親魏倭王、本を語る その17
【アントニイ・バークリーについて】
アントニイ・バークリーは日本では長く等閑視されてきたミステリー作家で、古くは多重解決ものの古典『毒入りチョコレート事件』と一風変わった倒叙ミステリー『試行錯誤』のほか、フランシス・アイルズ名義の『殺意』ほか数冊しか邦訳されていなかった。
その潮流が変わったのが1990年代で、国書刊行会の叢書「世界探偵小説全集」にバークリーが複数冊収録されたのを契機にその著作のほとんどが邦訳された。それから約20年が経ち、それらが徐々に創元推理文庫に再録され