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老舗「福屋」の魅力。銚子の炭火焼きせんべいを訪ねて。 ー 千葉のおいしいを大切に ー
きっかけは、年末にあったお得意先さまからのご注文だった。最初にご連絡した際にいただいたお客様の要望が、「お歳暮を差し上げる方達が、ご年配が多く、人気になるのがお煎餅なんです。」というものだった。
「お煎餅か。。。」
現状、取り扱いある商品で実は、お煎餅というのは種類がないことを人sきしていた。おかきならあるんです。おかき系だと商品が嵩張ってしまい、ご希望の価格に見合う形でのご提案が難しかった。その中でお煎餅といえば、このメーカーさんしかいないよなぁ。と手に取ったのが千葉県銚子にある福屋さんのお煎餅だった。
「あまり馴染みがないなぁ。」
そんな印象だったものの、セットアップしてみたところうまく収まるような感じだった。数量的な問題もあったので、福屋さんに連絡をとってみた。老舗的な印象と「手焼き」というどこか勝手に、老舗で柔軟な対応が難しい。そんなイメージを膨らませてしまっていた。
そんな思いもあり、しかも初めましての製造メーカーさんともなれば、冷たい対応をとられてしまうのではないか、そんな事を考えながら連絡を取ったところから始まった、手焼きの老舗煎餅屋「福屋」さんとのストーリー。
■ 銚子の「手焼きせんべい」
今回ご紹介する福屋さんの所在地は、千葉県銚子市。私のイメージで言えば、銚子は「銚子港」が有名で、水産物の町、さらには銚子電鉄から有名になった「ぬれせんべい」とお醤油くらいかなぁ。
と今更ながら調べてみると、他にも色々あったので、下記リンクの観光協会のホームページを参考にしてみてください。
そういえば他のものたちが、銚子のグルメ商品でもある鯖寿司のレポートをまとめていたので、こちらも参考にしていただきたい。
銚子ともなると同じ千葉に住んでいても、実はなかなか行く機会が少ないのである。というのも、それは交通の便があまりよろしくない事もあると思う。どうしても下道で行こうとすると、片道2時間から3時間かかる。高速を使っていくとなると、別の観光スポットが魅力的に見えてしまうからだ。
という事もあり、実はその銚子にある名物というのは行かないと購入もできないし、周りのお店も特段として銚子の名物を大々的に販売しているシーンというのも見かけない。であれば取り扱うことができ、かつそのものの価値を伝えることができれば、手にとってくださる人はいるんではなかろうか。そんな事を思う事もあった。
そして、今回うかがった福屋さんによると、銚子の中でも煎餅を手焼きで仕上げているのは2軒だけで、そのうちの1軒なんです。と事前情報でいただいていた。さらに言えば、伺って話を聞いてみようと思った一番の決め手は、手焼き煎餅のその味だった。
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バリっとした煎餅独特の食感もそうだったが、ほのかに感じる風味とついついその後も食べたくなる味わい。
「あ。これだったら、また買いたくなるなぁ。」
そんな印象だった。日頃、そんなにお煎餅というものを口にすることはなかったのだが、「少なからず味を知っていなければ、お得意先さまに勧められないよなぁ。」そんな思いから食べてみたところ、扱ってみたいなぁ。という気持ちが強くなっていった。
「今さら感ないか。」
という気持ちもなかった言えば嘘になるが、他の売り方を模索する意味でも、一度伺って他の商品やできること、さらにはこちらがお力添えできることはないだろうか。そんな思いもあり、年が明けてからすぐさまアポイントを取り、車を走らせた。
■払拭されたイメージ。
1月になり早速、車を走らせ向かうこと約2時間。走ってみると、やっぱり意外と遠いなぁというのが印象だった。なんだかんだ言っても1時間半くらい見ておけば到着するだろうという、淡い期待は泡となりきっちり2時間はかかってしまったのだった。
冒頭でも説明したが、お煎餅ともなると老舗、ご年配、そんなイメージが頭をよぎっていただが、伺って初めてあった印象が「あれ。私より若い。」だった。確かに電話の感じ、ハキハキとした口調で若い印象はあったのだが、目の当たりにしてみて改めてという感じだった。
お店の雰囲気も奥に煎餅を作る人たちの動きがみえ、店内はちょっと落ち着いた雰囲気。さまざまなお煎餅やらおかきやらが置いてあり、製造直売店ならでは雰囲気に、全てが魅力的に映った。
「初めまして。」
挨拶して間もなく早々に、いつもの感じで話し始める。ちょっと馴れ馴れしい感じにも丁寧に明るく言葉を返してくれる雰囲気は、とても好印象だった。加えてこちらの要望にも柔軟に受け答えをしてくれて、話がトントン拍子に進んでいった。
そんな中、今回どうしても興味を引いたのが、お店の中からチラチラと見える手焼きで焼く風景。手焼きで焼くお煎餅というものがどう言うものなのか。間近で見たい欲が強まっていた。
「すいません。手焼きの風景を写真に収めてもいいですか。」
突発的なお願いにも、どうぞどうぞ。と言わんばかりに柔軟に対応してくれた。
