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【寝かしつけ】無限大根と小さなカエル(2025.01.17)
金曜日なのにアルコールを飲まない。なぜか?昨日飲んだからだ。
飲まずに寝る金曜日の夜。子供ら、特に次男(3歳)は今日も布団の上で遊んでなかなか眠ろうとしないので、寝かしつけるために怖い話をした。「怖い話するよ!」と言うと、「いいよー!」と言って余裕綽々だが、その余裕がいつまで持つかな?
「無限大根と小さなカエル」
大根が植わっている。
見渡す限りの地平、黒い土に白い大根が整然と植わっている。1ミリの狂いもなく並んで植わっている。地平線の彼方まで全て大根で埋め尽くされている。
すごく寒い。雨だか氷だかの冷たい粒が、均一に灰色の空から降っている。空を覆いつくす雲は完全に隙間がなく、コンクリートで塗り固めたみたいに同じ灰色。凍えるように寒い。
ふと見ると、大根の根本に一匹小さな緑色のカエルがいて、空を見上げるようにして佇んでいる。目をぱちくりしている。小さな体が震えている。大根の葉っぱで、空から降って来る冷たい粒をよけているよう。
カエルはじっと動かない。やがて空から降る冷たい粒が雪に変わった。均一な景色で、それが唯一の変化だ。雪は途端に暴力的な量で降る。底が抜けたみたいに、突然雪。視界が真っ白に切り替わる。
地平を覆いつくす大根の隙間から覗いていた黒い土が次第に雪に覆われていく。気が付くとカエルはいない。どこかに去ったのか、土に潜ったのか。それとも雪に覆い隠されてしまったのか。
全ての景色が均一に白になっていく。大量の雪が空からまっすぐに音もなく落ちて来る。視界が白一色になる。
何も見えません。
「何も見えません」のところを、何かを訴えるみたいに強めに言った。私は目を瞑って大根とカエルの話をしていたが、目を開けると長女はすでに眠っていて、長男は布団にくるまり、次男はダンゴムシ状に丸まっていた。
次男は「怖いからママのところに行って『怖かった』って言って良い?」と言うので、「行かなくても良いよ」と言って肩のあたりをポンポンとしてあげてたら、そのうち眠ってしまった。長男はずっと無言だった。
今日も私は良い仕事をした。