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デジタル時代の共業プロセス|複雑な目標設定をしていませんか?【THE MODEL】
こんにちは。SaaS商材を提供する会社でカスタマーサクセスをやっているgata(@shoyaatg11)です。
最近読んだ中で、営業プロセスの全体最適化について書かれたとても面白い本があったので紹介します。
SaaS商材を提供する会社では、インサイドセールスやカスタマーサクセスという部隊を作って営業の効率化や解約防止をするのが当たり前になってきましたが、最近では様々な業種でMAを導入してインサイドセールス部隊を設けるなど、幅が広がってきていると感じています。
しかし、この営業プロセスに挑戦するにあたって、組織の評価体系や運用方法、どのように浸透させるかなど、多くの問題が出てきます。
そういった多くの悩みがある中で「部署間との連携問題」を解決してくれるのが、今日ご紹介する「THE MODEL」という本です。
営業プロセスを管理しないことへの疑問
営業の可能性に目覚めた瞬間
「ヤス、なぜ日本人はあれほど細かく生産管理をやるのに、営業については何もしないんだ?」
これは「THE MODEL」の始まりの文章です。
営業プロセスを変えようとしているけど、上手くいっていない状態であれば、早急に上手くいくように考えるべきだなと感じました。
この1文は、著者である福田康隆さんがアメリカで日本企業に営業支援をしている時に上司に言われた言葉なのですが、全ての企業が自問自答した方が良い質問だと思います。
日本にはトヨタ生産方式など、世界から注目されてきた生産管理方法があるのにも関わらず、なぜ営業の管理方法には力を入れていないのか、ということです。
福田さんが上司から言われた、「なぜ、営業(管理)については何もしないんだ?」という言葉の意図は、「生産管理で素晴らしい実績がある日本であれば、営業管理もやればできるはず。やらないよりやった方が良いのに、なぜやらないのか?」ということだと解釈をしました。
売上を伸ばしていくためには営業活動が必要です。その営業活動がさらに効率化できるのにしないのには理由があるのだろうと考えたのですが、おそらく、「知らないから」「間違った認識をしているから」なのかなと思います。
知らない方にとってはこの本を手に取ったことで導入に向けて進んでいくだけで良いのですが、間違った認識をして上手くいっていないのであれば、この本を全力でオススメしたいです。
営業のプロセス管理(分業制)
営業の分業体制
研修で学んだのは、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの分業体制による営業だった。
従来の営業は、プロセスのすべてをカバーしてきた。自分で商談を探してくるのが営業の仕事。提案書を作って受注するのも営業の仕事。クレームが発生したら、真っ先に足を運んで対応するのも営業の仕事。これが営業のイメージである。しかし、ここではプロセスを分業するやり方だというのだ。
2004年に福田さんがオラクルを退職して米国のセールスフォース・ドットコムに入社した時の話です。
すでに分業制を採用している企業も多いかと思いますが、なぜ、分業にした方が良いのか?について改めて考えると良いかと思います。
日本では今でも、「商談を集めるところからクレーム対応まで」を営業が行なっている企業が多いと思いますが、これでは効率が悪く、改善がしづらいというデメリットもあります。
案件がある時は良いかもしれませんが、案件がない時はひたすら飛び込み営業やテレアポをしなければなりませんし、改善しようにもアポ質も各営業マンによって定義が分かれていて「どういう会社に何件訪問すれば何件受注できる」というのが社内の共通指標として立てづらいです。
まさに数年前、自分がしていた行動に当てはまります。テレアポの本を読んで朝から夜までテレアポ(リード集め)をしたり、ふわっとしたアポ質で受注したデータを元に分析して頭を悩ましながら顧客からのクレームに対応するという感じです。
これを解決するのが営業プロセスの分業になります。
この分業制のメリットを福田さんは下記のように、分かりやすくまとめられていました。
測定できないものは管理できない
分業体制のメリットは、最終的な売上だけを見るのではなく、各プロセスを担う部門のパフォーマンスを評価する中間指標を設定し、どこがボトルネックなのかを把握し、すぐに対策が打てるということ。
「あー、これこれ!」という、とてもしっくりくる表現で、ザ・ゴール(エリヤフ ゴールドラット)を読んで感動した時の感覚が一気に蘇りました。
それぞれの部署が最適化されて、次々に変化するボトルネックを解決していくことによってスループットが最大になる、ということが役割別(※)に分かりやすく書かれています。
※THE MODELの中には、「マーケティング」「インサイドセールス(以下 IS)」「セールス」「カスタマーサクセス」という4つの役割に分けて、それぞれ細かく説明されています。
つまり、分業での営業プロセス管理が上手くいけば、常に移動するボトルネックを解消して、スループットが最大化されるということです。