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店内よりもさらに暗く見える。そんな加工場に踏み入れてみると、炭火の暖かさもあり居心地の良さを感じた。その中で、決まったようなリズムで煎餅をうらっ返すパタッ、パタッという音が聞こえた。
「これが、手焼きの風景か。」
こういう昔ながらのシーンを見てしまうと、どうしても勝手に価値を感じ自らが感じたままを、どうにか消費者の方々にもお伝えできないものか。と考え始めてしまう性格で。
「とりあえず、動画を撮影させてもらってもいいですか?」
とお願いをし撮影をさせていただいた。ここでも「昔ながらの魅力が、たまりません。」と表現しています。
こんにちは。今日は、朝から銚子に来ています。名物のぬれせんべいを、手焼きで仕上げている福屋さん。しかも炭火で一枚一枚丁寧に仕上げています。昔ながらの魅力が、たまりません。 #千葉県民 #銚子 pic.twitter.com/gllI7KmWUD
— ありも@🥜千葉県民🥜 (@Rasta_Peanuts) January 22, 2024
やはり想像しているのとは全く違い、対応してくれるお店の方々の雰囲気や、手焼きの魅力にいつの間にか「どう伝えようか」とか「どんな写真であれば、見た人の気を引くことができるのだろう」とか、そんなことばかりを考え始めていた。
百聞は一見にしかず。
まずはなんでも自分の目で確かめる。改めて自ら行動をしていく基本中の基本の大事さを再認識した日でもあった。
■煎餅とおかきの福屋。
そもそも今回うかがったのが、煎餅の取り扱いを増やしたい。そんな思惑があった。煎餅の箱詰めや、違った見せ方ができる商材はないか。そして福屋さんの煎餅の魅力とはなんだろうか。と聞き込み、情報を集めた。
その中で、お米は「千葉県産のふさこがね」のみを使用しており、理由を聞いてみると煎餅にした時の味わいが、一般的なコシヒカリなどとは違い、お煎餅にした時の風味がよく感じたから。とのことだった。
さらにお煎餅にしてしまうので、お米の等級が下がるのかと思いきや、使用しているお米は一等米ということで、素材にとても拘っているのを感じた。
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また「なぜ炭火なのか」で作り続けているのか。というところにも、とても疑問を持っていた。生産性や人口減少という言葉ばかりを、私の身の回りでも目にするようになった今のご時世で、手焼きで焼くというのはとても生産性が悪く、時代から置いてけぼりになってしまうのではないかという勝手な思いもあったからだ。そんな思いをまったく無視するかのように、笑顔で説明してくれた。
「やっぱり、食感とか風味が違うんですよね。」
と、お煎餅の事を語る表情には、どこか嬉しそうな雰囲気すら感じた。なんでも炭火で焼くと遠赤外線の効果で、生地の中までしっかりと火が通り食感もパリッと仕上がる。加えて炭火で仕上げることにより、風味が全く違うものになるのだという。
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これはあくまでも個人的な見解なのですが、上の写真を見てもわかるように、手焼きのため若干の焼き加減にムラができるのも、手焼き煎餅の魅力とも言えると思う。その理由は、一枚一枚の味が少なからず異なってくるため、味わいが変わり飽きにくい特徴を持っているようにも思った。
そしてそして福屋さんの手焼き煎餅の魅力を支える味付けの部分。そうタレの部分だが、こちらは地元の老舗お醤油屋さんの醤油をベースに、企業秘密とも言える味付けを施し、煎餅につけているんだそう。
ここは、本当に教えていただけませんでした。ほんと気になった。
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こうやって一枚一枚丁寧に仕上げられたお煎餅は、生地作りから焼き方から、そして味付けのタレまで。とてもこだわりを持ち作られていることを知った。
ここまで知ると、頭の中は次のステップに移っていた。どう伝えていくか。もう、売る気満々なのであった。やはり作り手のこだわり話を聞くと、こちら側も元気をもらえる。こういったこだわりのものを県内の方々はもちろんの事、県外の方々に知っていただくために、出来ることをしなければ。という使命感にかられていた。
そして、帰り際にいただいたサンプルの「暴れん棒」というおかきを、口にしたときに今まで口にしたことのないような味わいが広がり、「なんで今まで行かなかったんだろう。」という想いだけが増していくとともに、これからの取り組みが楽しみになった。
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今回、気さくにご対応していただいた福屋の石上ご夫妻。今度は、一つ一つのアイテムの食レポでもしながら、お煎餅の魅力を伝えていきたいと思います。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。