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未来から来た私(2024.12.16)

夕食後、妻が風呂に行っている間、洗い物が早く済んだので、子供らの遊びに参加した。

長男(9歳)が体をなよなよさせて、それが絶妙に腹立つ感じだった。だから私は、未来から長男の存在を抹消するためやってきた男となって、長男に襲いかかった。

「私は2388年から来た。おまえの存在を全ての時空から抹消する。過去、現在、そして未来。おまえの存在は完全に消えるのだ。この特別な刀によってな」

そう言って私はいつかのくじ引きで3等の賞品だったプラスチックの伸縮する刀を持って長男を追いかけまわす。必死で逃げる長男。なかなか追い詰める事ができない。なので長女(CHOJO3022。私と同じ2388年から来たアンドロイド)に手伝ってもらう事にした。

長女(CHOJO3022)は私をアシストして逃げる長男に追い縋り、しがみつき、必死に往く手を阻もうとしたが、長男は言っても9歳。5歳の力では食い止める事ができない。なので、私はさらなる応援を頼んだ。次男(JINAN9999。高性能小型アンドロイド)だ。

それでも長男は私から必死で逃げる。なかなか時空刀で捉える事ができない。足元に落ちていた折り紙で作った手裏剣を拾って「この時空手裏剣でおまえを今度こそ全ての時空から消し去る」と言って何度も長男に投げつけるが、下手くそにできた手裏剣のためちゃんと飛ばずに長男に当たらない。

そのうち次男が椅子の角で小指をぶつけて泣いてしまい、全ての時空が一瞬にしてはじけ飛んだ。私は普通におっさんだし、子供たちは小学生で、幼稚園児だった。

そうして最後に妻が風呂から上がってきていつものように換気を始めた。今ここは2024年の冬。外から入って来る空気はめちゃくちゃ寒かった。


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