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はさみ将棋(2024.07.24)

我が家では子供3人全員がはみがきを完了するとポケモンのアニメを見る事が出来るルールになっているが、そのポケモンも見終えて今夜はまだ時間が早かった。色んな事がスムーズにいったおかげ。つまり私のおかげだ。

ちなみにその時点で私は食器を洗ったり残ったご飯をお櫃に入れたり一部ラップで包んで冷凍する作業などをしており、まだ働いている。働きながらいいちこを飲んだりしている。いいちこは最近アルコール度数25度から20度のものに変えた。なんとなくそっちの方が味が良いような気がしたから。別に健康に気を使ったからではない。

まだ寝るには早いなぁと思っている長男(8歳)。時間を持て余している。まるで優雅な神みたいだ。羨ましい。その長男と絶賛休職中でリハビリ中の妻(今日は「私はダメだ」なんて本気だかどうだか分からない弱音を吐いていた)が風呂から上がってきて、「はさみ将棋」を始めた。

「はさみ将棋」とは、将棋の「歩」のみを使ったゲームで、盤上で二つの歩で相手の歩を挟み、これを打倒。相手の歩を全てやっつけた方が勝ちという簡単なものだ。

将棋のルールが全然分からないと言う妻は、はさみ将棋だけは滅法自信があるらしく、長男と対戦しようとなったみたいだった。

めちゃくちゃ楽しそうな妻。洗面所から「ピーピー」という音が聞こえてくる。今日最後の洗濯が終わった事を洗濯機が知らせているのだ。洗濯物をとっとと干して、寝る準備をして欲しいと思うが、何せリハビリ中なのでそんな事は言わない。言えない。長男相手に盛り上がっているところに水を差すわけにはいかない。

とっくに眠ってしまった長女(4歳)とはさみ将棋に夢中な妻や長男をよそに、一人で暇を持て余している次男(3歳)。台所で仕事をしている私のところに時々やってきてセロハンテープを切れだの折り紙を丸めろだの言ってくる。「めんどくさいなぁ」と思いつつそれらに対応していると妻と長男が「やったー!」だの「くそー!やられたー!」だのやかましい。

でも「妻と長男があんなに楽しそうにしているんだ。喜ばねば」と思い、私は時々はさみ将棋の様子を興味深く見に行くふりなどして、二人を温かく見守っている。そして時々いいちこをタンブラーに注いではそれを呷る。

かくして我が家の夜は更けていく。結局はさみ将棋は妻の圧勝に終わった。長男は悔しそうではありながら、妻とたくさん遊べて満足気だった。

「平和だなぁ」と思って、私は粗熱が取れた学童用の弁当を冷蔵庫にしまい、流しのごみを片付けた。

「もう寝よう」と私は言い、長男は「おやすみ!」と言って布団を敷いた和室へ駆けていった。妻はようやく重い腰を上げて、洗面所へ洗濯物を回収しに行った。

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