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予測できる未来から、想像する未来を。竹林整備からの取組み【売場編】
竹林整備のおさらい。
先日、会社の取組みでご紹介しました竹林伐採事業。正直に言って、次の日は筋肉痛が出てくる箇所もあり、中々にハードでした。体がしんどいから、もうやめると言うのは簡単で、竹林整備をする人がいなくなってしまえば、竹林は荒れ果て、竹害ほか畑や田んぼなどで動物などからの被害が拡大していってしまう。前回の竹林伐採編はこちらから。
諦めたら、どうなるか。
既存の竹林が荒れ果て、竹害が増えていくという簡単に予測できる未来が待っているのです。とはいえ、継続していくのもまた課題が山積みなのは確かです。少子高齢化もすすみ、房の駅農場に伐採したタケノコを持ち込んでいただいた農家さんもどちらかと言えば、ご年配な印象でした。
私たち平均年齢アラフォー世代でも大変な作業を、やれる人はどのくらいいるのだろうか。そんな疑念は拭えなかった。こんな竹林伐採の課題は課題で、頭に入れながら来年へ向けての行動をしていかなければいけないと感じた。
『それに、加えてだ。』
もう一つどころか、二つも三つもの大きな課題がある。それは、タケノコを使った商品化です。商品にしてお客様に喜んでいただけるようなものでなければ、ビジネスとして成り立たないし農家さんも継続することが難しくなっていきます。竹林伐採の一環でできた商品もあるので、ここでご紹介させていただきます。【竹切物語】という商品名の、千葉県産メンマです。国産でもめずらしいメンマ。それを千葉県産で出来ているから、またすごいと感じています。
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おかげさまで人気もあり、直営店の房の駅では手にしていただくお客様も多い商品になりました。こうした商品開発を行い、お客様にご紹介していく必要もあります。今回はその流れの中でも大事な、売場での取り組みをご紹介していきます。
テレビ見て閃いた。
今回、千葉県産のメンマに続き登場してきたのが、お子様にも人気のあのお料理。なんとカレーです。でもでもカレーと言っても、その色がなんと真っ黒なんです。
どんなカレーかと言いますと、それは【竹炭】を使った竹炭カレーです。
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本当に真っ黒です。竹炭以上に黒いんではないかと思ってしまうくらい、黒いこちらの竹炭カレーは、レトルトになっていて温めるだけでカレーの香りがほわっと漂ってきます。とは言え、この真っ黒なカレーがお子様が好きかどうかは別の話になります。あらかじめご了承ください。
こちらの竹炭カレーには、千葉県産のメンマが具材として使われており、私たちの竹林伐採事業から生まれた商品ともなっています。
今回の竹炭カレーを発売するにあたり、弊社直営店の栗山房の駅では『どうお客様に伝えていくか?』を、先立って開発された『千葉県産メンマ 竹切物語』共々、改めて売場を考え直したそうです。
売場づくりの担当者は、悩んだそうです。
レトルトカレーと言っても、どのように商品を並べるか。お客様の目に、より止まるようにするには。そう考えて何日か過ぎたある日。ふと、テレビを見ていてひらめいた並べ方。
『本のように見せる売場は、どうだろう。』
それは、栗山房の駅にとっては初めての並べ方でもあり、見せ方でもあったそう。そうと決まれば早いもので、担当者はすらすらと売場のラフを書き上げ、できて来たラフがこちらです!
