長期記憶を上手く利用しよう
認知機能が低下した高齢者でも長期記憶として、昔の記憶は鮮明にあるということはよくあります。
つまり、コミュニケーションの手段として昔話を引き出す事は効果的と言えます。今回は、高齢者とのコミュニケーションについてお伝えします。
1.ジェノグラムを使ってコミュニケーション
インテークと言って、主にケアマネが利用者さんと最初に挨拶、面談をする際などにアセスメントも兼ねてご家族から、家族構成を聞き出して、ジェノグラムを作成しております。
従ってこちらのジェノグラムを使いながら、利用者さんの長期記憶を引き出す事も可能です。
又、以下の理由から私はジェノグラムを使用したコミュニケーションをお勧めします。
1-1.利用者さんの過去の環境をより知る事が出来る。
利用者台帳(ケアファイル)などを読んでいれば、ケアマネや相談員が入手したある程度の情報は頭に入れる事ができます。
しかし、ジェノグラムに沿って本人から聞く話には信憑性は定かではありませんが、より詳細な情報は入りやすいですし、何よりそこに本人の感情が入ります。
例えば、『お父さんはどんな人でした?』に対して、『早いうち死んじゃったからねー、でも田舎の土地も兄弟が揉めないように遺書はしっかり書いていったのよ』『へーじゃー、〇〇さんは地主なんですか』と、いい悪いは別として、かなり生生しい話まで聞くことも可能です。
1-2.高齢者の昔話は融通が利く
言い方は悪いですが、高齢者は短期記憶は衰退傾向にあります。その為、何度も昔話をする事があまり苦になる事は少ないようです。
従って、色々な介護士がジェノグラムに沿って同じような話を何度もさせてしまう事も可能です。本人が積極的に話をしてくれれば問題ないでしょう。
逆に聞いている側がさっきも聞いたよ、昨日も聞いたよという事があるかもしれません。
よく、いっつも同じ昔話をしている高齢者がいますね。勿論思い出したくない過去や、話したくない事もある等人それぞれなので、そこは配慮が必要です。
2.コミュニケーションが目的
上でジェノグラムを使って昔話をしてもらう事をお勧めしてきましたが、あくまで、利用者さんとのコミュニケーション手段の一つです。
目先の生け花や施設の食事の話の方が、話やすければそれで構いませんし、日によったり、その時の気分もあるでしょう。
基本的に大事なのは、利用者さんとよりコミュニケーションを多くとる事ですが、それすら例外もあると思います。
元々口数の少ない人に無理にコミュニケーションを取る必要ないですし、疾病や疾患によっては会話自体苦痛となる事もあるでしょう。