改善と挑戦の日々を楽しむ──生産技術のプロが語る『仕事のやりがい』
山口製作所の製造部には、「生産技術係」というチームがあります。
今年新設されたチームで、3名の切削技術のプロフェッショナルで構成されています。
業務内容は多岐にわたり、製造工程の改善活動や自働化の推進、新製品の立ち上げ※、保守保全など、会社の基盤を支える重要な役割を担っています。
今回お話を伺ったのは、生産技術係の1人である石川さん。
石川さんは、当社の主力製品である「DI」の工程改善や初品の開発を担当しています。
※ 新しく受注した製品を初めて試作し、形にする仕事
DIについてはこちらをご覧ください↓
今回は、そんな石川さんに、生産技術の魅力や仕事の楽しさについてお話を伺いました。
入社当初の挑戦と学び
──石川さんは山口製作所に入社してどのくらいになりますか?
勤続年数は9年です。
先日インタビュー記事が上がった山澤さんのように、この会社には何十年も勤めているベテランの方が多く、私はまだ若手(勤続年数が短い方)ですね。
ただ、前職も製造業だったため、通算で製造に携わって30年以上になります。元々ものづくりにとても興味があり、製造業に入ったら、機械いじりやものづくりがすごく楽しくてですね。飽きることなくずっと情熱を持ち続けることができています。
──山口製作所にはDIの立ち上げメンバーとしてご入社されたとお聞きしました。
厳密には立ち上げ当初はいません。
12年程前に本社に自動盤が導入され、少し経過した頃に仲間入りしました。今は36台もあるDIの機械もその時は4台しかなく、生産体制がまだ完全に整っていない状態でしたね。
いやあ。あの時はきつかったですよ(笑)
当時はやることが多くて、とても大変でした。
今は製造と測定(検査)が別々になっていますが、当時は同じ人が担当していました。生産をしながら、測定用のデータシートを記入するため、時間のコントロールをうまく行う必要があったんですね。
また、製造と検査で追われる中、新しい設備が入った時や、初品の立ち上げがある時は、プラスアルファで行っていたので、かなり追い込まれましたよ。いかに効率よく時間を使うかが鍵でした。
ちなみに、その中で特に印象的だったのは、現在技術部部長の長澤さんの仕事っぷりです。
長澤さんの仕事する様子を見て、「この人仕事できるな、すごいな。」と思い、入社してすぐ、長澤さんに追いつくことを目標としました。
私自身、製造の中では少しずつ登っていると実感していますが、長澤さんは技術部の部長になったので、地球と月くらいの距離だったのが、地球と太陽くらいになってしまいましたけどね!(笑)
自分で考え行動する、生産技術者としての道のり
──いつ頃から生産技術の仕事に携わるようになったのですか?
正式に生産技術者としての立場(肩書)になったのはここ2年くらいです。会社内で改善チームが発足され、そのメンバーに選んでもらいました。
ただ、改善に関しては、ずっと昔、製造を仕事にした時から意識はしていましたね。最初は会社の利益などは考えず、「どうやったら自分が楽に効率よく仕事ができるか」を考えて、少しずつ自分ができる範囲で工夫を重ねていました。
だって、誰でも、楽に仕事ができたらいいじゃないですか?
同じ時間を過ごすのであれば、できるだけ労力を使わずに効率良く仕事をしたい。そうすることで、心にも時間にも余裕ができるし、空いた時間で他のことにもチャレンジできるようになります。そうやって、昔から、自分が楽することばかり考えていました(笑)
そこから、少しずつ会社全体の利益に視野が広がり、「もっと会社全体で効率をあげられないか」と考えるようになりました。そこで、自働化に注力していったのです。
人の作業のスピードを変えるのには限界がありますよね。ちょっと手捌きが速くなったら、1.1倍、1.2倍にはなるかもしれない。でもその差は微々たるものです。
しかも、人には限界があります。常に速さを求めていたら疲れてしまって、会社に行きたくなくなってしまうと思いません?
そう考えるようになって、自働化の必要性を感じ、自分単位の小さな改善から会社単位の大きな効果を生む改善に目を向けるようになりました。
生産技術の楽しさとやりがいを感じる瞬間
──生産技術の仕事で、特に楽しさを感じるのはどんな時ですか?