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こうして出来上がったラフをもとに、店舗スタッフみんなで竹林整備事業の売場作成へと移っていきました。
みんなで表現していく。
栗山店の取組みの中で意識していることは、みんなで売場づくりをしていくと言うこと。できる人がやれば良い。できる人が作った方が良いものができる。と言う考え方よりも、『みんなで作る』と言う働く人が愛着を持って働く環境づくりの一環だそうです。
どこまで浸透していくかは手さぐりな部分もあるようですが、何かに携わっていると言うことを大事にしていきたい。そんな思いもあるようです。とは言え、作る前の設計はできる人というか、頭の中に描ける人がいないとなかなか前に進みません。
そこで登場するのが、栗山房の駅の売場のプロデューサーです。
※勝手にそう呼んでます。
今回、そのプロデューサーの頭の中をまず悩ませたのが『竹』。竹をどう表現していくか。素材は何を使うか。頼りの買い出し部隊が、竹になりそうなものを、残念なことに見つけてこれなかったそうです。
『なにか、ないかなぁ。』
結局のところ、プロデューサーが悩みながら近場のお店を歩いていると、ひらひらと発明の天使が舞い降りてきたそうです。
『あっ!これにしよう。』
そう手にしたのが、厚紙でできた筒だったそうです。素材が決まると後の行動も、発想もよくなってくるようで、筒を竹のカタチに切るだけでは物足らず、竹の節の部分をどう表現するか。そこは『輪ゴムにしよう』とスムーズに出てきたそうです。
そして次の日には、さっそく竹づくりが始まりました。
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紙製の筒にまず輪ゴムを適当な位置に設置し、そして色をつけていく。塗料も、もちろん試行錯誤しながら選ばれた色です。
色をつけたあと乾くまで待ち、その後カッティングを行なっていきます。意外と簡単そうで難しいカッティング。少し位置がずれると、ささくれのようになった紙が残ってしまったりもします。そのカタチをしっかりと竹に表現できるかどうか。技術と経験も必要です。
さらにカットするだけではなく、ちょっと竹の飾りつけを。だけどその竹の飾りが路面店では見つからず、ここで自慢の調達店長が登場し、ネットで検索し竹の装飾品を買い揃えたそうです。『お役に立てました。』と、なぜかいつも自慢気。
そして竹のカタチに仕立てた筒を、安定するように何本かの組み合わせに。その時に使ったのがグルーガン。ここ数年のDIYブームで一躍脚光を浴びたアイテムで、簡単に素材と素材をくっつけてくれるそうです。
技術が必要そうなところは慣れたプロデューサーが先頭に立ち、経験がない人にもできることを、他のスタッフが作り上げていく。
この全体的なバランスの良さが、栗山店の売場の良さを物語っているんだなぁ。と感じました。
譲れないこだわり。
皆で作っていく中にも、プロデューサーのこだわりと言うか、譲れない部分があるのだろう。そう感じさせてくれる箇所が幾重にも垣間見えるのが、また憎たらしくもあります。
その代表的な箇所が、こちら。
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ぱっと見だと気づきづらい。もしかしたら、『ふーん。立体なんだね。』その程度で終わってしまうかもしれない。加えて、月のうさぎとか竹とか。
つくる人がいなければ、きっと紙に印刷した文字を切り抜いて貼り付けて終わり。むしろ手間すぎて、そうする人の方が大半かもしれない。そこをそれで終わらせないところが、栗山店のプロデューサーのこだわりでもあり、他の人にはない表現力なんだと感じます。
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印刷したものをパネルに貼り付け、その後切り抜いていく。文字にすれば簡単なんですが、この切り抜く作業にはとても神経を使います。子どもの頃、町内会のお祭りなどのカタ抜きで、カタを抜けなかった人には到底できません。水で濡らして割れにくくすると言う悪い発想も、ここではムダな知識でしかない。
地道に文字を切り抜いていく。
少しの技術に強い忍耐力。そうして象られた文字と月の絵柄。プロデューサーの描いていく売場は竹林の伐採作業同様、表にたつ商品などの縁の下のチカラもち的な存在に見えました。
売場のお披露目。
環境的に取り組んでいる竹林整備から誕生した、千葉県産タケノコのメンマ【竹切物語】と、そのメンマを具材に使用した竹炭カレーをどう表現し伝えていくか。
スタートの時に、何を使って表現するか悩んだ竹は、このように設置されています。
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テレビを見ていて、こう並べて見たいと思った商品陳列。カレーの箱を本のように見立ててキレイに見えるように。
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そして今回のプロデューサーのこだわりのボードは、売場最下部で全てを支える垂れ幕のようなカタチで設置。
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こうして完成した栗山店の竹切物語の売場がこちらになります。
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竹林伐採事業から誕生した商品を、店舗でも試行錯誤しながら売場で表現していく。一つ一つの作り手の思いが、少しでも伝わるように販売員スタッフ含め、みんなで考えていく。
それを繰り返すことによって、今まで伝わらなかった人たちにも伝わりはじめていく。小さい波紋も、取り組み次第では大きな波紋に変わっていく。その波紋をどこまで広げていけるか。
これで完成ではなく、ここからまた新たな出発です。わたしたちの竹林伐採からの整備事業は、スタートしたばかり。そのまま放置すれば予測できる荒れ果てた竹林。その予測できる未来をそのままにするのではなく、新たな商品開発や売場づくり、そしてお客様に伝え続ける未来を想像しながら、これからも竹林整備を続けていきます。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。