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不機嫌とカレー(2025.01.09)
誰が不機嫌だったかとういうと、他でもない私で、帰宅する途中妻から頼まれた買い物をするためドラッグストアに立ち寄った。
その買い物の量がけっこうあって、それらを買うためにドラッグストアの中を右往左往している途中から何か沸々と不満が噴出してきた。真っ赤に燃えながら漆黒の山肌を浸食する溶岩みたいに。
自分でも理不尽な不機嫌だなと思っていた。でもどうしようもなかった。家に帰るなり「ただいま」も言わずに買って来た冷凍餃子3袋やワイドハイターや卵やヤマザキチョコパンをどかどか冷蔵庫や棚にしまっていく。
ご多聞に漏れず妻もこの時間帯は不機嫌だ。不機嫌と不機嫌が無言で家の中をどすどす歩く異様な光景が繰り広げられる。家の中に不穏な空気が渦巻いている。
長男(9歳)はそのような空気を察したのか知らないが、まだ沸いてもいない風呂にさっさと行った。長女(5歳)と次男(3歳)は幼稚園から帰ったままの恰好で各々好き勝手に遊んでいる。
私は買って来たものを全て所定の位置にしまってしまうと、下の子二人を連れて風呂に行った。入れ替わりに長男が風呂から上がって来た。そして「風呂、全然お湯溜まってないよ」と妻に言って、「そりゃ、お湯溜めながらあなたがシャワー使うからやろ。あと風呂に行くなら自分のタオルくらい持って行ってよ」と怒られている。ダメだダメだ。今ママにそのトーンで話しかけるのは愚策だよ。
相変わらず私も一言も喋らないまま、風呂に行く。そして二人を風呂に入れる。不機嫌なので、いつもより手抜き。長女の髪にコンディショナーをしない。髪が絡まろうがしったこっちゃない。
しかし風呂から上がると昨日に引き続き夕食はカレーで、カレーを食べているうちにみるみる私の不機嫌は収まって行った。妻もぽつぽつと口を聞くようになっていった。そしてみんなカレーをおかわりした。炒めた大量のタマネギが溶け込んだカレーはすごく美味しかったのだ。
食卓にふわっとした温かい雰囲気が舞い降りてきた。子供たちはカレーとサラダをみんな食べてしまった。「明日は残ったカレーでカレーうどんにしようと思っていたのに、カレーがほとんど残っていない」と妻が嘆いていた。みんなそれくらいカレーをよく食べたのだ。
カレーは偉大だ。カレーは人の心を優しく温める。家族や世界を平和にするものだ。これはラーメンにはできない。唐揚げにも不可能だ。カレーのみが有している効能だと思う。
今後家の中に不和が生じた時はみんなでカレーを食べようと思う。