立ち直り教育に情熱を燃やすようになったという。
その先生の言うには不登校には二つ原因がある。一つはイジメによる人間関係。もう一つは授業について行けなくなって学校へ行けなくなること。その先生はユーチューブで塾へ行けない子を無償で教えてあげたいと思い、情熱を持って取り組んでいる。
そしてイジメにあった生徒達に語り掛け、彼らを励ましアドバイスをしている。そして授業にもとてもこだわる。板書の文字はすこぶる丁寧でキレイ。生徒達が興味を持ち理解を深めるためにはこの板書がとても重要だと気づいたのだと言う。授業もとても気をつけており、情熱を感じるので参考にさせて貰っている。
毎日ベトナムの会社に勤め、仕事を続けながら、こうして週末には、ベトナムの子供達に授業をする。とても充実していて、楽しい。私自身、彼らが喜んでくれることが、とても張り合いになっている。
2021年は、そんなチャンスを与えてくれた皆さんに本当に「ありがとう」と感謝をしたい。
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2022年もしっかり頑張って、さらに充実した生活を送っていきたいと思う。