【書評】『職場の人間関係 防災ガイド』(藤本 梨恵子著/サンクチュアリ出版)
会社やアルバイト先などで「あぁ〜この方、困った!」と思ってしまうような方はいないでしょうか。もしかしたら自分自身も、誰かにとっての「困った人」になっているかもしれないとは思いつつも「ちょっと苦手」という人ができてしまうのが、人間。
本の概要
『職場の人間関係 防災ガイド』では30の人間関係の問題や理不尽を取り上げ、それを「災害」に例えながら、心理学にもとづき「問題が起こらないようにする方法」が解説されています。
ひとつの悩みについて見開き3ページほどで解説されているため、スルスルと読みやすい。
それぞれについて、かわうそくんが、ヘルメットかわうそくん(名前は今勝手に考えた)にグチをこぼしたあと、「分析」→「防災方法」→「復興プラン」が書かれています。
そして最後に、防災標語。5、7、5で、心を守るための言葉が書かれています。
本書の著者は、NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフルネス瞑想の手法を統合して、キャリアカウンセラー・講師を行う藤本梨恵子さん。
著書に『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』『なぜかうまくいく人の気遣い 100の習慣』『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)、『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)があります。
この本をおすすめしたい人は、接すると自分の心がざわざわしてしまうような上司や同僚、後輩が職場にいる人。かつ、そのことを気にして仕事に集中できなかったり、プライベートでも悩みを抱え込んだりしてしまう人。
逆に対象でなくなりそうなのは、特に問題なくどのような人とでも仲良くなるようなタイプや、ちょっと苦手な仕事仲間がいたとしても悩むほどにはならないような人(書いていて思ったのですが、そんな方いるのでしょうか……?)。
読んだ感想
まず、この本が届くまでは「対面で接するときに困ってしまうような人」が書かれているのだと思っていました。対象は会社員や派遣社員、パート、アルバイトなどで出社する人向けなのかなぁ、と。そのため、私自身は過去の分析のような形で読めたらなぁ、と思っていました。
ところが、それは違いました。業務委託契約で在宅ワーカーの私にとっても、学ぶところが多々。詳しく語ることは避けますが、業務委託の働き方でも、ごにょごにょモゴモゴが、ほにゃららです。
逆に私も、ときに誰かから、ごにょごにょモゴモゴな、ほにゃららだと思われているのでは。そう、完璧な人間はいないのです。
そして完璧ではない部分がどの程度で、またそれを相手がどの程度許容してくれるかというところもあるのかなぁ、と。
そんな感じで私にとってもチャットやメールで連絡をとる際に、参考になるような記載がありました。
たとえばライターに関するところでいうと「言った言わないの液状化」……!
ライターのお仕事で、言った言わないで言い争った(打ち争った?)経験はないのですが「あれ、これ先に聞いていたらうれしかったなぁ〜」みたいな場面ってないでしょうか。
正直、私自身、そうした経験があります。でも相手には悪気はもしかしたらないだろうから、そうだとしても、最初にどのようなコミュニケーションをとって何を聞いていたらお互いにとってよいのかなぁ、なんて考えていました。
そこで学びになったのは、「具体」と「抽象」に関する記載です。
以下引用します。
定量的な理解を心がけているので、自分としてはおおむねできているかなぁと思ったのですが、あらためて文字にされたものを見ると意識できるなって思いました。
「今の話は具体だ」「今までの会話は抽象の説明が多いから、今度は具体で質問しよう」みたいに考えられると思うのですよね。
あと、本書を読むうちにまた別の使い方ができると気付きました。
それは「自分、このことが程度によっては当てはまってしまうかもしれないな」と思うことを自己分析できるところ。
自分でいうと「繊細さんの霜害」の部分ですね。分析のところで「どうしてそういう様子なのか」みたいな記載があり、学びになりました。
引用するとこんな感じ。
……! なるほど! って感じでした。たしかに「ひど!」って思うようなことを言われると「ガーン……(古い?)」みたいに固まってしまうシーン、ありました!
過去を思い出しても何か言い返したらいいのに! って思うのですが、きっとあれは、自分を守るための行動だったのでしょう。
そう思えば今後、固まったとしても「あぁ〜、あの時、なんで言い返せなかったんだろう」って思わずにすむかな。
そしてそして、本についてひとつお願いするとしたら、帯や中身に使われている黄色がもう少しくすんだ色だったらうれしいな〜という感じです。
おそらく会社員時代の私だったら、これを読むのは寝る前になると思うのですが、目が冴えてしまいそうなのと、疲れたときにはなおさら見やすい色のほうが読み進めて対処法を学べるため。
とはいえ、鮮やかな色だと「危険!」みたいなメッセージが伝わりやすいので、好みの問題かもですね。
ちょっとお願い的なところも記載しましたが、こちらの本は数ページでちょこちょこ読みやすいのと、何か具体的に困ったときがあれば辞書的な感じで開けるので、使いやすいと感じます。
「具体」と「抽象」とか、「〇〇法」とか、キーワードが使われているので、より長い文章を読みたいときには該当の本を探しやすい。
悩みについて学ぶためのコンパスのような役割もある本です。
チームを束ねるリーダーの方、接客業であまたの方と関わる方、取引先の人に困っている方などなど……ぜひ手にとってみてください〜!