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note深津さんに聞くMinimalのUX➁

第1話では、チョコを買うというUXを俯瞰して、重要なポイントを深堀りました。第2話ではWebでどのように販売をしていくかというより具体的な内容に話が広がっていきます。

(以下敬称略)

山下:深津さんならどのようにWebでの販売を考えますか?

深津:商品ラインの変更は比較的容易にできますか?限定性などの特別感を持たせたりすることは有効だと思います。

山下:ラインを変更することは可能です。僕たちクラフトのスモールバッチは小ロットで造るのが得意で、機動力は高いと思います。これまでも限定板チョコはやったりしていますが、ただそこにあまり意図性を持たせたり、定常的にはできていないかもです。

深津:特別を売るというコミュニケーションを強化するのはいい事であると思います。あと、個人的に試したいのはサブスクリプションモデルでの販売ですね。私は頒布会大好きなので、試してみたいと思っています。

山下:まさに今それを用意しています。特別感や限定性もある企画に仕上がっていると思います。聞いてみたいのは、個人的にスペシャルティコーヒーが大好きで、昔個人でコーヒーをサブスクで買っていたのですが、1か月で消費できずに溜まってしまって、解約したという経験があります。それと同じになると嫌なのですが、どう思いますか?

深津:チョコとコーヒーは違うと思います。コーヒーは結局豆なので、お客さん来た時に使い勝手悪し、一袋使うの少しハードルが高いと思うが、チョコレートであれば極論三日あれば消費できると思います。

山下:確かにそうおっしゃっていただくと、消費する際に、淹れるという手間がない分、消費することに対する難易度が違いますね。

深津:加えて、そこにギフティングなどの要素も入れておくとよいです。私もMinimalを買った時のメインの要素は自分で食べるよりは、オフィスの人に配るでという意図でした。またサブスクのみの限定などを入れるとレア感が訴求できていいし、究極はサブスクの入会数も限定してしまって、最初に入った人のみの内容があってもよい。

山下:確かに、プロダクトは嗜好品として作ってきたが、その嗜好品を楽しむコミュニティをどう作るかという事は弱いと思っていました。この1年は、その考えを持ちながらも、市場や客層を広げることに注力してきたかもしれないです。

深津:もちろん広げることは大事だと思います。

山下:バランスとしては広げる側に力を使っている。その弊害として少しずつ、ターゲットとUXの網の目が粗くなってきていると改めて思いました。

深津:つまり最初にMinimalができた時に起きた現象をWebでも同じ順番で再生するのがやりやすいと思います。

山下:店舗だと物理的な制約があるので、そこまで意図しなくても、限定的なコミュニティになっていましたね。

深津:あとは、Minimalチョコができるまでの製造過程をもっと見たいと思いました。

山下:なぜそう思いましたか?

深津:単純にこれが特別なチョコレートだと信じるためには、こんな丁寧な作り方で作っていますというのが一番見たいと思います。そのためには動画は有効だと思います。ここまで手間をかけて作り込んでいるところを見せてしまってもいいのではないかと思います。

山下:その方が特別のものだと納得感があるという事ですね。

深津:そうです。動画見るだけでこれは特別だし高くても仕方ないと納得できるこだわりの工程を見せる。この動画見ると高くても仕方ないと思え、この人たち頭おかしいくらいこだわっているなと伝わる。Minimalのチョコレートってそのテンションで見せれる世界観を作れると思います。それを伝えられれば高くても買いたくなる。Minimalのチョコがすごい特別である証明とか、Minimalのチョコをお店で食べることが特別な証明があればみんなお店で食べてみたいと思うと思います。今はまだ、その部分は改善の余地があると思うし、今のままだともったいないと思います。

山下:なぜ美味しいのか、なぜ食べてみたいのかという理由を動画などでおいてあげて、いつか行ってみたいと思ってもらうという事ですね。その意図でも導線設計はとても重要ですね。

深津:製造シーンや買付のシーンなどすべて行けるはずですよね。動画を使えばMinimalのチョコはこういうテンションなのかという事を効果的に伝えらえると思います。

山下:伝えるのに効果的で強いのは動画という事ですよね。

深津:そう、強いのは動画。

山下:簡単なスイーツの動画はあるのですが、本格的なものはブランドのコンセプトムービーだけですね。動画を使うという事をもっと活用していこうと思います。今は文字情報や言葉が多いブランドだと自己認知してます(笑)やっぱり文字が少し多すぎるかな。