やりがいを感じる瞬間は、主に2つあります。
まず1つ目は、「新規品が形になる瞬間」です。
新しい装置の構想や設計を考える時に、お客様の図面から製造工程を組み立てていくんですが、すべて数値でプログラミングして動かすので、機械の反応を見るのは楽しいですね。
数字をずっと見てるとね、眠くなるんですよ(笑)
設計期限が短い時もあって、「うわあ、大変だな。」と感じる時もあるんですが、その分出来上がって、形になった時の喜びはとても大きいです。
DIの斜め加工など作れた時の感動はひとしおですよ。
2つ目は、改善で大きな金額効果(売り上げ増加)を生み出せたときですかね。
製品の種類によりますが、例えば、1個150円の製品を作るのにかかっていた時間を10秒削減できたとします。そうすると、1日の生産個数がおよそ50個増えたりします。
これを月20日稼働、年間で計算すると、およそ180万円の売上増加効果があったことになります。わずか10秒の改善でも、年間では大きな金額になるんです。
自分がアイデアを出し、現場に入って改善を実行に移し、それが目に見える成果につながった時は、生産技術者としてのやりがいを強く感じます。常に現状に満足せず、より良くしていこうとする姿勢を持ち続けることが、私にとって仕事の醍醐味であり、モチベーションの源泉になっています。
しかも、改善は売り上げに貢献できるだけじゃなくて、社員から喜んでもらえることもあるんです。「良くなったよ」「楽になったよ」と言ってもらったときは、やっぱり嬉しいですよね。
そのためには幅広い知識と経験が必要で、難易度は高いですが、とてもやりがいを感じます。
──石川さんはどうやって知識を身に付けていらっしゃるんですか?
私は先輩に指導を受けて覚えたというよりは、自分で研究して習得してきました。
元々機械いじりが好きなので、自分でいろいろ試行錯誤しながら技術を身に付けてきました。これがとても楽しいんですよね。
常日頃から、色んな仮説を立てるんです。「これやってみたらいいかな?こうして見ようかな?」って考えて、それを実行してみる。それがよかったらとても嬉しいし、ダメならダメで次の仮説を立てる。
そうして経験から知識や技術を身に付けてきました。
自分で考えるのも楽しいし、改善できた時の達成感を味わうのも楽しいです。
あと、この会社は改善活動にすごく力を入れているので、試せる機会がとても多いんです。私が過去に経験した中でも、ここまで改善に注力している会社は少ないように感じます。
そして、この会社のすごいところは、決断が早くて、すぐに実行に移すこと。改善案を出して、「やろう!」と決まったらすぐに動くので、その環境下にいたからこそ、いろんなことを試すことができたし、経験が増えていきました。
今の会社の業績は、私が入社した当初に比べて倍近くに伸びています。これは改善活動の成果も起因していると思います。生産技術の仕事を通じて、会社の利益に直接貢献できるのは、とても嬉しいことですね。
石川さんにとっての仕事とは?
──すごく仕事が好きな様子が伝わってくるのですが、石川さんにとって仕事とはなんですか?
私は「仕事」という実感がないんですよね。目的を達成するために会社という場所があるから、そこに来ているという感覚なんですよ。
「仕事」という概念だと、かしこまっちゃって、かったるくなってきませんか?なので、自分や会社の目的に対して夢中になるだけ。
目的を達成できたら自分も嬉しいですし。そういう考えが仕事へのモチベーションを維持しています。
ストレスが溜まることもそりゃありますよ(笑)
でも、そう仕事を仕事だと考えないと、楽しくいられると思います。
未来を見据えた自働化の推進と若手へのメッセージ
──石川さんのこれから先やりたいことを教えてください。
今以上に自働化を進めていきたい、注力していきたいですね。
まだ出来ていないことはたくさんあるんです。
案は色々出てきているのですが、金額効果の大きいものを優先的に着手したり、他の業務(機械トラブル改善など)に時間を使っていたりしているので、今持っている技術や知識を出しきれていないなと思っています。
自働化できるもの、できないものはもちろんありますが、できる限り自働化していきたいですね。
あとは、若手にも、もっと活躍して欲しいなという思いがあります。
──では、若手社員に伝えたいことはありますか?
とにかく、行動すること。やってみることの大切さを伝えたいです。
頭で考えることや、他から勉強して学ぶことももちろん大切なことだと思いますが、結局自分で実際にやってみないと、本当の理解には繋がりません。
また、自分でやってみた経験があるからこそ、他の人から聞かれた時に説得力が増すんです。
行動できない時は、失敗が怖いと感じているんですよね。
でも、やってみて失敗しても、無駄ではないですよ。経験って財産なので。非常に貴重なものです。自分の成長にも繋がるし、それが結果的に会社の利益にも繋がっていきますから。
なかなか行動に移せないときは、「やらない理由」と「やる理由」を考えてみてください。そうすると、怖いことがなくなってきたりします。
そうやって、自分で色々試してみて、改善してみて、その繰り返しをしていると、自分の成長にも繋がるし、楽しいと思えてくると思いますよ。
インタビューを終えて
今回、1時間半にわたり石川さんにお話を伺いましたが、その熱い仕事への情熱が伝わり、聞いている私まで元気をもらったように感じました。
何度も「楽しいですよ」とおっしゃっていて、石川さんにとって、製造の仕事は天職なんだなと強く感じました。
そして、最後の「失敗を恐れず、まずは試してみることが大切」というメッセージが心に響き、私も改めて頑張ろうという気持ちになりました。
社員インタビューはまだまだ続きますので、どうぞお楽しみに!