【寝かしつけ】本当はママはとっくに別のママと入れ替わっている(2025.01.06)
就寝前、誰も入っていないのにトイレのドアが閉まっている事があった。私がトイレに入ろうとしたら閉まっており、しかし家族全員ちゃんと外にいた。すぐそばにいた長女(5歳)と次男(3歳)にその事を伝えると、とても不思議がっている。
私はトイレのドアを10円玉を使って開けようとした。10円玉をマイナスドライバーの要領で溝にはめて左に回せば鍵は開くからだ。長女(5歳)と次男(3歳)が私の後ろでその様子を見守っている。
私が「誰かいるかもしれない。下がって!」と言って二人の表情を見ると、思い切り眉毛を八の字にして怖がっている。でも一体それがどういう事なのか確かめたいのだろう、そこを離れようとしない。
私は「行くよ!」と言ってドアを開ける。一瞬「本当に知らない誰かがいるかもしれない」と思うが、ドアを開くとそこには無人の空間があった。センサーが反応してトイレの照明が点いていた。
安心して皆で布団に入る。長女は布団に入らずにソファに座っている妻に事実を確認したみたいで、妻がトイレを済ませた際に鍵が半端に斜めになっていたからドアを閉めた際に鍵がかかったのではないかとの事だった。
布団に入って、その事をしきりに私に話す長女。「ママがそう言ってたよ」と、諭すように私に何度も言い聞かせる。
私は言う。「本当のママはトイレから消えたんだよ。そこのソファに座っているママは別のママだ」と。
続けて、「ママは本当はもう何度も別のママに入れ替わっている。本当のママはとっくにいない。でもパパも本当は何度も別のパパに入れ替わっていて、みんながパパだと思っていたパパはとっくに別のところに消えている」
急に滔々と話し始めた私にびっくりしたのか、皆黙りこくる。布団に入らず遊んでいた次男の目が凍り付く。
「ママやパパだけじゃないよ。みんなとっくに別の長男や長女や次男に入れ替わっているんだよ。みんなが自分だと思っているのは一体なんなんだろう。どこからどこまでが自分なんだろう」
そこで話を一旦区切ると部屋が水を打ったように沈黙している。だから私は「おやすみなさい」と言って話をそこで打ち切った。
長男は布団をひっかぶって時々小さく唸りながらやがて眠った。長女はいつもみたいに「気をつけ」の姿勢で静かに目を閉じている。次男は最初大きな双眸で虚空を睨んでいたが、そのうち瞼を閉じてしまった。私はもう一度「おやすみなさい」と言って、そこで寝かしつけは完了した。
我ながら見事な仕事だった。しかし逆に私が眠れなくなった。正月休みで毎日お酒を飲んでたので、飲まないと眠れない体質になったのかもしれない。でも眠らなければ。
おやすみなさい。