深津:テキストという意味でも文字が多い。インターネットのスマホは、短期なので、文字無しで想いを伝えられるとより効果的だと思います。今のJournal(ミニマルのオウンドメディア)は印刷物の文字量なので、文字数3分の1にして、画像2倍にするぐらいでいいと思います。
ちなみにMinimalの場合は、メディアから店に行かせるのと、一度店に行った人をリピートさせるのどっちが優先ですか?つまり集客とリテンションのどちらかという事です。

山下:今までは前者、少しずつ後者が重きを置いてきて5分5分といった感じです

深津:どっちをとるのかでやるべき事や、作るツールやアプリ、キャンペーンが違ってきますね。

山下:両方とるはやっぱり欲張り過ぎですか?(笑)

深津:やれなくてはないが、リソースが限られるので、前者であればあるほど、「美味しそうとか、食べてみたい」というコンテンツを、後者なら、美味しいは知っているので「思い出すとか」「シーンで想起せる」「プレゼントに使える」というコンテンツが重要になってくる。

山下:どちらかを強化するとして、俯瞰して考えてみると、リピートを強化しないと水漏れが多いなと思います。

深津:Minimalはリピート強そうですが、リピートがまだまだな感じですか?

山下:リピートは多いのですが、1000円の板チョコの購買頻度をどのように上げていけるかを強化しないといけませんね。消費のシーンを増やそうとしているが、まだまだ手ごたえがない。

深津:一番難しいのは、家を出て移動させる事だと思います。ユーザーからするとどんなに美味しいチョコレートでも好きなおやつのラインその1くらいが限界。その人たちに家をでてわざわざ数キロ移動させるのは難しいと思う。Minimalを食べさせるではなく、Minimalが提案するライフスタイルやカルチャーに参加していることを確認するために買うという行動をするという構造を設けるのが中長期には必要だと思います。このカルチャーとこのライフスタイルの人はMinimalのチョコ食べるものだよねというか、普通のチョコ買うよりは、Minimalを買うのがそのコミュニティのアイコンになることが大事です。

山下:まさに僕たちが目指している方向性ですね。LTVをあげていくためにもライフスタイルを彩るアイテムの一つになっていく事が努力しています。

深津:Minimalの価値を伸ばしながらという王道で行くなら、Minimalファンを創り、Minimalアンバサダーにしていくか、一回店舗に来た人が頒布会に乗っかる仕組みをつくるのが効果的。しっかりと、ファンがリピートする形をこちらから仕掛けていけるかが肝ですね。
あとは、ECで買ったチョコと本店で買ったチョコの違いをどう出すか。ECと本店が一緒だと本店に行く意味がなくなると思います。

山下:そのために本店では月替わりの限定スイーツをやっています。特に昨年の夏にだしたパフェは集客効果がとても高かったです。去年から始めた月替わりスイーツはわざわざ本店に行く動機付けになっていると思います。本店ならではの価値はもっと研ぎ澄ましていかないとですね。

山下:そろそろお時間ですね。とてもいい示唆をたくさん頂けました。Minimalを事例に色々話が聞けて整理されました。今日の観点をまとめると、
1.来たくなるため事前の情報を用意して期待感を高める。
2.来た瞬間を高め、購買をする感動体験を研ぎ澄ます。
3.来た人をリピーターに変える試作や仕組みを置く。
という事の重要性と具体的な改善ポイントが見えました。
貴重なお時間ありがとうございました。

深津:個人的にもMinimal好きなので、本当に応援しています。頑張ってください。


以上が対談でした。1時間強の時間があっという間に過ぎ、とても勉強になりました。深津さんは全体を俯瞰した上で、客観的にポイントを押さえてとてもわかりやすく意見をもらえました。勘所を押さえるスピードと、ロジカルな分析は本当にすごかったです。ユーザーでもある深津さんからの見た際のMinimalの強み弱みも聞けて本当に勉強になりました。そして何より応援頂いていることがとても嬉しかったです!期待を裏切らないようにモノづくりやUX創りを更に注力していこうとモチベーションがあがりました。

本日の学びや気づきを活かしてMinimalを通してお客様が「新しいチョコレート体験」を楽しんでもらえるように頑張ろうと思います。

改めて深津さん本当にありがとうございました。
深津さんにわざわざ来てもらえる店舗にUXづくり頑張ります!ぜひまた買ってくださいね(笑)

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