だからこそ、社内の営業プロセスを日々改善するくらいの気持ちで、本気で取り組んだ方が良いのです。
分業プロセスを採用する場合の課題
とはいえ、分業制を取ることでのデメリットも生じます。ここが多くの企業が抱えている悩みです。
最近は、実際にマーケティング部を持っていたり、ISやカスタマーサクセス部隊を新しく作る会社は増えていますが、共有して言えるのは「それぞれの部署が各KPIを達成しようとするために部分最適化になる」という問題を抱えていることです。
簡単に言うと、分業したことで「他部署とケンカしてしまう」ということです。ザ・ゴールでも同じようなシーンがありましたが、
「問題は俺のところで起きているんじゃない!あいつらがサボっているからだ!」
ということが実際に起きているのです。
※実際はサボっているのではなく、ボトルネックになっているところの作業が詰まっていて、別工程での作業ができない
下記、部署間での不満の例を挙げてみました。
▼営業からISに対する不満
「ISからアポが振られているけど全然アツくない!」
「ISからアポが全然来ない!」
▼ISから営業に対する不満
「せっかくアポを振ったのに全然追ってくれない!」
「KPIがアポ数(SQL)なのに、営業がこれ以上訪問できないと言う!」
▼営業からカスタマーサクセス部隊に対する不満
「せっかく受注したのになんでちゃんとフォローしてくれないんだ!」
「アップセルできるように早く育成してくれ!」
▼カスタマーサクセス部隊から営業に対する
「こっちはチャーンレート(解約率)を追っているのに、営業が自社のターゲット外の会社(解約になりやすい会社)を契約してくる!これでは、フォローの工数もかかってしまうし、短期間での解約になる可能性も高いじゃないか!」
このように、実際に運用していくと、様々な不満が出てきます。
以前のように、リード集めからクレームまですべて営業が担当していた場合は、自分が弁の役割をしてリードの調整をできますし、自分が決めているアポ質も管理できます。誰からも文句は言われません。
しかし、分業プロセスを採用すると、各部署のメリットや定められたKPIが上手くかみ合わず、部分最適化に走ってしまうケースが続出しています。
では、この状態をどのように解決していけばよいでしょうか?
THE MODELの中にその答えが書かれていました。
分業から共業へ
この問題を解決する方法は、当たり前ですが全体最適化をすることです。全体最適化をする上で福田さんは2つのことを挙げられていました。
1、協力せざるを得ない目標を作る
2、チーフ・レベニュー・オフィサー(CRO)の設置
内容については深くは触れませんが、福田さんは「協力せざるを得ない目標とは”売上”」という話を本の中でされています。
この目標を聞いた時に私は、
「今まで、物事を難しく考え、複雑にしてしまっていた」
ということに気づかされました。
直近の売上のための行動か?将来の売上のための行動か?という時間軸によって多少行動が変わることもあるかもしれませんが、ここさえFIXされておけば選択に迷った時に、全部署で関わってくるであろう売上ベースで会話をすることができます。
さらに、会社全体の売上に責任を持つ立場であるCROが、全体をチューニングしながら管理することによってより全体最適化に向かっていきます。
どの部署がボトルネックになっているのか、人材面、仕組み、ツールなど何があれば全体最適化されるのかを俯瞰して見れる人がいることによって、組織は分業から共業へ向かうのだろうと感じました。
良くも悪くも部署間でミッションやKPIを設定しているがために、「これだとうちのやりたいことと違う!」とか「それは営業目線であって、本来しないといけないことは〇〇じゃないか!」というような会話になってしまいます。
だからこそ、「シンプルな目標設定」が必要なのだと思います。
新しい部署を作ったからこそ、期待役割もあるでしょうし、部長や責任者もビジョンを掲げて仕事に打ち込むわけですが、共通して持っておかなければならないシンプルな目標を設定し、それをしっかりと管理する人を置くことで、今の状態は劇的に良くなるのだろうと感じました。
皆さんの会社では、複雑な目標やKPI設定をしていないでしょうか?
まとめ
今回は、共業による営業プロセスを切り取って記事にしましたが、それ以外にも、マーケティング、IS、営業、カスタマーサクセスなど、それぞれのプロセスに関する内容も細かく紹介されていたり、「戦略」「マネジメント」「リーダーシップ」など今の組織に落とし込める情報が盛りだくさんです!
私はカスタマーサクセスを行なっているので、第10章の「カスタマーサクセス」について細かく書かれている18ページは食い入るように読みました。
是非、興味を持たれた方は読んでみてください!
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![山縣 昇也](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141935535/profile_28b5b2af13ddf914e1f5113d713636f7.png?width=600&crop=1:1,smart)